「第5波の兆候はっきり」
感染者の増加ペース 全国で上昇

2021年7月16日

新型コロナウイルスの新規感染者数を1週間平均で比較すると「緊急事態宣言」が出された東京都では、感染者数の増加のペースが上がっています。また「まん延防止等重点措置」がとられている首都圏の3つの県や大阪府でも、再び増加傾向が顕著となっています。

NHKは、各地の自治体で発表された感染者数をもとに、1週間平均での新規感染者数の傾向について前の週と比較してまとめました。

全国 増加ペース上がる

全国では、
▽6月17日までの1週間では前の週と比べて0.74倍、
▽6月24日までは0.94倍と
6週連続で新規感染者数の減少が続いていましたが、
▽7月1日までは1.04倍、
▽7月8日までは1.16倍、
▽7月15日まででは1.41倍と増加のペースが上がっています。

1日当たりの新規感染者数は、およそ2454人となっています。

東京都 4回目の「緊急事態宣言」だが…

7月12日から4回目の「緊急事態宣言」が出されている東京都は、
6月中旬までは5週連続で減少傾向となっていましたが、
6月下旬に再び増加傾向となり、
▽7月1日までの1週間では前の週の1.19倍、
▽7月8日までは1.27倍、
▽7月15日まででは1.33倍と
4週連続で増加傾向が続いていて、増加のペースも上がってきています。

1日当たりの新規感染者数はおよそ882人と先週よりおよそ220人増え、人口当たりの感染者数は全国で最も高い水準となっています。

沖縄県 「緊急事態宣言」延長するも…

また「緊急事態宣言」が延長された沖縄県では
▽7月1日までの1週間では前の週の0.86倍、
▽7月8日までは0.78倍と5週連続で減少傾向となっていましたが、
▽7月15日まででは1.09倍と再び増加傾向となっています。

1日当たりの新規感染者数は55人で、人口当たりでみても高い水準となっています。

「まん延防止等重点措置」

「まん延防止等重点措置」が適用されている府県のうち、首都圏の3県では再び感染拡大の傾向が顕著となっていて、大阪府でも新規感染者数が増加傾向となっています。

神奈川県 6月下旬までの減少傾向が

神奈川県は、
6月下旬までは6週連続で減少傾向となっていましたが、
その後、再び増加傾向となり、
▽7月1日までの1週間では前の週の1.14倍、
▽7月8日までは1.15倍、
▽7月15日まででは1.45倍と増加のペースが上がっています。

1日当たりの新規感染者数はおよそ344人となっていて、

人口当たりでみても高い水準となっています。

埼玉県 増加ペース上がる

埼玉県は
▽7月1日までの1週間では前の週の1.15倍、
▽7月8日までは1.32倍、
▽7月15日まででは1.48倍と増加のペースが上がっています。

1日当たりの新規感染者数は、およそ188人となっています。

千葉県 増加傾向が顕著に

千葉県は
▽7月1日までの1週間では前の週の1.10倍、
▽7月8日までは1.22倍、
▽7月15日まででは1.28倍と、増加傾向が顕著になってきています。

1日当たりの新規感染者数は、およそ189人となっています。

大阪府 横ばいの状況から増加傾向に

大阪府は、
6月下旬から新規感染者数は横ばいの状況が続き、
▽7月1日までの1週間では前の週の0.96倍でしたが、
▽7月8日までは1.28倍と増加傾向となり、
▽7月15日まででは1.78倍となっています。

1日当たりの新規感染者数は、およそ216人となっています。

「重点措置」解除の自治体は…

また7月11日を期限に「重点措置」が解除された5つの道府県では、新規感染者数は少ない水準ですが、いずれも増加傾向となっています。

北海道 減少傾向から再び増加傾向に

北海道は
▽7月1日までの1週間では
前の週の0.69倍で5週連続で減少傾向でしたが、
▽7月8日までは1.22倍、
▽7月15日まででは1.52倍と再び増加傾向になっています。

1日当たりの新規感染者数はおよそ62人です。

愛知県 減少傾向から再び増加傾向に

愛知県は
▽7月1日までの1週間では
前の週の0.55倍で6週連続で減少傾向でしたが、
▽7月8日までは1.11倍と
▽7月15日まででは1.25倍と再び増加傾向になっています。

1日当たりの新規感染者数はおよそ64人です。

京都府 7月に入り増加傾向

京都府は
6月下旬までは6週連続で減少傾向でしたが、
▽7月1日までの1週間では前の週の1.12倍、
▽7月8日までは1.13倍、
▽7月15日まででは1.68倍と増加傾向となっています。

1日当たりの新規感染者数はおよそ29人です。

兵庫県 7月に入り増加ペース上がる

兵庫県は、
6月下旬までは6週連続で減少傾向でしたが、
▽7月1日までの1週間では前の週の1.03倍、
▽7月8日までは1.36倍、
▽7月15日まででは1.77倍と増加のペースが上がっています。

1日当たりの新規感染者数は54人となっています。

福岡県 減少傾向から増加傾向に

福岡県は
▽7月1日までの1週間では
前の週の0.93倍と7週連続で減少傾向でしたが、
▽7月8日までは1.07倍、
▽7月15日まででは1.77倍と増加傾向になっています。

1日当たりの新規感染者数はおよそ58人です。

専門家「全国的に第5波の兆候がはっきり」

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会のメンバーで、東邦大学の舘田一博教授は現在の感染状況について「全国的に感染の第5波の兆候がはっきりと見えてきている。特に東京都を中心とした1都3県は、非常に厳しい状況になりつつある。東京では緊急事態宣言が出たが、かなりのペースで増加しており、このままいくと1か月後には、1日の感染者数が2000人を超えるような状況にもなってしまうという懸念が出てきている」と話しています。

また、緊急事態宣言が延長された沖縄県については「減少傾向が続いていたが、下げ止まりがみられてきている状況だ。今でも50人を超える感染者が出ていて、このまま夏休み、連休、そして、お盆になってたくさんの観光客が沖縄を訪れることを考えると、再増加に転じるリスクが高まっている」と話しました。

大阪府については「順調に下がっていたが、先週から今週にかけて急激に増加のペースが上がり、感染者数も1日300人を超えるような状況が見られている。京都府、兵庫県も同じようなペースで増加しており、大阪、京都、兵庫では感染のリバウンドが鮮明になってきた。このままの状態が続くと一気に感染状況が悪化し、医療現場がひっ迫するリスクも高まってきている」と話しています。

今後の見通しについて舘田教授は、「緊急事態宣言の効果が出るのは1週間、2週間後ぐらいになることを考えると、オリンピックが始まる時期に東京の感染者数が減少に転じるかどうかが非常に注意しておかなければならない。もし減少傾向が見られず、さらに感染者が増えて、医療のひっ迫がどんどん高まっていくという状況になるならば、オリンピックも含め、さらに強い対策を取ることを考える必要がでてくるのではないか」と話しています。