1週間で150人の感染確認
前の週に比べ17%増

2021年3月24日

イギリスや南アフリカなどで広がっている変異した新型コロナウイルスに、3月23日までの1週間で150人が感染していたことが新たに確認されました。前の週から2割近く増えています。

厚生労働省によりますと、一部の新規感染者から検体を抽出して遺伝子を解析した結果、3月23日までの1週間に12の都府県で合わせて150人が、イギリスや南アフリカ、それにブラジルで広がっている変異ウイルスに感染していたことが確認されました。

前の週に確認された128人を人数にして22人、率にして17%上回っています。

▽兵庫県が最も多く67人、次いで
▽大阪府が33人、
▽千葉県が19人、
▽静岡県が10人、
▽岐阜県が5人、
▽東京都と岡山県がそれぞれ4人、
▽広島県が3人、
▽神奈川県が2人、
▽栃木県と埼玉県、それに
▽香川県がそれぞれ1人となっています。

子ども含め幅広い年代で感染

国内では、子どもも含めて幅広い年代が変異ウイルスに感染しています。

厚生労働省が3月16日までに確認された変異ウイルスの感染者405人について、年齢を調べたところ、
▽最も多かったのは40代で67人、率にして17%でしたが、
▽次に多かったのは10歳未満の子どもで59人、率にして15%、
▽10代が48人で12%となりました。

10代以下が全体のおよそ4分の1を占めています。

ほかの年代では
▽20台が35人、率にして9%、
▽30代が54人で13%、
▽50代が45人で11%、
▽60代が25人で6%、
▽70代が27人で7%、
▽80代以上が35人で9%となっています。

厚生労働省によりますと、イギリスの専門家会議の見解では、変異ウイルスは子どもが大人よりも感染しやすいということはなく、どの年齢であっても感染しやすい可能性があると報告されているということです。

国内では変異ウイルスの集団感染も

国内では子どもが関係する変異ウイルスの集団感染も起きています。

静岡県浜松市では、3月、小学生が通う放課後児童会で、クラスターが発生し、3月23日までに児童や職員など33人の感染が確認されました。

全員がイギリスで広がる変異ウイルスに感染したとみられています。

いずれも軽症か無症状で、児童会が開設されていた小学校は一時、臨時休校となりました。

また、埼玉県では2月、児童施設で変異ウイルスの集団感染が明らかになり、子どもや職員など合わせて20人の感染が確認されています。

日本小児科学会「特に子どもに多いということはない」

変異ウイルスについては、国内外の専門家から、現時点で、子どもで特にリスクが高くなるというデータは無いとする見解が示されています。

このうち日本小児科学会では、変異ウイルスについての見解をウェブページに掲載しました。

それによりますと、変異ウイルスはこれまでのウイルスに比べ、ほかの人へ感染させる力が強いことが知られているとしたうえで、イギリスで流行が始まった変異ウイルスについて、「国内では子どもが集まる施設で、この変異株によるクラスターの報告がされ、多くの子どもが感染しています。ただ、変異株がすでに広がっている英国ロンドンでは、変異株による感染は、特に子どもに多いということはなく、成人と子どもの感染者の割合は変異株の出現した前後で大きく変わっていません」と指摘しました。

そして、「子どもでは感染者の多くが無症状から軽症で、既存株でも変異株でもその違いはありません。頻度の高い症状としては、発熱、せき、鼻水、下痢、頭痛などがあげられます。変異株が子どもにより重い症状を引き起こす可能性を示す証拠はこれまでに得られていません。変異株への対策は、これまでと変わりはありませんが、特に感染力が強いウイルスは、感染対策がうまくできない小さな子どもへの感染の広がりが心配されています。今後、国内での変異株の広がりと、子どもの感染者について慎重に見ていく必要があります」としています。

WHO「すべての年代で感染しやすくなっている」

また、これとは別にWHO=世界保健機関はイギリスで広がった変異ウイルスについて、子どもを含む、すべての年代で感染しやすくなっていて、ほかの年代に比べて子どもたちのリスクが高いということはないとしています。

WHOの専門家は、この変異ウイルスの感染が広がった時期には、イギリスでは学校の休校措置が取られておらず、子どもたちの間で感染が広がったとみられるとしています。

そのうえで、変異ウイルスに関する研究は現在、進められている途中だとしながらも、イギリスでの研究からは子どもたちがこの変異ウイルスに特に感染しやすいものではないとしています。