北海道 鈴木知事
国の緊急事態宣言 措置を札幌限定で求める

2021年5月13日

札幌市を中心とした感染の拡大を受けて、北海道の鈴木知事は、政府に対し、国の緊急事態宣言のもとで行われる措置を札幌市に限定して講じるよう求める考えを示しました。

道内では5月13日、1日の感染確認が、札幌市で500人前後、北海道全体で700人前後と、これまでの最多を大幅に上回り、札幌市を中心に感染が拡大しています。

これを受けて鈴木知事は、道議会の本会議で「連日、過去最多の感染者数を確認していることも踏まえ、緊急事態措置の、地域を限定した運用などについて札幌市の意向も踏まえ、国に求めていきたい」と述べ、政府に対し国の緊急事態宣言のもとで行われる措置を、札幌市に限定して講じるよう求める考えを示しました。

そのうえで、鈴木知事は「医療崩壊を防ぐため、全道を対象とした『北海道医療非常事態宣言』を速やかに発出し、すべての道民に対する不要不急の外出自粛を要請する必要がある」と述べ、近く対策本部会議を開いて、まん延防止等重点措置の対象地域に感染が拡大し、札幌市との行き来も多い石狩地方と小樽市、それに、旭川市を加えることなどを決定する考えを示しました。

札幌市 秋元市長「いますぐにでも緊急事態宣言を出すべき状況」

札幌市の秋元市長は、5月13日開いた対策本部会議の中で「札幌市の感染状況は今週に入って拡大傾向がいっそう顕著になっていて、政令市の中で最も厳しい。従来であれば入院していた人も自宅療養してもらうことが避けられない状況だ」と強い危機感を示しました。

そのうえで「いますぐにでも緊急事態宣言を出すべき状況にあるので、国や道に働きかけていく」と述べました。

そしてPCR検査や感染経路の調査など、保健所の業務量が急増していることから、保健所の体制を現状の3倍にあたる1000人規模に拡げるため、各区役所などに対し、通常業務を縮小して保健所に職員を応援派遣するとともに、それぞれの区役所に「新型コロナウイルス感染症対策室」を設け、感染経路の調査や自宅療養者の経過観察を担うなど、コロナ対策に全職員が一丸となって取り組むよう指示しました。

専門家「リスクをできるかぎり下げる行動を」

北海道内で新型コロナウイルスの感染が急速に拡大していることについて、感染症が専門の札幌医科大学の横田伸一教授は「現在の感染者の数は、2週間前の行動の結果を示している。新年度になり人の移動が増え、触れ合うことが増えたことが、1つの要因と考えられる。もう1つは、大阪や神戸のように、感染したウイルスが、従来のウイルスよりも感染力が強いとされる、イギリスで最初に見つかった変異ウイルスに、道内も置き換わったからだと考えられる」としています。

そのうえで、感染した人のうち8割から9割が、すでに変異ウイルスに置き換わっているのではないかと分析しています。

さらに横田教授は感染者が急増している今こそ、対策の徹底が重要だとして「マスクの着用、人との距離を取ること、会食を抑制していくことなど、一つ一つの手段がリスクを下げることにつながる。それでもリスクはゼロにならないため、それぞれの手段を組み合わせて、リスクをできるかぎり下げる行動を取ってほしい」と注意を呼びかけていました。