新型コロナ対応のベッド数
と入院患者数データ

2020年4月28日更新

新型コロナウイルスに対応する医療体制について、NHKが全国の都道府県に取材したところ、入院患者の数が準備している病床数の8割を超えているところは、北海道・東京都・石川県の3都道県となっています。

すでに27都道府県で、軽症者に宿泊施設などで療養してもらう対応をとるなどして病床がひっ迫する状況はやや緩和されましたが、専門家は今後も病床を増やすとともに宿泊施設などで療養する患者の健康を十分確認できる体制が必要だとしています。

新型コロナ対応のベッド数と入院患者数

NHK調べ 4月27日時点の最新データ

都道
府県
新型コロナ対応
ベッド数
入院中の患者数
(入院必要な人含む)
ベッドに対する
割合
軽症者は
ホテルに
北海道 400 323 81% 実施
青森県 38 8 21% 準備中
岩手県 184 0 0% 準備中
宮城県 388 27 7% 実施
秋田県 105 9 9% 準備中
山形県 150 28 19% 準備中
福島県 113 49 43% 実施
茨城県 151 68 45% 実施
栃木県 130 40 31% 準備中
群馬県 143 102 71% 実施
埼玉県 457 254 56% 実施
千葉県 471 288 61% 実施
東京都 2000 2619 ※ 131% 実施
神奈川県 1000 213 21% 実施
新潟県 234 34 15% 実施
富山県 205 116 57% 実施
石川県 170 137 81% 実施
福井県 114 48 42% 実施
山梨県 80 22 28% 実施
長野県 227 51 22% 準備中
岐阜県 458 78 17% 実施
静岡県 200 35 18% 準備中
愛知県 350 198 57% 実施
三重県 124 27 22% 準備中
滋賀県 95 55 58% 実施
京都府 213 109 51% 実施
大阪府 900 423 47% 実施
兵庫県 372 241 65% 実施
奈良県 73 42 58% 実施
和歌山県 124 29 23% 準備中
鳥取県 322 2 1% 準備中
島根県 225 20 9% 準備中
岡山県 117 12 10% 準備中
広島県 200 85 43% 実施
山口県 320 15 5% 準備中
徳島県 130 1 1% 確保
香川県 43 20 47% 確保
愛媛県 70 16 23% 実施
高知県 74 17 23% 実施
福岡県 300 211 70% 実施
佐賀県 70 26 37% 実施
長崎県 102 10 10% 確保
熊本県 312 47 15% 準備中
大分県 222 25 11% 準備中
宮崎県 100 8 8% 実施
鹿児島県 143 7 5% 準備中
沖縄県 160 90 56% 実施

※自宅療養者含む

NHKでは、全国の放送局を通じて27日時点の新型コロナウイルスに対応する病床や入院患者の数などについて都道府県に取材しました。

それによりますと、新型コロナウイルスの患者が入院するために確保している病床の数は、全国合わせて1万2500床余りで、先週に比べておよそ1200床増えました。

また現在の入院患者は少なくともおよそ6300人で、先週と比べるとおよそ350人減りました。

さらに軽症者に宿泊施設などで療養してもらう対応をとっているところは、27都道府県となり、先週から10か所増えました。

その結果、都道府県別に確保できている病床数に対して入院患者や入院などが必要な人の数が8割を超えているのは、先週から3か所減って、いずれも「特定警戒都道府県」の北海道と東京都、それに石川県の合わせて3都道県となりました。

一方で、宿泊施設や自宅で療養や待機をしている人は、病床が確保できていない人たちも含めて24都道府県で2400人を超えています。

宿泊施設や自宅で療養や待機をしている人
・大阪府 約600人
・埼玉県 400人超
・神奈川県 350人余
・千葉県 300人近く
・東京都 200人近く
・福岡県 200人近く

埼玉県で自宅待機中だった患者が死亡したことを受けて、厚生労働省は軽症者などの療養は宿泊施設を基本とする方針に変えましたが、ほとんどの都道府県は、病院や宿泊施設での療養を原則とする対応にしているとしています。

また、医療機関の役割分担を進めようと重症者と中等症の患者を診る「重点医療機関」をすでに定めているところは23府県で、検討や準備を進めているのが6都道県、18県は定めていないと回答しました。

さらに懸念していることを聞いたところ、病床や宿泊施設の確保に加え、宿泊施設で軽症者のケアを行う医師や看護師の確保が難しいといった声や感染拡大が続くにつれ、新型コロナウイルスの患者以外の医療への影響が懸念されるといった声が出ています。また、引き続き、医療用のマスクやガウンなどが不足する中での院内感染対策も多くのところが課題に挙げました。

感染症に詳しい川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は、「病床の状況は改善されてきたと見られるが、まだ十分ではない。医療資源が少ない地方で、感染者が一気に増えるおそれもあり、重症患者の治療を早く適切に行い亡くなる人を減らすために今後も医療機関が病床を増やし行政が支援することが必要だ。また、一般の人たちには、連休中も外出を控えるなど感染拡大を抑えるための協力をしてほしい」と話しています。

また、宿泊施設などでの療養が増えてきていることについて、「はじめは軽症であっても、容体が急変することもある。自宅療養の場合には、息苦しさを感じるなど具合が悪くなったと感じたら保健所などに連絡してもらいたい。行政や医療機関が連絡体制を整えるなど、医師や看護師が患者の健康を十分確認できる体制をとる必要がある」と指摘しました。