五輪パラ “無観客開催も”
東京都医師会など意見書提出

2021年6月21日

東京オリンピック・パラリンピックの開催都市、東京都や都内各地区の医師会は、新型コロナウイルスの収束の見通しが立たない中で大会を開催するのであれば、大会の開催によって通常医療が圧迫されないことを必須条件とし、無観客での開催を探るとともに、観客を入れた場合でも感染状況によって無観客や中止とすることも考えるべきとする意見書を大会組織委員会の会長らに提出しました。

この意見書は、東京都の医師会や、都内各地の地区医師会、それに東京大学など大学の医師会が連名でまとめました。

それによりますと、東京大会は世界の人々に夢と希望を与える祭典だと理解したうえで、新型コロナの収束への行程は不確実で、国内ではコントロールされた状況とは言えないとして、医療的見地から見て大会を開催するのであれば
▽開催によって感染が拡大しないこと
▽通常医療が圧迫されないことを必須条件とすべきだと求めています。

そのうえで、多くの医療機関では、通常医療とともに、新型コロナ患者やワクチン接種への対応に総力をあげてあたっていて、大会の開催によって通常医療に過度な負担がかかると医療体制がひっ迫するだけでなく、全国に感染を広げかねないと危惧しています。

そして、医療現場の状況を勘案し、大会を開催するのであれば
▽無観客での開催も含め適切な方向性を探るとともに
▽観客を入れた場合でも感染状況によって必須条件を維持できないとなれば、国民の安全、安心を守るために無観客や中止とすることも考えるべきだと求めています。

意見書は、田村厚生労働大臣や、丸川担当大臣、それに大会組織委員会の橋本会長や、小池都知事に提出されました。

東京都医師会は、近く記者会見を開き、意見書の提出に至った背景などについて説明することにしています。

医療現場「中止すべき30%」「無観客38%」

東京都医師会では、6月15日から17日にかけて、都内の各地区の医師会や大学医師会、都立病院医師会の合わせて60地区を対象にアンケート調査を実施しました。

まず、東京オリンピック・パラリンピックについての医療現場からの意見書に賛同するか聞いたところ
▽賛同し、連名での提出も承認するが88%
▽立場上、連名での意思表示は難しいが8%
▽立場上、回答は困難が3%
▽賛同できないは0%でした。

東京大会についての考えを聞いたところ
▽開催は中止すべきが30%
▽無観客での開催は可能が38%
▽感染対策を徹底したうえで少人数での観客での開催は可能が13%
▽規模の縮小など開催形態を変更しての開催が必要が2%
その他が16%でした。

その他の意見の中では「屋内競技は無観客、屋外競技は感染対策を徹底したうえでの少人数での観客の開催」や「新型コロナが収束するまで開催を延期すべき」「開催するとしても無観客で、パブリック・ビューイングなども一切なしにすることが最低条件だ」といったものもありました。

東京都医師会 尾崎会長「観客入れて大会 危惧に逆行」

東京都医師会の尾崎治夫会長は「私ども医療関係者としては、オリンピック・パラリンピックの開催は、リスクのない形でやってもらいたい。もう一度、無観客開催ということを考えていただきたい。開催を契機として感染が増える、医療に圧迫がかかるということはあってはならないので、意見書に書かせていただいた。観客を入れて大会をやろうというのは今のわれわれの危惧に対して逆行しているし、安全な大会を目指すということであれば、オリンピック期間中にリバウンドがくる可能性も高いわけですから、無観客ということも考えていただきたい」と話していました。