「飲み薬」の開発・承認・供給は

新型コロナウイルスの治療薬の中でも、世界中で開発が急がれている「飲み薬」の、開発の状況、承認や供給の見通しなどについて、最新ニュースをまとめています。

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    ファイザー 開発中“コロナ飲み薬” FDAに緊急使用許可を申請(11/17)

    2021年11月17日

    アメリカの製薬大手ファイザーは開発中の新型コロナウイルスの増殖を抑えるための飲み薬について、FDA=食品医薬品局に緊急使用の許可を申請したと発表しました。

    ファイザーが開発中の飲み薬はエイズの発症を抑える薬として使われている抗ウイルス薬とともに投与され、新型コロナウイルスの発症初期の患者が重症化するのを防ぐ効果が期待されています。

    ファイザーは11月16日この薬について軽症から中程度の症状があり、重症化のリスクがある大人の患者に対して緊急使用を許可するようFDAに申請したと発表しました。

    会社が11月5日に発表した臨床試験の暫定的な分析結果ではこの薬を投与したグループではそうでないグループと比べて入院や死亡のリスクがおよそ89%低下したとされています。

    新型コロナウイルスの重症化を防ぐための飲み薬としてはアメリカの製薬大手メルクの「モルヌピラビル」が11月4日、イギリスの医薬品規制当局から承認を受けていてFDAにも緊急使用の許可が申請されています。

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    コロナ軽症患者向け飲み薬 160万回分確保で合意 後藤厚労相(11/11)

    2021年11月11日

    新型コロナウイルス対策をめぐり後藤厚生労働大臣は、軽症患者向けの飲み薬を開発する製薬大手「メルク」の日本法人との間で、薬事承認が行われることを前提に国内向けに160万回分の飲み薬を確保することで合意したと発表しました。

    後藤厚生労働大臣は、11月10日夜、厚生労働省で記者団の取材に応じ、新型コロナウイルスの増殖を抑える軽症患者向けの飲み薬「モルヌピラビル」を開発しているアメリカの製薬大手「メルク」の日本法人「MSD」との間で160万回分の飲み薬を確保することで合意したと発表しました。

    具体的には日本国内での薬事承認が行われることを前提に国内向けに年内に20万回分、2022年2月と3月にそれぞれ20万回分の供給を受けるとともに、それ以外に100万回分を確保したということです。

    後藤大臣は「国民の健康を守り、命を守っていくことに対し、大変大きな効果と大きな意味があることだ。国内産の経口治療薬も含め、今後とも必要な対応を進めていきたい」と述べました。

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    コロナ第6波に備える “飲み薬” 治療薬の開発はどこまで(11/8)

    2021年11月8日

    新型コロナウイルスの感染はいまは収まってきていますが、いつ来るか分からない感染拡大の第6波に備える動きも進んでいます。感染する前に接種するワクチンについては、アメリカで5歳から11歳の小学生の年代のワクチン接種も始まり、日本国内でも3回目の接種の議論が…続きを読む

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    ファイザー コロナ飲み薬 入院や死亡のリスク 89%低下と発表(11/5)

    2021年11月5日

    アメリカの製薬大手ファイザーは11月5日、開発中の新型コロナウイルスの増殖を抑えるための飲み薬について、最終段階の臨床試験で入院や死亡のリスクを89%低下させる効果がみられたと発表しました。

    ファイザーが開発中の新型コロナウイルスの増殖を抑えるための飲み薬は、現在、最終段階の臨床試験が行われていて、会社は11月5日にその暫定的な分析結果を発表しました。

    臨床試験では、新型コロナの発症から3日以内で、重症化リスクのある患者770人余りを薬を投与するグループと、プラセボと呼ばれる「偽の薬」を投与するグループに分けて症状の経過を比較しました。

    その結果、入院または死亡した人はプラセボを投与したグループでは385人中27人でしたが、薬を投与したグループでは389人中3人で、入院や死亡のリスクが89%低下したとしています。

