新型コロナ 女児死亡 急性脳症の症状は
異変に気付くには

2022年5月2日

栃木県で基礎疾患のない10歳未満の女の子が新型コロナウイルスに感染し、4月29日、亡くなりました。

子どもは新型コロナで重症化しにくいとされ、厚生労働省によりますと10歳未満の子どもで亡くなったのは4月26日までで4人と極めてまれです。

栃木県によると、今回亡くなった原因は急性脳症。

急性脳症とは。

どんな点に気をつければいいのか、専門家に聞きました。

基礎疾患のない10歳未満の女の子が急性脳症で死亡

栃木県によりますと、女の子は4月下旬、新型コロナウイルスに感染し発熱などの症状はあったものの、軽症だったため保健所の指示で自宅で療養していたということです。

しかし、その後、容体が急変して病院に救急搬送され集中治療室で治療を受けていましたが、4月29日、感染による「急性脳症」で死亡したということです。

栃木県によりますと、女の子は新型コロナウイルスのワクチンを接種できる5歳に達していましたが、これまでに接種はしていなかったということです。

急性脳症の症状とは

急性脳症とはどんな症状なのでしょうか。

「小学生くらいまで報告があり注意必要」

小児科医で臨床ウイルス学が専門の北里大学の中山哲夫特任教授は「急性脳症は新型コロナウイルスに特有の症状ではなく、さまざまな感染症で起きる。感染症にかかった場合に体内で最初に働く免疫の仕組み『自然免疫』が働き、『炎症性サイトカイン』という物質が過剰に出ることで起きる。5歳以下での報告が多いが、たとえばインフルエンザによる脳症は小学生くらいまで報告があり、注意が必要だ」と指摘しました。

特徴的な症状として「意識障害」

脳症の特徴的な症状として「意識障害」があるということで中山特任教授は「子どもがとろとろとして眠りたがる様子がみられるときや、名前を呼んだりつねったりしたときに、いっとき目を開けてもまた眠ってしまうような様子がみられるときにはすぐに医療機関を受診してほしい。親から見て『ふだんと違う』と感じるなら受診してほしい。子どもの場合、急に症状が悪化することがあるので、状況をこまめにみてあげてほしい」と話しています。

新型コロナワクチン「反応を和らげることは期待できる」

また、脳症に対する新型コロナワクチンの効果については「脳症はウイルスが脳に入るわけではないので、ワクチンを接種して抗体ができても、直接、脳症を防げるわけではないが、ワクチン接種で感染のリスクを下げたりウイルスの増殖を抑えたりすることで『炎症性サイトカイン』の量が減り、反応を和らげることは期待できる」と話しています。

「クループ」と呼ばれる症状に注意

さらに、特に、鼻やのどといった上気道の炎症を引き起こしやすいオミクロン株の場合、脳症だけでなくのどの奥、気管の入り口付近に炎症が起きる「クループ」と呼ばれる症状に注意が必要だとしています。

『ケンケンケン』『ウーッ』乾いたせき 緊急に医療機関へ

中山特任教授は「クループが起きると、息が吸えなくなり、呼吸障害を起こしてしまうことがある。『ケンケンケン』といった乾いたせきや、『ウーッ』という見るからに苦しそうな乾いたせき、それに息を吸うのも苦しそうなせきが出ていれば、緊急に医療機関を受診してほしい」と呼びかけています。