政府の新型コロナ分科会
政府分科会
感染拡大地域との往来自粛など求める提言案提出

2020年11月25日

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会が、現在開かれています。専門家側からは感染が急速に拡大している地域との間の、往来の自粛などを求める提言の案が出されました。

新型コロナウイルス対策にあたる政府の分科会は、午後6時から開かれ、最近の感染状況や、さらなる対策の強化について議論が行われています。

現在の感染状況について、11月24日開かれた厚生労働省に助言する専門家の会合では「特に北海道や首都圏、関西圏、中部圏を中心に顕著な増加が見られる」と評価していて、このままの状況が続けば、入院患者や重症患者が増加し、医療現場がひっ迫して、通常では助けられる命が助けられなくなるとして、強い危機感を示しました。

これを受けて開かれている11月25日の分科会では、専門家側が現状の感染状況についての危機感を共有し、感染対策の強化を求めるための提言の案を提出しました。

案では都道府県に対して、感染が急速に拡大している「ステージ3」にあたる地域を早期に判断して、3週間程度の短期間に集中して対策を行ってほしいとしています。

そして、感染が急速に拡大している地域との間の往来の自粛を求めているほか、「ステージ3」にあたる地域では、酒を提供する飲食店への営業時間短縮の要請などを、速やかに検討するよう求めています。

分科会の終了後には、尾身会長が記者会見して、具体的な提言の内容について説明する予定です。

西村経済再生相「医療のひっ迫 何としても回避を」

分科会の会合の冒頭、西村経済再生担当大臣は「新規陽性者の増加傾向が強まり、最大限の警戒感をもって対応している。特に感染者の数が増加している地域では、医療のひっ迫が懸念されており、国民の命を守るため、何としても回避しなければならない」と述べました。

そのうえで、当面、2021年2月末まで継続するとしている、イベントの開催制限について、地域の感染状況に応じて、都道府県知事の判断で、より厳しい制限を課すことも可能だと、改めて都道府県に通知する考えを示しました。

一方、田村大臣は「『通常の医療を提供しづらくなっている』という、悲鳴のような声も聞いている。医療が崩壊すれば、国民の命を守れないし、大変な局面に入りつつあるので、より緊張感をもって取り組みたい。国民には、ぜひ、マスクの着用をはじめとする予防策を徹底してほしい」と述べました。

新型コロナウイルスの感染状況をめぐって、厚生労働省に助言する専門家の会合は11月24日、各地で入院者数や重症者数の増加が続いているとして、「このままの状況が続けば、通常では助けられる命が助けられなくなる」と強い危機感を示しました。

分科会では、こうした状況を踏まえ、さらなる対策の強化について意見が交わされています。

尾身会長「ステージ4は絶対に避ける必要がある」

分科会の尾身茂会長は会合のあとの記者会見で、感染が急速に拡大している具体的な地域について、ステージ3にあたると判断するのは都道府県だとしたうえで「分科会の共通の考えとして札幌市がまず当てはまる。さらにここにきて東京23区を中心とした地域や大阪市、名古屋市などもあたると考えている」と述べました。

そして、強い対策を求める提言を出したことについて「これ以上の強い対策は多くの人にとって負担になることは十分理解しているが、このまま放っておくと医療の体制などが大変なことになるというのが現実だ。もう一度ここで、私たちが提言している対策を実行してもらえば感染を下火にすることは可能だと思う。感染が爆発的に拡大し、緊急事態宣言のような対策が必要な『ステージ4』に至るのを絶対に避ける必要がある」と述べました。

また、「Go Toトラベル」の運用の見直しで政府が感染が拡大している地域を出発地とする旅行を除外していないことについて、今回、分科会が出した提言では出発地も除外の対象とするよう求めました。

これについて尾身会長は「専門家は感染拡大防止のために有効な方法を提言するのが仕事であり、専門家として言えるのは感染対策をとるうえで感染が拡大している地域に『入る動き』も『出る動き』も一緒に抑えるのが最も有効だということだ。提言を受けてどういう対策をとるかを判断するのは政府の役割だと考えている」と述べました。