    ファイザーは、今後速やかにアメリカFDA=食品医薬品局に緊急使用の許可を申請する手続きを進めるとしています。

    ブーラCEOは「パンデミックを終わらせるうえでの『ゲームチェンジャー』となる結果だ。規制当局に認められれば、多くの命を救える可能性がある」とコメントしています。

    新型コロナウイルスの増殖を抑えるための薬をめぐっては、アメリカの製薬大手メルクが開発した飲み薬が、11月4日にイギリスの医薬品規制当局から承認を受けたばかりです。

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    飲み薬「モルヌピラビル」イギリスが世界で初承認(11/4)

    2021年11月4日

    イギリスの医薬品規制当局は、新型コロナウイルスの増殖を抑えるための飲み薬「モルヌピラビル」を承認したと発表しました。新型コロナウイルスに対する飲むタイプの抗ウイルス薬を承認したのは、世界で初めてだとしています。

    イギリスの医薬品規制当局の11月4日の発表によりますと、アメリカの製薬大手メルクが開発を進める、新型コロナウイルスの増殖を抑えるための飲み薬「モルヌピラビル」について、安全性や有効性などを検証した結果、承認したということです。

    新型コロナウイルスに対する飲むタイプの抗ウイルス薬を承認したのは、世界で初めてだとしています。

    発表では、臨床試験の結果として「モルヌピラビル」は感染の初期段階で効果があり、感染が確認されたらなるべく早く、症状が出た場合は5日以内に、服用することを推奨しています。

    また、対象となるのは軽症から中等症の患者で、肥満や糖尿病などの重症化するリスクが少なくとも1つはある人だとしています。

    イギリスのジャビド保健相は「イギリスは、家庭で服用できる新型コロナの抗ウイルス薬を承認した最初の国となった」とコメントしています。

    「モルヌピラビル」についてメルクは10月、アメリカのFDA=食品医薬品局に緊急使用の許可を申請するとともに、臨床試験の結果として、薬を投与したグループでは投与していないグループと比べ、入院や死亡のリスクが50%低下したと発表していました。

    メルク 年内に1000万回分を生産

    開発したアメリカの製薬大手メルクは「新型コロナウイルスのパンデミックと闘うためのワクチンや薬の中に、飲み薬という重要な手段が加わった」とする声明を発表しました。

    メルクは「モルヌピラビル」を年内に1000万回分生産するとしています。

    また、アメリカFDAや、EUの医薬品規制当局のEMA=ヨーロッパ医薬品庁に使用の許可の申請を行っているほか、各国の規制当局に対しても使用許可の申請の手続きを進めているとしています。

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    新型コロナ 軽症者向け飲み薬 塩野義製薬が海外でも臨床試験へ(11/1)

    2021年11月1日

    大阪に本社がある製薬会社「塩野義製薬」は、国内で新型コロナウイルスの新たな感染者が大きく減少していることを受けて、飲み薬の臨床試験をシンガポールなど海外でも行う方針を明らかにしました。

    新型コロナウイルスの軽症者向け飲み薬の開発を進めている塩野義製薬は、2021年9月から最終段階の臨床試験に入っていて、国内のおよそ2100人を対象に薬の有効性や安全性を確かめる方針でした。

    これについて手代木功社長は11月1日の中間決算の会見で、国内で新たな感染者が大きく減少していることから、治験を受ける患者の確保が難しくなる可能性があることを明らかにしました。

    こうした状況を踏まえ会社では、依然として新たな感染者の数が多いシンガポールや韓国、イギリスなど、海外でも臨床試験を行う方針を明らかにしました。

    そのうえで、12月中旬までに薬の効果などに関するデータを集めたうえで、予定どおり、早ければ年内にも国への承認申請の準備に入るとしています。

    手代木社長は「感染者の著しい減少で、日本国内だけで症例を集めるのは難しい。少しでも早く治療薬を提供するために、やれることをやっていく」と述べました。

    また、手代木社長は、開発中の新型コロナウイルスの国産ワクチンについて、月内にも最終段階の大規模な臨床試験を始めたいという考えを示しました。

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    新型コロナ飲み薬 “年内の実用化を” 岸田首相が厚労相に指示(10/26)

