感染した妊婦や透析患者に対応
病院 厳しい状況続く

2021年9月17日

新型コロナウイルスの新規感染者は減少傾向となっていますが、都内の大学病院では、重症患者とともに、コロナに感染した妊娠中の患者や透析治療を受ける患者など、コロナだけの対応にとどまらない厳しい状況が続いています。

東京医科大学八王子医療センターでは、新型コロナの患者は、8月末より2割ほど減ったものの、重症患者用の病床はほぼ満床の状況が続いています。

こうした中、地域医療の基幹となるこの病院には、重症患者以外にも、コロナに感染した妊娠中の患者や透析治療を受ける患者など、高度な対応が求められるケースが相次いでいます。

このうち「慢性腎不全」をわずらう透析患者は、重症化リスクが高いうえ、医療機器を使用する際に多くの医療スタッフが6時間にわたって対応する必要があります。

このため、受け入れの上限を3人までとしてきましたが、第5波では依頼が相次ぎ、上限を超えた対応を余儀なくされるケースもあったということです。

感染した妊婦の搬送も相次いでいます。

入院中に出産することになれば、感染対策を行いながらの対応となり、赤ちゃんは生まれた直後に、感染している母親から離して生命維持を行う必要があるなど、難しい対応を迫られます。

この1か月では5人の妊婦が入院していて、妊娠中の20代の女性に対しては、医師が防護服を着て、おなかの赤ちゃんの状態をエコー画面で確認していました。

こうした対応のため、院内のほぼすべてにあたる30余りの診療科から応援を受けたり、地域の病院で病床を確保しあったりして、対応にあたっています。

感染症科の平井由児教授は「ある程度診療が落ち着いた患者を近隣の医療機関に送る代わりに、重症化しそうな患者をこちらで受ける形で、ベッドの効率化を高めて、極力守備範囲を広げて対応にあたっている」と話しています。