新型コロナ 大阪府内の重症病床の使用率
実質6割超える

2020年11月16日

大阪府内で新型コロナウイルスの重症患者を受け入れる病床のうち実際に運用できているのは11月15日の時点で107床で、これをもとにした使用率は、60%を超えることが分かりました。大阪府は「各病院に協力をお願いして徐々に増える見込みだが、状況を見極めながら必要な対応をしていきたい」としています。

大阪府は、新型コロナウイルスの患者が急増した場合に備えて、重症患者用の病床を206床、確保していますが、受け入れる病院では、患者が少ない時期は、一般の患者用に運用しています。

新型コロナの感染拡大に伴い、府は11月9日、重症患者用の病床を150床まで増やすため、府内14の医療機関に対して、11月16日までに重症患者用のベッドを空けてもらえるよう依頼しました。

その結果、11月15日の時点で107床が運用できる状態になったということです。

府内の重症患者は11月15日の時点で66人で、大阪府が確保している206床をもとにした使用率は32%になりますが、実際に運用可能な病床数をもとにした使用率は61.6%になります。

府によりますと、各病院が重症患者用に病床を増やすためには、入院中の一般の患者を移したり、医療スタッフを確保したりする必要があるため調整に時間がかかっているということです。

大阪府健康医療部では「実際に運用できる病床のうち6割以上が埋まっているので楽観できない状況にある。各病院に協力をお願いして徐々に増える見込みだが、患者の発生状況を見極めながら必要な対応をしていきたい」としています。

重症病床抱える府内の病院は

新型コロナウイルスの感染が再び拡大する中、大阪府内で重症患者の治療に当たっている府立中河内救命救急センターはすでに確保している7床のうち、5床が埋まり、「重症患者の数が急増していてこのままではかなり厳しい状況が続くことになる」と危機感を強めています。

大阪 東大阪市にある府立中河内救命救急センターでは現在、入院中の患者も含めて、新型コロナウイルスの重症患者44人の治療に当たってきました。

このセンターでは、ICU=集中治療室の中に、新型コロナの重症患者用の病床を最大で7床確保しています。

入院している重症患者は夏以降、徐々に減り、これを受けて、センターは10月2日、ICU内で個室になっている2床を残して、5床を一般の救急患者用に戻して運用していました。

しかし、10月末に重症患者の搬送依頼が急増したことから、11月4日、再び、ICU内の病床7床を新型コロナの重症患者用にしました。

これに伴い、ICUに入院していた一般の患者を別の病棟に移したということです。

センターに入院している新型コロナの重症患者は10月27日にはいったんゼロになりましたが、その後、再び増え始め、11月10日には6人と、急増しています。

府立中河内救命救急センターの山村仁所長は「重症患者が今月はじめから一気に増えてきて、非常に病床が埋まるスピードが速いと感じている。秋から冬にかけて一般の救急患者数は増えるという例年の傾向があるので、これからコロナの患者に加えて救急患者が増えると、ベッドの運用が難しくなっていくと考えられる」と指摘しています。

また、今回、搬送されてくる重症患者の特徴については「これまではもともと治療を受けていた新型コロナの患者が重症化して搬送されてくるパターンが多かったが、今回は、救急で運ばれてきて、センターでPCR検査をした結果、陽性が分かるケースがみられ、市中感染が広がっているように感じている」と分析しました。

そのうえで、「このまま新型コロナの重症患者が増えていくと、一般の救急患者の入院の枠が抑えられてしまうし、そもそも、新型コロナの重症患者をみる病床が足りなくなる可能性もあり、現場としては厳しい状況が続く。新型コロナの患者を増やさないための感染対策が必要だ」と話しています。