新型コロナ 新たな感染者
一部で前週より減少も
15道県では増加

2021年5月21日

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると、関西や首都圏などでは、いまだに感染者数は多いものの、横ばいから減少の傾向が見られる一方、新たに緊急事態宣言が出される沖縄県など、15道県では前の週より増加しています。

NHKは各地の自治体で発表された感染者数を元に、1週間平均での新規感染者数の傾向について前の週と比較してまとめました。

全国では

全国では、3月下旬から4月初めにかけては
前の週の1.4倍前後と感染は大きく拡大していましたが、
その後、増加のペースは下がりました。

▽4月22日までの1週間では前の週と比べて1.28倍、
▽緊急事態宣言の期間に入った4月29日は1.12倍、
▽5月6日は0.95倍、
▽5月13日は1.34倍、
▽20日まででは0.86倍と横ばいから減少の傾向となっていますが、
1日当たりの新規感染者数は、およそ5500人と多い状態が続いています。

また、15の道と県では前の週より新規感染者数が増えていて、
感染拡大のペースは4つの県で前の週より上がっています。

沖縄県では

このうち、新たに緊急事態宣言が出される沖縄県は、
大型連休明けから急速に感染が拡大しています。

▽5月6日までの1週間は前の週の0.77倍だったのが
▽5月13日は1.65倍、
▽20日まででは1.47倍で
1日当たりの感染者数が140人余りとなっています。

緊急事態宣言の地域では

現在、緊急事態宣言が出されている地域では、東京都や関西の2府1県、福岡県で横ばいから減少となっている一方、今週緊急事態宣言が出された北海道、広島県は増加の傾向が続いています。

東京都

東京都は、4月25日に緊急事態宣言が出されたあと、
▽大型連休直後の5月6日までの1週間では、
前の週の0.94倍と連休を挟んだ影響もあり、
減少傾向が見られましたが、
▽5月13日は1.27倍と再び増加、
▽20日まででは0.75倍と減少の方向に向かっています。

しかし、1日当たりの新規感染者数は、
700人余りで多い状態が続いています。

大阪府

大阪府は、4月初めまでは前の週の2倍を超える増加が続いていましたが、
4月5日に「まん延防止等重点措置」が適用されたあとは、
拡大のペースが下がり始め、
▽5月6日は0.82倍、
▽5月13日は0.95倍、
▽20日は0.63倍と減少の方向に向かっていて、
1日当たりの新規感染者数はおよそ550人となっています。

兵庫県

兵庫県も重点措置の適用後に感染拡大のペースが徐々に下がり、
緊急事態宣言のあと、
▽5月6日までの1週間では前の週の0.74倍、
▽5月13日は1.05倍、
▽20日は0.60倍で
1日当たり240人余りとなっています。

京都府

京都府も4月下旬から徐々に拡大のペースが下がり、
緊急事態宣言のあと、
▽5月6日までの1週間は前の週の0.94倍、
▽5月13日は1.04倍、
▽20日まででは0.97倍で
1日当たり130人余りとなっています。

福岡県

福岡県は、4月下旬まで前の週の2倍を超える急増が見られましたが、
その後、増減を繰り返していて
▽5月6日までの1週間は前の週の1.05倍、
▽5月13日は1.56倍、
▽20まででは0.88倍で
1日当たりの感染者数は430人余りとなっています。

愛知県

愛知県は3月下旬から増加が続き
▽5月6日までの1週間は前の週の1.02倍、
▽5月13日は1.83倍、
▽20日まででも1.03倍と感染の拡大が続き、
1日当たりの感染者数はおよそ560人となっています。

北海道

今週緊急事態宣言が出された北海道は、
大型連休前に感染の拡大傾向が顕著となり、
▽5月6日までの1週間は前の週の1.35倍と
▽5月13日は2.09倍と急拡大しました。
▽20日まででも1.19倍とペースは下がっているものの拡大が続き、
1日当たりの感染者数はおよそ550人となっています。