    2021年10月26日

    新型コロナウイルス対策の切り札として期待されている飲み薬について、岸田総理大臣は、後藤厚生労働大臣に対し、年内の実用化を目指すとともに、必要な量の確保に向けた取り組みを加速するよう指示しました。

    新型コロナウイルスの治療薬をめぐり、国内では、抗体カクテル療法などに使われる軽症患者向けの点滴薬などが承認されていますが、医師による管理が必要なため、自宅で服用できる飲み薬の開発が期待されています。

    こうした中、岸田総理大臣は、閣議のあと後藤厚生労働大臣と協議し、新型コロナの飲み薬の年内の実用化を目指すとともに、必要な量の確保に向けた取り組みを加速するよう指示しました。

    後藤大臣は、記者会見で「治験を支援するための補助などを行っているが、できるかぎり早く承認を進め、国民に具体的な確保状況や見通しなどを説明できるよう準備を進めたい。国民の安心を確保するための切り札と言えるので、全力を尽くしたい」と述べました。

    軽症者向けの飲み薬 開発状況は

    新型コロナウイルスへの効果が確認されている軽症者向けの飲み薬は現在のところありません。

    症状が悪化しないうちに自宅などでも服用できる飲み薬があれば、感染しても重症化するのを防ぐことができ、亡くなる人を減らすことにつながると期待されるため、各国の製薬会社が開発を急いでいます。

    開発が最も早く進んでいるのがアメリカの製薬大手「メルク」が開発している「モルヌピラビル」と呼ばれる抗ウイルス薬です。

    会社の発表によりますと、治験の中で発症から5日以内の患者で、重症化リスクのある760人余りを薬を投与するグループと、プラセボと呼ばれる偽の薬を投与するグループに分けて、経過を比較したところ、

    ▽プラセボを投与したグループでは、入院した人や死亡した人の割合が14.1%だったのが、
    ▽薬を投与したグループでは7.3%だったということで、
    入院や死亡のリスクがおよそ50%低下したとしています。

    これを受けメルクは10月11日、モルヌピラビルについて、アメリカのFDA=食品医薬品局に緊急使用の許可を申請したと発表しました。

    また、アメリカの製薬大手「ファイザー」は2種類の抗ウイルス薬を併用する治療法について、最終段階の治験を海外で進めています。

    治験の暫定的な結果は、12月までに得られる見込みだとしていて、年内にもアメリカで緊急使用許可の申請を行う可能性があるとしています。

    「メルク」と「ファイザー」は、それぞれ感染者と同居する人が予防的に服用することで、感染や発症を防ぐ効果があるか調べる治験も進めています。

    スイスの製薬大手「ロシュ」は、「AT-527」と呼ばれるC型肝炎の治療薬として開発を進めてきた抗ウイルス薬が新型コロナウイルスにも効果があるかどうか、日本の患者を含めて最終段階の治験を進めています。

    日本国内での開発などを行っている中外製薬によりますと、年内に結果がまとまる見込みで、来年にも、厚生労働省に承認申請をしたいとしています。

    また、大阪に本社がある製薬会社「塩野義製薬」はことし7月から薬の安全性を確かめる第1段階の治験を進め、安全性に大きな問題はなかったとして、最終段階の治験を9月下旬から始めたと発表しました。

    治験のデータは、早ければ年内にまとまる見込みだとしています。

    このほか、日本の製薬会社の「富士フイルム富山化学」がインフルエンザの治療薬の「アビガン」について、同じく日本の製薬会社の「興和」が寄生虫による感染症の特効薬「イベルメクチン」ついて、それぞれ新型コロナに対する効果があるか、最終段階の治験を進めています。

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    飲み薬「モルヌピラビル」米で緊急使用の申請 許可なら世界初(10/11)

    2021年10月11日

    アメリカの製薬大手メルクは開発中の新型コロナウイルスの増殖を抑える薬「モルヌピラビル」について、アメリカFDA=食品医薬品局に緊急使用の許可を申請したと発表しました。

