新型コロナの歓楽街対策
国が支援を
専門家が政府分科会で提言

2020年8月24日

接待を伴う飲食店が集まる歓楽街から、新型コロナウイルスの感染が広がらないよう、店の関係者などが検査を迅速に受けられるようにするとともに、感染者の調査にあたる保健所の支援なども行う組織を早急に作るよう国に求める提言を専門家がまとめ、政府の分科会に示しました。

提言は、政府の分科会に参加している専門家がまとめ、8月24日開かれた会合で示されました。

それによりますと、緊急事態宣言が解除された後に起きた感染拡大は当初、接待を伴う飲食店が集まる東京などの歓楽街から、各地に広がったことが、これまでの調査でわかっているとしたうえで、歓楽街からの感染拡大を防ぐため、国が中長期的な対策にあたる組織を作り、地域と連携して対応することが重要だとしています。

具体的には店の従業員や客などが検査を迅速に受けられるようにすることや感染者の調査や入院などに関わる保健所の業務の支援が必要で、手続きの簡素化など柔軟な対応が求められるとしています。

また、歓楽街の関係者と信頼関係を築き、現場での感染対策のアドバイスを行うなど実態に即した支援が必要だとしています。

分科会の尾身茂会長は、「感染が仮に下降傾向になったとしてもいずれ、同じような環境から再び広がることも十分考えられる。感染対策には、歓楽街の方々と信頼関係を築きながら保健所などの現場を支援する仕組みが非常に大切だ」と話しています。

尾身会長 「指定感染症の運用 議論し整理する必要ある」

新型コロナウイルスによる感染症は現在、感染症法に基づいて強制的な医療機関への入院など、患者などに対する強制的な措置をとることができる「指定感染症」になっています。

一方で、国が感染者全員について把握する必要があり、調査を行う保健所の業務が過多になっていることにもつながっているとされています。

8月24日開かれた政府の分科会では、指定感染症としていることのメリットやデメリットを厚生労働省の専門家の会合で議論することが決まったということです。

記者会見で分科会の尾身茂会長は、「当初は未知だったウイルスについて、効果的な対策方法が明らかになりつつあるが、現状では、非常に軽症な人や無症状の人でも感染がわかると、国に届け出て、健康観察のために連絡を取るといった対応が必要で、保健所などの現場に大きな労力が掛かっている。今の運用で、どんな不都合があり、どんなことが許容されるのか、一度腰を据えて議論し、整理する必要があると考えている」と述べました。