保育所やこども園の全面休園
前週の約2倍 過去最多の644か所に

2022年1月31日

厚生労働省が全国からの報告をまとめたところによりますと、新型コロナウイルスに子どもや職員が感染し全面休園となった保育所やこども園は、1月27日の時点で37の都道府県の644か所に上っています。前の週は27の都道府県の327か所でしたが、1週間で2倍近くに増え、2週続けて過去最多となりました。

新型コロナウイルスの感染急拡大の影響で保育園が繰り返し休園になり、今後の生活に不安を抱える母親もいます。

大阪 吹田市内の会社で経理の仕事をしている大阪・西区の南里沙さん(36)は、1歳半の娘を近くの保育園に預け正社員として働いています。

しかし、保育園に通う子どもたちや園の職員に感染者が相次ぎ、保育園は1月だけですでに3回、休園と再開を繰り返しているということです。

3回の休園のうち2回は、仕事中、保育園からすぐに迎えに来るよう連絡があり、急きょ、仕事を切り上げざるを得ませんでした。

南さんは「リモートワークができない職種なので、休園になると仕事を休まざるを得ず困っています。オミクロン株が流行してからは保育園も子どもが鼻水やせきの症状があるだけで預かってくれなくなり、育児の緊張感と負担が増しています」と話しています。

そのうえで「国や自治体は子どもの保育園が休園になったとき、保護者が休みを取りやすいようにしたり、給与面でも不利にならないようにしたりするなど支援してほしいです」と訴えていました。

仕事 休まざるを得なくなる人相次ぐ

保育園や幼稚園の休園が相次いで子どもを預けられず、仕事を休まざるを得なくなる人が相次いでいます。

山口県内に単身赴任中だという大阪市の36歳の会社員の男性は、6歳と4歳の2人の子どもが近くの幼稚園に通っていますが、先週月曜日に新型コロナの感染者が出たため休園になりました。

妻も会社員として働いていて仕事を休むことができず、男性は急きょ、単身赴任先から戻り、オンラインや半休を活用して子どもたちの世話をしていました。

男性は「突然の対応で困っています。もっと子育てが対応しやすい社会になってほしいです」と話していました。

また、大阪市内で飲食店を経営する36歳の男性は、5歳と2歳の子どもが通う保育園で新型コロナの陽性者が出たとして、急きょ、休園を告げられ、子どもたちを迎えに行ったといいます。

店はスタッフに任せて、何とか切り盛りしてもらいましたが、今後、急な休園が続くと店の営業にも支障が出かねないと懸念しています。

男性は「ランチやディナーの時間だと、急に迎えに行けなかったりすることも考えられますし、この先が心配です」と話していました。

大阪 ベビーシッター派遣会社には依頼急増も…

幼い子どもたちの新型コロナウイルスへの感染が急拡大する中、保育園や幼稚園などの休園が各地で相次ぎ、大阪のベビーシッター派遣会社には依頼が急増しています。

ただ、派遣先の子どもが濃厚接触者ではないと確認することが難しいことから依頼を断らざるを得ないケースも多く、対応に苦慮しています。

大阪府内では1月30日、感染が確認された未就学児は688人に上るなど幼い子どもたちへの感染拡大が続き、保育園や幼稚園などの休園が相次いでいます。

大阪 淀川区にあるベビーシッターの派遣などを行う会社では先週から依頼が急増し、これまでの3倍にあたる1日60件ほどに上っていますが、依頼を断らざるを得ないケースが増えていると言います。

会社では感染拡大防止のため、子どもや親が濃厚接触者ではないことを派遣の条件としていますが、感染の急拡大で保健所などによる濃厚接触者の特定が遅れ、思うようにベビーシッターを派遣できなくなっているということです。

会社では独自に親への聞き取り調査を行って、濃厚接触者の可能性が低いと判断すればベビーシッターを派遣していますが、依頼に応じられるのは、全体の3割程度にとどまっているということです。

ベビーシッター派遣会社を経営する上田理恵子さんは「依頼があっても派遣できないのはとてももどかしいです。どうしたらベビーシッターを派遣して子育て中の親御さんを助けられるのか、日々考えています」と話していました。