    FDAが許可すれば、新型コロナウイルスに対する飲むタイプの抗ウイルス薬としては世界で初めて実用化されるものになります。

    メルクが開発中の「モルヌピラビル」は、新型コロナウイルスの増殖を抑えるための飲み薬で、発症初期の患者が重症化するのを防ぐ効果が期待されています。

    メルクは10月11日「モルヌピラビル」について軽症から中程度の症状があり重症化のリスクがある大人の患者に対して「緊急使用」を許可するようFDAに申請したことを明らかにしました。

    メルクが10月1日に発表した臨床試験の暫定的な分析結果では、薬を投与したグループではそうでないグループと比べ入院や死亡のリスクがおよそ50%低下したということです。

    FDAが審査の結果、緊急使用を許可すれば、新型コロナウイルスに対する飲むタイプの抗ウイルス薬としては世界で初めて実用化されるものになります。

    新型コロナウイルスの感染症の重症化を防ぐため、軽症のうちに服用できる飲み薬については、メルクのほかにもアメリカの製薬大手ファイザーやスイスの製薬大手ロシュなども開発を進めています。

    開発責任者「医療機関の負担 大幅軽減を期待」

    「モルヌピラビル」の開発責任者を務めるメルクのダリア・ハズダ博士は、NHKのインタビューに対し「治療薬はワクチンの代わりになるものではなく、ワクチンの重要性は今後も変わらないが、パンデミックを終わらせるうえで、簡単に使える飲むタイプの治療薬はとても重要だ」と述べ、開発の意義を強調しました。

    そのうえで「点滴薬と比べ迅速に投与できるため、新型コロナウイルスの治療方法を変えていく可能性がある。外来で診断された患者に対し使えるようになることで、医療機関の負担を大幅に軽減できると期待している」と述べています。

    また安全性については、臨床試験で薬を投与したグループと投与しなかったグループで健康への影響に大きな差は見られなかったということですが、ハズダ博士は「今後FDAと薬による治療の効果とリスクのバランスについて議論したうえで、許可の判断が行われる。長期的な安全性を含めて引き続き検証を進めていく」としています。

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    新型コロナ飲み薬開発 岸田首相 “政府として後押し”(10/10)

    2021年10月10日

    新型コロナウイルス対策で、岸田総理大臣は横浜市内の宿泊療養施設を視察し、治験が行われている軽症者向けの飲み薬の早期開発に期待を示すとともに、政府として後押ししていく考えを示しました。

    横浜市内の宿泊療養施設では、新型コロナウイルスの軽症者向けの飲み薬の安全性などを確かめる治験が行われていて、岸田総理大臣は「塩野義製薬」の手代木功社長から、年内の承認申請を目指していることなどについて説明を受けました。

    このあと岸田総理大臣は記者団に対し「経口薬は、これからのコロナ対策における大きな決め手になる。年内の承認申請に向けて努力を続けるという話を聞かせていただいたので、ぜひ期待したい」と述べました。

    そのうえで「世界のワクチンや治療薬の開発状況もしっかりみて、わが国の対応を考えていくことが重要だ。政治が何を考えなければいけないか、しっかり対応を考えたい」と述べ、政府として後押ししていく考えを示しました。

    一方、岸田総理大臣は、東日本大震災からの復興に関連し「私の内閣でも『復興なくして日本の再生なし』という考えのもとに、しっかり取り組んでいきたい」と述べ、福島県など被災地を視察する方向で調整していると明らかにしました。

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    コロナ 軽症者向け「飲み薬」 各社の開発状況は(10/7)

    2021年10月7日

    新型コロナウイルスの患者の治療をめぐり世界中で開発が急がれている軽症者向けの「飲み薬」。症状が悪化しないうちに自宅などでも服用できれば、重症化を防ぐことができ、亡くなる人を減らすことにつながると期待されています。

    この「飲み薬」について、最終段階の治験の結果を示す時期や、承認申請の時期のめどを示している会社の開発状況をまとめました。

    メルク開発 モルヌピラビル“入院 死亡リスク約50%低下”

