新型コロナ 高齢者施設
入院先見つからず療養続けるケースも

2022年8月10日

新型コロナウイルスに感染し、自宅で療養する人が過去最多の143万人余りに上っていますが、高齢者施設で療養する人も増えています。入院先が見つからずに療養を続けている人もいるほか、職員の感染も相次いでいて、施設ではサービスの一部停止などの影響が広がっています。

千葉市稲毛区にある特別養護老人ホームでは、7月23日から8月10日までに、入居者100人のうち21人の感染が確認されました。

11人は、入院が必要だとして救急搬送されましたが、2人の入院先が見つからず、軽症の患者とともに施設で療養を続けています。

このうち80代の女性は、8月2日から発熱や呼吸が苦しくなる症状が出ていて、血液中の酸素の値は88%から92%ほどで推移しているため、施設内で酸素濃縮装置を使って療養していました。

対策とるも職員の感染相次ぐ

施設では、7月下旬から感染リスクを減らすため、入居者と家族の面会を中止にしたほか、職員ごとに担当するフロアを限定し、移動も外の階段を使用するなどの対策をとっていますが、職員75人のうち、8人が感染したということです。

このため、ふだんより少ない人数でシフトを回す必要があるほか、看護師のいない夜間は、介護の職員が療養している患者の体調の観察を行うなど、負担も増えています。

特養ホーム「とどろき一倫荘」の平野幸一施設長は「入院させたくてもできない状況で、職員の負担が通常の何倍にもなっている。精神的にも追い詰められているため、コロナの医療面での扱いの見直しや、施設の運営へのサポートを検討してほしい」と話していました。

サービスの一部見直す事業者も

一方、サービスの一部を見直す事業者も出てきています。

都内で7つの高齢者施設を運営する社会福祉法人の、荒川区の特別養護老人ホームでは、7月25日から利用者と職員合わせて16人が感染し、クラスターと認定されました。

施設内で療養する高齢者が多いため、同じ法人が運営する別の施設の職員や事務職などが応援に駆けつけ、対応にあたっていますが、介助の際の使い捨てのガウンの着脱や消毒などで作業が増えたため、人手がまわせず、8月2日から高齢者の短期的な宿泊の受け入れを一時的に停止しました。

施設を運営する「三幸福祉会」の柳沼亮一企画開発部長は「過去にない総動員の体制で対応にあたっているが、職員は、お盆の時期も含めて休みが取れないほど人手不足が深刻で、このままでは入浴やおむつ交換の回数を減らすなど、介護の質にも影響が出かねない状況だ」と話していました。