政府の新型コロナ分科会
新型コロナ「5段階のレベル」で対策へ
医療ひっ迫度を重視

2021年11月7日

新型コロナウイルスのワクチン接種や治療薬の開発が進むなど、状況が変わってきたとして、政府の分科会は、これまで対策を検討する際の元としてきた「ステージ」の考え方を改め、医療のひっ迫の度合いをより重視して、5段階のレベルに分けて対策を行うとする新たな考え方の案をまとめました。

これにより、医療のひっ迫が起きない水準に感染を抑えることで、日常生活や社会経済活動の回復を促すべきだとしています。

新型コロナ対策は、これまで都道府県ごとに感染や医療の状況に応じて「ステージ1」から、最も深刻な「4」までの4段階で判断し、それぞれに応じた対策が取られてきましたが、政府の分科会はワクチン接種や治療薬の開発が進み、感染しても軽症の人の割合が増え重症者用の病床の使用率が下がるなど、状況が変わってきているとして対策の元となる新たな考え方の案をまとめました。

新たな案では、都道府県ごとの感染状況を、感染者がいない状況を維持できている「レベル0」から、一般医療を大きく制限しても新型コロナの医療に対応できない「レベル4」まで、5つの段階に分け、それぞれ求められる対策を示しています。

このうち「レベル0」と、感染者がいても安定的に医療の対応ができる「レベル1」では、ワクチン接種をさらに進めて医療体制の強化するとともに、マスクや消毒などの基本的な対策や検査体制の充実、感染源の調査の徹底などを行うとしています。

分科会は「レベル1」を「維持すべきレベル」としていて、日常生活や社会経済活動の段階的な回復が可能だとしています。

「レベル2」は、感染者の増加傾向が見られ、病床の数を増やすことで医療が必要な人への適切な対応ができている状況で「警戒を強化すべきレベル」としています。

その時点での感染や医療の状況や予測を都道府県が示し、感染リスクの高い行動を避けるよう呼びかけ、保健所の体制強化や病床の確保を段階的に進めることが求められるとしています。

「レベル3」は、一般医療を相当程度制限しなければコロナ対応ができない「対策を強化すべきレベル」で、これまでの考え方では「ステージ3の最終局面」か「ステージ4」にあたるとしています。

各都道府県が「確保している病床の数」が「3週間後に必要と推計される病床の数」に達した場合や、病床の使用率が50%を超えた場合に「レベル3」であると判断するとしていて、特に大都市圏では緊急事態宣言や病床のさらなる確保に加えて飲食店やイベントの人数や時間の制限などが求められるとしています。

最も深刻な「レベル4」は、一般医療を大きく制限しても新型コロナの医療に対応できない状況で、「避けたいレベル」だとしています。

この段階では、一般医療の更なる制限や地域を越えた病床の調整など「災害医療」としての対応が求められるとしています。

分科会は、感染者数の増加によって医療がどれだけひっ迫するかは、各都道府県で異なるため、レベルの判断は各都道府県が感染者数や増加率、検査の陽性率、病床使用率、自宅での療養者と療養調整中の人の数、重症者数などの指標とともに、今後の状況を予測するツールを使って総合的に判断するとしていて、具体的な数値の目安は示していません。

一方で、強い対策を解除する目安については、これまでの考え方を維持して、病床使用率が50%未満、入院率や重症者数が改善傾向にあること、自宅での療養者と療養調整中の人の数の合計が大都市圏では10万人当たり60人程度に向けて確実に減少していること、感染者数が2週間ほど続けて下降傾向にあることなどをもとに解除する必要があるとしています。

この案は、11月8日に開かれる分科会での議論を経て、正式に決定される見通しです。