    このうち、開発が最も早く進んでいるとみられるのが、アメリカの製薬大手「メルク」が開発している「モルヌピラビル」と呼ばれる抗ウイルス薬です。

    会社の発表によりますと、治験の中で発症から5日以内の患者で重症化リスクのある760人余りを、この薬を投与するグループと、プラセボと呼ばれる偽の薬を投与するグループに分けて経過を比較したところ、プラセボを投与したグループでは入院した人や死亡した人の割合が14.1%だったのが、薬を投与したグループでは7.3%だったということで、入院や死亡のリスクがおよそ50%低下したとしています。

    メルクは、できるだけ早くアメリカのFDA=食品医薬品局に緊急使用の許可を申請するとしています。

    日本法人社長「承認得られれば速やかに供給できるよう調整」

    メルクの日本法人「MSD」のカイル・タトル社長と白沢博満 上級副社長はNHKのインタビューに応じ、日本国内でも承認申請に向けて審査当局と協議を進めていることを明らかにしました。

    タトル社長は「承認が得られれば国と契約を結び、必要な分量の薬を速やかに供給できるよう調整している」と述べ、承認申請を迅速に進め年内の供給を目指す考えを示しました。会社側では年内に「モルヌピラビル」を世界で1000万人分供給できるとしています。

    2022年には製造体制を拡大し2000万人分を供給できる見通しだということで、白沢副社長は「まずはきたる第6波までに流通体制を整え、いずれはインフルエンザと同じように体調の悪さを自覚したら誰でも近くのクリニックで処方してもらえるよう供給体制を整備したい」と話しています。

    ファイザー ロシュ 塩野義製薬も最終段階の治験

    ▽アメリカの製薬大手「ファイザー」は2種類の抗ウイルス薬を併用する治療法について、最終段階の治験を海外で進めています。治験の暫定的な結果は12月までに得られる見込みだとしていて、年内にもアメリカで緊急使用許可の申請を行う可能性があるとしています。

    ▽スイスの製薬大手「ロシュ」は「AT-527」と呼ばれるC型肝炎の治療薬として開発を進めてきた抗ウイルス薬が新型コロナウイルスにも効果があるかどうか、日本の患者を含めて最終段階の治験を進めています。

    日本国内での開発などを行っている中外製薬によりますと、年内に結果がまとまる見込みで、2022年にも厚生労働省に承認申請したいとしています。

    ▽大阪に本社がある製薬会社「塩野義製薬」は2021年7月から薬の安全性を確かめる第1段階の治験を進め、安全性に大きな問題はなかったとして、最終段階の治験を9月下旬から始めたと発表しました。治験のデータは早ければ年内にまとまる見込みだとしています。

    このほか日本の製薬会社の「富士フイルム富山化学」がインフルエンザの治療薬の「アビガン」について、同じく日本の製薬会社の「興和」が寄生虫による感染症の特効薬「イベルメクチン」ついて、それぞれ新型コロナに対する効果があるか最終段階の治験を進めています。

    ワクチン接種と並び“コロナ対策の切り札”と期待

    新型コロナウイルスの感染拡大の「第5波」では医療体制がひっ迫し、自宅療養者は最大で9月1日の時点で13万5000人余りに上りました。

    自宅療養をしている軽症の患者が自宅で服用できる薬がなかったため、治療を受けられないまま、症状が悪化して重症化したり亡くなったりする人も相次ぎました。

    2021年7月中旬には、人工的に作った抗体でウイルスの増殖を防ぐ「抗体カクテル療法」の薬が軽症患者用の治療薬として初めて承認されましたが、点滴での投与が必要で供給量が限定されているため、治療を受けられる人はおおむね50歳以上で、重症化リスクのある人など一部にとどまっています。

    こうしたことから軽症患者が重症化するのを防ぐために、自宅で服用できる飲み薬が求められていて、ワクチン接種と並んで新型コロナ対策の切り札となると期待されています。

    治験の実施計画によりますと、モルヌピラビルは発症から5日以内の軽症から中等症の患者が12時間おきに5日間、合わせて10回服用するとしていて、承認された場合、発症後の早い段階で使うことが想定されています。