広島県

広島県は、4月中旬以降、感染の拡大が顕著となり、
▽5月6日までの1週間は前の週の1.66倍、
▽5月13日は2.17倍と感染が急拡大していました。
▽20日まででは1.19倍と増加のペースは下がりましたが、
1日当たり210人余りと多い状態が続いています。

岡山県

岡山県は、4月上旬以降、速いペースでの感染拡大が続き、
▽5月6日までの1週間は前の週の1.33倍、
▽5月13日は1.70倍となっていましたが、
▽20日まででは0.93倍で、
1日当たりの感染者数は145人余りとなっています。

まん延防止措置適用中の地域は

「まん延防止等重点措置」が適用されている地域では、
首都圏の3県など横ばいから減少となっている地域と、
愛媛県など大幅に減少している地域に分かれる状況になっています。

【神奈川県】
神奈川県は
▽5月6日までの1週間では前の週の1.02倍、
▽5月13日は1.30倍、
▽20日まででは0.97倍、
1日当たりの感染者数は280人あまりとなっています。

【埼玉県】
埼玉県は
▽5月6日までの1週間では前の週の0.99倍、
▽5月13日は1.27倍、
▽20日まででは0.82倍で、
1日当たりの感染者数はおよそ208人となっています。

【千葉県】
千葉県は
▽5月6日までの1週間では前の週の1.03倍、
▽5月13日は1.08倍、
▽20日まででは0.86倍で、
1日当たりの感染者数はおよそ130人となっています。

【岐阜県】
岐阜県は
▽5月6日までの1週間は前の週の1.24倍、
▽5月13日は2.01倍と感染の急拡大がみられましたが、
▽20日まででは0.99倍で
1日当たりの感染者数は120人余りとなっています。

【三重県】
三重県は
▽5月6日までの1週間は前の週の0.77倍、
▽5月13日は1.16倍、
▽20日まででは0.96倍で、
1日当たりの感染者数はおよそ44人となっています。

【愛媛県】
22日をもって重点措置が解除される愛媛県は
▽5月6日までの1週間は前の週の0.59倍、
▽5月13日も0.99倍、
▽20日まででは0.45倍と大きく減少していて
1日当たりの感染者数はおよそ9人となっています。

【群馬県】
今週、重点措置が適用された地域のうち、群馬県は
▽5月6日までの1週間は前の週の1.40倍、
▽5月13日も1.34倍と感染が拡大していましたが、
▽20日まででは0.63倍で
1日当たりの感染者数はおよそ56人となっています。

【石川県】
石川県は
▽5月6日までの1週間は前の週の1.11倍、
▽5月13日は1.95倍と、感染が急拡大していましたが
▽20日まででは0.67倍と減少に向かっていて
1日当たりの感染者数はおよそ39人となっています。

【熊本県】
熊本県は
▽5月6日までの1週間は前の週の0.88倍だったのが
▽5月13日は2.34倍と感染が急拡大しました。
その後、
▽20日まででは0.92倍となっていて、
1日当たりの感染者数はおよそ93人となっています。

専門家「効果は多少出ているが弱まっているのでは」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は現在の感染状況について「緊急事態宣言が出されてから1か月近くとなり、効果は多少出ているものの、以前の2回に比べて弱まっているのではないかとも感じている。東京都や大阪府でも減少傾向が見られているが、これから本当に感染が下がっていくのか、慎重に見ていく必要がある。今後、感染者数が下げ止まったり、リバウンドしたりするリスクは十分に考えられ、そうなった場合に行う強い対策についても早めに議論していく必要がある」と指摘しました。

今月31日が期限の緊急事態宣言の解除の判断について「あと10日しかなく、東京都や大阪府で感染状況がステージ2になるまで劇的に改善するとは考えにくい。解除のタイミングについては今後、十分に解析して議論されたうえで判断していく必要がある」と話しています。

また舘田教授は、インドで広がる変異ウイルスについて「国内ではまだ急激な感染者の増加はみられていないが、イギリスで広がった変異ウイルスより感染力がさらに高いとする報告も出てきている。さらなる感染拡大を招くという最悪のシナリオを回避するためにも、監視体制や水際対策の強化が、ますます重要になってくる」と述べ、対策を強化する重要性を強調しました。