2022年8月8日
新型コロナウイルスの患者を受け入れている医療機関では、感染などで出勤できない医師や看護師が増えて人手がひっ迫していて、中にはコロナの患者の増加によってほかの重い病気で緊急の治療が必要な患者の受け入れが難しくなることへの危機感を強める病院も出ています。
東京 新宿区の「国立国際医療研究センター病院」では主に「重症」や「中等症」の新型コロナの患者を受け入れていて、確保している77の病床のうち、およそ50床が埋まっています。
病院によりますと受け入れている患者の3分の2が65歳以上の高齢者で、80歳以上も多くなっていますが、第7波に入ってからは多くの患者が「中等症」で、人工呼吸器が必要になるなど「重症」になる患者はほとんど出ていないということです。
一方、7月以降は感染したり濃厚接触者になったりして出勤できない医師や看護師などが急増し、多い日にはおよそ120人にのぼりました。
病院ではコロナ以外の病気で入院したり、救急で受け入れる患者にも全員にPCR検査を行っていますが、入院する段階では陰性でもその後の検査で陽性が確認されるケースも多いということで、こうした状況の中で職員などに感染が広がっているとみられるということです。
このため、病床が確保できていても医療従事者の人手不足が理由で稼働させられない病床も出ているのが実情だということです。
国立国際医療研究センター病院の杉山温人院長は、こうした人手不足の中でコロナの患者が多い状況が今後も続くと、脳梗塞や心筋梗塞といった緊急性の高い患者の受け入れが難しくなるおそれがあると危機感を強めています。
杉山院長は「以前よりコロナで重症化する患者が格段に減っている中で、より重症度や医療のニーズが高い患者が適切に治療を受けられるようにするために優先度を決める「トリアージ」の仕組みが必要になっている。各地の救命救急センターが「ドミノ倒し」のように患者の受け入れを停止するような事態だけは避けなければならない」と指摘しています。