重症者が徐々に増加
“重要な局面を迎えつつある”

2020年10月16日

新型コロナウイルスに感染し重症になった患者は、10月に入り全国で徐々に増えつつありますが、治療の中核を担ってきた国立国際医療研究センターで治療に当たってきた医師は、増える兆しが見られ、重要な局面を迎えつつあるとして、感染がこれ以上拡大しないよう対策の徹底を呼びかけています。

国立国際医療研究センターでは、当初から治療の中核を担い、感染拡大の第1波のことし4月ごろには入院患者が相次ぎ、40ある病床すべてが使われ、さらなる患者の受け入れが難しい状態になりました。

センターの忽那賢志医師によりますと、現在、使われている病床は15ほどで、まだ余裕はあるものの、入院患者は9月に比べると、ほぼ2倍に増えているということです。

この1か月間、高齢の患者が徐々に増えていて、重症患者も9月までは1人のときが多かったのが、最近は3人ほどになり、増加の兆しが見られるとしています。

全国では、重症患者は8月下旬に250人以上となったあと減少傾向が続き、10月5日には131人まで減りましたが、10月15日の時点で146人と増えつつあり、忽那医師は「今後、感染者が増加に転じると、重症者がさらに増えてしまう。今の状態で踏みとどまらないといけない」と述べ、重要な局面を迎えつつあるという認識を示しました。

忽那医師は「ヨーロッパで再び感染が拡大しているように、流行が長引くと気が緩んで再び拡大するおそれがある。『3密』の環境を避け、手洗いやマスクの着用を徹底するなど、改めて感染対策をとって生活する必要がある」と話し、さまざまな制限の緩和が進む中、基本的な対策の徹底を呼びかけています。