コロナ禍の修学旅行
大手旅行会社手配の3分の1以上で中止に

2022年2月12日

新型コロナウイルスの影響で学校行事の中止が相次ぐ中、大手旅行会社が2022年度、手配する予定だった修学旅行が、3分の1以上で中止となったことがわかりました。

実施するか現在も検討中の学校もあり、オミクロン株が拡大する中、中止がさらに増える可能性もあります。

大手旅行会社の「近畿日本ツーリスト」では、2022年度、4202校の修学旅行を手配する予定でしたが、
▽実施できたのが54%にあたる2284校だったのに対し、
▽新型コロナの影響ですでに中止が決まったのは36%にあたる1531校でした。
このほかの387校は3月までに実施する計画にしていますが、年度末まで残り少なくなったこの時期に最終的な判断を行う学校が多く、オミクロン株が拡大する中で中止がさらに増える可能性もあります。

修学旅行が最終学年で行われる予定だった場合、これ以上の延期はできず、学校は保護者や子どもたちから意見を聞くなどして慎重に対応を検討しています。

近畿日本ツーリストの担当者は「今年度は感染防止対策を取って何とか実施しようという学校が前年度より多かったが、オミクロン株の拡大で年明けから中止する学校が増えている。旅行会社として子どもたちのためにサポートしたい」と話しています。

修学旅行に続き 卒業式直前の遠足も不透明に

新型コロナウイルスの影響で修学旅行を中止した中学校では、オミクロン株の拡大を受けて卒業式直前の遠足が実施できるかも不透明になっています。

横浜市立六角橋中学校の修学旅行は当初2021年5月に、3年生およそ300人が2泊3日で京都と奈良に向かう予定でしたが、感染拡大の影響でいったん9月に延期されました。

しかしその後も感染が収束せず、さらに延期をすれば受験に影響するなどとして、9月に中止を生徒に伝えました。

学校では2月28日に「卒業遠足」が計画されていて、学校側は今の3年生は2年間以上、新型コロナに翻弄されてきたため、思い出を作ってもらいたいと行き先の検討を進めています。

しかしオミクロン株が急拡大する中、3月の卒業式を前に感染者を出さないよう、遠足も中止して対策を徹底すべきか頭を悩ませています。

2年以上前から修学旅行を計画していた3年生の担任の清塚航太教諭は「3年生にとって仲間と過ごす3年間は、残りあと1か月ほどになってしまいました。1年生のころから休校や行事の縮小、中止が続いてきたので、コロナでなくなってしまった楽しい思い出を少しでも作って卒業してほしいです。しかし、誰も感染せずに卒業式を迎えて子どもたちの名前を呼びたいという強い思いもあるので、卒業遠足を行っていいのか、難しく感じています」と話していました。

行き先変更し 修学旅行を実施する学校も

いっぽう、行き先や日程を変更したうえで感染対策をとり、修学旅行を実施する学校もあります。

東京 渋谷区の千駄谷小学校では当初、修学旅行は2021年7月に行われることになっていて、6年生およそ70人が2泊3日で、栃木県の日光市を訪れる予定でした。

新型コロナの感染が収束しなかったため、いったんは10月に、さらに2月下旬に延期されましたが、オミクロン株の急拡大を受けて、1月24日、日光市への修学旅行の中止が決まりました。

それでも学校側は子どもたちに思い出を作ってもらいたいと行き先を東京の高尾山に変更し、2月末から修学旅行を実施する予定です。

感染リスクを抑えるため、日程を1泊2日に短縮したうえで、初日の夜に保護者が迎えにきて自宅に泊まり、翌日再び合流することも認めるなど柔軟に対応することにしています。

千駄谷小学校の加納一好校長は「子どもたちに、楽しい思い出を1つでも多く作ってあげたいという気持ちです。コロナが収束してさまざまな教育活動が安心して再開できるようになってほしいです」と話していました。

男子児童の1人は「時期も行き先も変更になり残念ですが、行けるだけで幸せなので高尾山でしっかり楽しみたいです」と話していました。