    専門家「検査体制 量・質ともに拡充する必要」

    新型コロナウイルスの治療に詳しい愛知医科大学の森島恒雄 客員教授は、軽症患者用の飲み薬について「この夏の感染拡大の第5波では感染者が入院できず、自宅待機を余儀なくされる中で、重症化したり死亡したりするケースもまれではなかった。飲み薬があれば自宅待機しながら治療でき、重症患者の治療を行う医療現場などでの負担を大きく減らすことができる。ワクチン接種の拡大と合わせてこうした薬が普及して一般の診療所でも広く処方できるようになれば、インフルエンザ並みの対応に変えられるかもしれない」と話しています。

    そのうえで「軽症患者用の飲み薬は、感染が分かった時点でなるべく早く投与することが望ましいので、検査体制を量・質ともに拡充していく必要がある。また、薬の供給が世界中で待ち望まれる中、日本に十分な量が供給されるか懸念がある。もし供給が限定的となる見通しならば、どのような患者に優先的に投与するか事前に考えておくことも重要だ」と指摘しました。

    承認されたコロナ治療薬 3タイプに分類

    いま承認されている新型コロナウイルスの治療薬は3つのタイプに分けられます。

    ▽ウイルスが細胞に侵入するのを防ぐ薬
    ▽細胞に侵入したウイルスの増殖を抑える薬
    ▽増殖したウイルスに反応する過剰な免疫の働きを抑える薬

    ウイルスが細胞に侵入するのを防ぐ薬

    新型コロナウイルスは、表面にある突起の「スパイクたんぱく質」が、人の細胞に結合することで侵入します。

    現在、使われているmRNAワクチンは、人工的に作ったスパイクたんぱく質の遺伝子の一部を投与することで、体内で抗体が作られるようになりそれがウイルスのスパイクたんぱく質にくっつくことで、細胞への侵入を防ぎます。

    承認されている治療薬のうち、抗体医薬と呼ばれるタイプで軽症患者に点滴で投与する「抗体カクテル療法」や「ソトロビマブ」は、ワクチンと同じような仕組みで、人工的に作った「抗体」がスパイクたんぱく質にくっつくことで、細胞に侵入するのをブロックします。

    抗体がウイルスを狙い撃ちにするため、高い効果が期待される一方、供給量が限られるといった課題もあります。

    細胞に侵入したウイルスの増殖を抑える薬

    メルクが開発中の飲み薬「モルヌピラビル」は、ウイルスが細胞に侵入したあと設計図の「RNA」をコピーして、増殖するのに必要な酵素の働きを抑え増殖を防ぎます。

    承認されている治療薬の中では、中等症から重症の患者に投与される点滴薬「レムデシビル」がこのタイプですが、医療機関で受ける必要があります。

    ウイルスが細胞の中で増殖する仕組みは、ほかのウイルスでも共通しているため、別の病気の治療にも使われる薬を転用する形で開発が進められています。

    増殖したウイルスに反応する過剰な免疫の働きを抑える薬

    いま新型コロナの治療に使われている薬のうち、主に重症患者に使われるのが「デキサメタゾン」と「バリシチニブ」です。

    ウイルスが体内で増殖し炎症を引き起こす物質が過剰に出ると、免疫の働きが暴走し、肺に傷がつくなど体に深刻なダメージを受けることがありますが、これらの薬は免疫の働きや炎症を抑える役割を果たします。

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    “コロナ飲み薬”開発の製薬大手幹部「日本でも年内供給を」(10/7)

    2021年10月7日

    新型コロナウイルスの軽症患者向けの飲み薬を開発している製薬大手「メルク」の日本法人の社長らが、NHKのインタビューに応じ、日本国内でも承認申請の準備を速やかに進め、年内の供給を目指す考えを示しました。

    インタビューに応じたのは、アメリカの製薬大手メルクの日本法人「MSD」のカイル・タトル社長と白沢博満上級副社長です。

    メルクは、10月1日、新型コロナウイルスの増殖を抑える軽症患者向けの飲み薬、「モルヌピラビル」について最終段階の治験で、患者の入院や死亡リスクを半減させる効果がみられたと発表していて、MSDのタトル社長らは日本国内でも承認申請に向けて審査当局と協議を進めていることを明らかにしました。

