容体が悪化した患者の転院が困難に
重症者が病床数上回る 大阪

2021年4月15日

大阪府で重症患者の人数が病床の数を超える中、「コロナ専門病院」として中等症の患者の治療に当たっている病院は、容体が悪化した患者の転院先を見つけるのが難しくなっていて、危機感を募らせています。

大阪 淀川区にある大阪市立十三市民病院は、新型コロナの中等症の患者用に府内最大規模となる70床を確保している「コロナ専門病院」で、4月15日の時点で58人が入院しています。

この病院では、重症化したと判断した患者を重症患者用の別の病院に転院させるのが、難しくなっているといいます。

病院は府を通じて転院先の調整を行っていますが、4月15日現在で、5人の患者の転院先が見つからず2日間、転院先が見つかっていないケースも出ています。

病院では、患者の酸素吸入量を増やすなど必要な対応を行いながら、転院先が見つかるのを待っていますが、このままでは中等症の患者を受け入れられなくなると危機感を募らせています。

十三市民病院の西口幸雄病院長は「府の調整部署に電話すると、『10人待ちです』と言われ、重症患者対応の病院でも空きがなく、受け入れが難しいのが現状だ。今はもう、重症化したら自分の病院で治療を続ける覚悟はできている。しかし、中等症の病院で重症患者を治療しはじめるとすぐに病床が埋まってしまう。そうすると最後は感染者が入院もホテル療養もできなくなり、自宅で亡くなる人が続出するのではないかと懸念している」と話していました。

3月からの感染拡大で病院は、患者の年齢層が若くなり、重症化までの時間が早まっていると感じています。

現在、入院している患者は70代以上がおよそ半数で、40代から60代までがおよそ4割、20代、30代がおよそ1割と、これまでの年齢層より若いということです。

さらに糖尿病などの基礎疾患がない30代から50代の患者が重症化するケースはこれまではほとんどなかったということですが、今回はそうしたケースもみられるということです。

重症化までの時間も短くなっていて、これまでは入院してから重症化するまでに、おおむね1週間程度、かかっていましたが、3、4日で重症化するケースもあるということです。

西口病院長は「重症化のスピードが速く、片ときも患者から目が離せない状況だ。第3波のとき以上に忙しさは増している。現場では看護師が患者の体調の細かい観察を求められ、非常に神経を使う状況が続いている」と話していました。

西口病院長は、重症病床の拡充とともに、患者の発生を抑えることが急務だと指摘したうえで「今は若い世代でも基礎疾患がなくても重症化している。若いからといって安心しないで気をつけてほしい。変異株はまだ分かっていないことが多いが、1つ分かっていることは、人から人に感染することだ。今は人に接触しないことが感染を確実に防ぐ方法なので、もう一度、感染対策をしっかりとってほしい」と訴えていました。