「発症日ごとのデータ」
政府分科会が初めて公開
「徐々に拡大」

2020年7月22日

新型コロナウイルス対策の政府の分科会で、感染の状況を正確に分析するために必要とされる患者の発症日ごとの人数を示したデータが、緊急事態宣言の解除後、初めて公開されました。

分析した専門家は現在の状況について「爆発的な感染拡大には至っていないが、徐々に拡大している」と評価し、政府に対して基本的な感染対策の徹底をさらに呼びかけるなどの対応を求めました。

政府の分科会が初めて示した「発症日ごとのデータ」

以下5点:いずれも政府の分科会資料より / それぞれ上段は「発症日ごと」下段は「診断日もしくは確定日ごと」

感染状況の正確な把握に必要とされる「発症日ごとのデータ」

感染者数のデータは、感染が確定した人数を各自治体が連日、発表していますが、報告の遅れなどによって日ごとの数が上下することから、感染状況を正確に把握するためには、患者が発症した日ごとのデータを分析する必要があるとされています。

7月22日の分科会では、緊急事態宣言の解除後、初めて、患者の発症日ごとのデータが示されました。

発症者が対象のため、無症状の人は含まれませんが、たとえば東京では、患者数は感染が確認された日ごとのデータで見るより、数日早く、5月下旬から増え始め、7月上旬以降は150人を超えるなど数は多いものの、増え方は3月から4月にかけて感染が拡大したときの方が急になっています。

現在の感染状況「徐々に拡大 実効ある対策が求められる」

専門家は、全国の状況を分析した上で、現在の感染状況について感染者の8割以上は二次感染を起こしていない一方、3密の環境では数十人単位のクラスターが起きていて、中高年への感染拡大が懸念されるとしています。その上で、「爆発的な感染拡大には至っていないが徐々に拡大していて、増加している地域では社会経済に十分配慮した上で実効ある対策が求められる」と評価しました。

そして、政府が現時点で取り組むべき対策として病院や福祉施設などでのクラスターの防止や早期封じ込め、3密を避けるなど基本的な感染予防対策の徹底を求めました。

医療体制「早急に病床などの確保に取り組むことが必要」

医療体制については、ひっ迫する状況ではないものの重症者の数は感染者数が増加した20日ほど後に増加する傾向があるとして、早急に病床や宿泊療養施設の確保に取り組むことが必要だとしています。

分科会 尾身会長「より適切なデータもとに状況分析できた」

分科会の尾身茂会長は記者会見で「今回はより適切なデータをもとに、状況の分析や対策について提案できた。爆発的感染にならないとも限らないので、政府には速やかに対策を実行に移してもらいたい」と話しています。