発熱外来の受診者が急増
自己検査の啓発などが急務 新型コロナ

2022年11月26日

新型コロナウイルスの感染者が増加傾向にある中、東京 北区のクリニックでは、発熱外来の受診を希望する患者からの問い合わせが急増していて、医師は「医療の崩壊を防ぐためにも自己検査のさらなる啓発や発熱患者の受け皿の整備が急務だ」と危機感を募らせています。

東京 北区の「いとう王子神谷内科外科クリニック」では、新型コロナやインフルエンザのワクチン接種を行うとともに発熱外来を設けて患者に対応しています。

受診を希望する人からの電話は、10月後半は平日は1日10件、土日も20件ほどだったのが、この2週間で4倍から5倍に増加し、院内で行う抗原検査の陽性率も6割ほどに上っているということです。

クリニックでは院長がほぼ1人で対応していて、1日に診ることができる発熱患者は10人ほどが限界だといいますが、希望者には抗原検査キットを配布しているほか、高齢者や妊婦など重症化リスクの高い人については診療時間や予約枠を超えてでもできるだけ診察するようにしているということです。

伊藤博道院長は「感染のピークに向けて発熱患者を診る受け皿を大幅に増やしていかないと、診察できないまま急変するケースが出るなど立ちゆかなくなるのは明らかで、対策を考えていく必要がある」と危機感を募らせています。

一方で、第7波までと比べて検査キットを使って自分で検査を行う人が増えていることが発熱外来の負担軽減につながっているということで、伊藤院長は「自己検査をさらに普及させることが医療の崩壊を防ぐための鍵になる。症状が出たあと時間をおいて検査するなど正しい使い方や検査キットの入手方法など情報を発信していくことが重要だ」と話していました。

自己検査 陽性だった場合の注意点

2022年9月に行われた感染者の全数把握の簡略化にともない、詳しい報告の対象外となり症状がない人や軽い人については、自分で検査を行って陽性だった場合は自治体の「健康フォローアップセンター」に登録し、医療機関を受診せずに療養を開始できる仕組みになっています。

登録の対象となるのは65歳未満の人、重症化リスクの低い人、それに妊娠していない人などで、厚生労働省は検査キットは薬局で購入できる「医療用」か薬局のほかインターネットでも購入できる「一般用検査キット」として国が承認したものを使うよう求めています。

登録を行うことで、希望する場合は宿泊療養のほか自治体によっては配食などの支援を受けることができるほか、健康フォローアップセンターが健康状態についての相談を受け付け、自宅で療養中に症状が悪化した場合などには医療機関につなぎます。

東京都の場合、都民に加えて出張や旅行で都内に滞在中の人も都の陽性者登録センターを利用することができ、利用者は自主検査で陽性だった場合、検査後のキットの画像を撮影するなどしてオンラインで申請し、登録した情報をもとに医師によって陽性と診断されます。

健康フォローアップセンターは都道府県ごとにそれぞれの名称で設置されていて、厚生労働省のホームページでも一覧で連絡先が掲載されているほか、都道府県のホームページなどでも情報を確認できるようになっています。