    そのうえでタトル社長は「承認が得られれば、国と契約を結び、必要な分量の薬を速やかに供給できるよう調整している」と述べ、承認申請を迅速に進め、年内の供給を目指す考えを示しました。

    これまで日本で承認された新型コロナの軽症患者用の治療薬はいずれも点滴薬で、医師による管理が必要なため、自宅で服用できる飲み薬の開発が期待されていて、会社側では年内に「モルヌピラビル」を世界で1000万人分供給できるとしています。

    来年には製造体制を拡大し、2000万人分を供給できる見通しだということで、白沢副社長は「まずはきたる第6波までに流通体制を整え、いずれはインフルエンザと同じように、体調の悪さを自覚したら誰でも近くのクリニックで処方してもらえるよう供給体制を整備したい」と話していました。

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    米で開発中の飲み薬「モルヌピラビル」“リスク50%低下”(10/2)

    2021年10月2日

    アメリカの製薬大手メルクは10月1日、開発中の新型コロナウイルスの増殖を抑える薬について、最終段階の臨床試験で入院や死亡のリスクをおよそ50%低下させる効果がみられたと発表しました。

    アメリカの製薬大手メルクが開発中の「モルヌピラビル」は、新型コロナウイルスの増殖を抑えるための飲み薬で、現在、発症初期の患者が重症化するのを防ぐ効果を確かめる最終段階の臨床試験が行われています。

    10月1日、メルクは、この臨床試験の暫定的な分析結果を発表しました。

    それによりますと、臨床試験では、発症から5日以内の患者で重症化リスクのある760人余りを、この薬を投与するグループと、プラセボと呼ばれる偽の薬を投与するグループに分けて症状の経過を比較しました。

    その結果、▼プラセボを投与したグループでは、入院した人や死亡した人の割合が14.1%だったのに比べ、▼薬を投与したグループでは7.3%になったということで、入院や死亡のリスクがおよそ50%低下したとしています。

    メルクは「良好な結果が得られた」として独立した委員会の推奨に基づいて臨床試験の参加者の募集を停止し、できるだけ早くアメリカFDA=食品医薬品局に緊急使用の許可を申請するとしています。

    新型コロナウイルスの感染症の重症化を防ぐため、軽症のうちに服用できる飲み薬については、メルクのほかにもアメリカの製薬大手ファイザーやスイスの製薬大手ロシュなども開発を進めています。

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    飲み薬タイプのコロナ治療薬 臨床試験入りを発表 塩野義製薬(9/28)

    2021年9月28日

    大阪に本社がある製薬会社「塩野義製薬」は、開発を進めている新型コロナウイルスの飲み薬タイプの治療薬について、有効性や安全性を調べるための次の段階の臨床試験に入ったと発表しました。簡単に服用できる飲み薬タイプへの期待が高まる中、今後開発が順調に進むかが注目されます。

    「塩野義製薬」は、飲み薬のタイプの新型コロナウイルスの治療薬の開発を進めています。

    2021年7月からは薬の安全性を確かめる第1段階の臨床試験を進めてきましたが、9月28日、現時点では安全性に大きな問題はなかったことを明らかにしました。

    これを踏まえて、会社は9月27日から次の段階の臨床試験に入ったということです。

    次の段階では、軽症の患者か無症状の人を対象に、1日1回、5日間にわたって薬を投与し、有効性や安全性を確かめることにしています。

    医療機関の入院患者だけではなく、宿泊療養者なども対象にするとしています。

    塩野義製薬は、試験の規模や終了時期のめどを明らかにしていませんが、年内には100万人分を供給できる生産体制を整えたいとしています。

    新型コロナの軽症患者に使用できる薬としては、国内では抗体カクテル療法に続いて、9月27日、イギリスの製薬大手、グラクソ・スミスクラインの「ソトロビマブ」が承認されましたが、いずれも飲み薬のタイプではありません。

    このため、簡単に服用できる飲み薬への期待が高まっており、今後、開発が順調に進むかが注目されます。

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