政府の新型コロナ分科会
「増加と減少の要因きっ抗、
いつ拡大してもおかしくない」

2020年10月15日

新型コロナウイルスの感染の状況について、現在は、増加する要因と減少する要因がきっ抗しており、いつ拡大してもおかしくないとして、対策にあたる政府の分科会は、どのような具体的な行動がリスクが高いか、詳細な分析に基づいて示すよう政府に求める提言をまとめました。

10月15日行われた政府の分科会では、感染状況についての専門家の分析に基いて、政府に対する提言をまとめました。

提言では、現在の感染状況について、感染の増加要因と減少要因がきっ抗していて、大幅な増加が見られない一方で、急激な減少も見られない状況が続いているとしています。

具体的に、増加要因としてはなるべく普通の生活に戻りたいという気持ちが醸成され、活動が活発化していることや、クラスター発生の場も多様化していることを挙げた一方、減少要因としては、感染リスクの高い場所や行動を控えていることなどを挙げています。

しかし、増加と減少の要因がきっ抗している状態はいつ崩れてもおかしくなく、実際に増加傾向を示す地域もあり、クラスターの連鎖が起きた場合には、感染が拡大するリスクがあるとしています。

その上で、分科会では、政府に対し、どのような具体的な行動がリスクが高いか詳細な分析に基づいて示すとともに、クラスターからの感染拡大を防ぐ対応を早期に行うよう求めました。

分科会の尾身茂会長は「いまの感染状況の背景にどんなことがあるのか、これから何をすべきなのか説明することが専門家の責務と考え、提言をまとめた。政府には、どんな行動が感染リスクが高く、どんな行動が低いのか、わかりやすいメッセージを速やかに発信していただきたい」と述べました。

このほか、尾身会長は、来年から実施される大学入学共通テストで、保健所から濃厚接触者とされ、14日間の健康観察中の受験生でも、当日に無症状の場合は受験を認めるなどとした対策を了承したことについて、「受験生の場合、会場にいる人が特定されていて、全員がマスクをするなど、専門家の視点からみても適切な感染対策が講じられていると判断した」と説明しました。