子どもの感染増
教育現場での基本的対策を公表 国立感染研

2021年8月26日

新型コロナウイルスの子どもへの感染が増えていることから、国立感染症研究所は、これまでの感染事例の調査から分かった学校などの教育現場での基本的な対策について公表しました。

これは、国立感染症研究所が8月25日に開かれた厚生労働省の専門家会合で示したものです。

この中では、デルタ株のまん延に伴い
▽10代以下の感染者数が増加傾向にあるとしたうえで、
小学校では
▽教職員を発端とした比較的規模の大きなクラスターが複数発生している一方で
▽児童の間での感染が大規模なクラスターになったケースは確認されていないことなどを紹介しました。

そして、保育所や幼稚園、大学までの学校、それに塾などでの対策として
▽全員の体調を確認して、体調不良時の欠席連絡や自宅待機時の行動管理を徹底することや
▽教職員は健康上の明確な理由などがなければワクチン接種を積極的に受けること
などを提案しました。

また
▽人の密集が過度になるリスクが高い文化祭や体育祭などのイベントは、延期や中止を検討すること
▽部活動でやむをえず別の県に遠征が必要な場合は、出発の3日以内をめどにPCR検査を受けること
なども挙げています。

このほか
▽オンライン授業などのICT技術や換気を徹底するための二酸化酸素センサー
それに
▽体調確認アプリや抗原検査などの活用も提案しています。

国立感染症研究所の所長で専門家会合の脇田隆字座長は「幼稚園から大学まで年齢などによっても対策が異なっているので、こうした提案を参考にして対策を強化してほしい」と話しています。

“年齢上がるほど学校での感染多い”

子どもが新型コロナウイルスに感染した場所について、年齢が上がるほど学校での感染が多かったという分析結果を厚生労働省がまとめました。

厚生労働省は、感染者の情報を集約するシステム「HER-SYS」のデータをもとに、2021年4月から7月下旬までに感染が確認された3歳から18歳の子どものうち、感染場所が分かったおよそ6600人について分析した結果を8月25日の専門家会合で示しました。

その結果、感染した場所は3歳から5歳では
▽自宅が59.8%
▽保育所など児童福祉施設が19.8%
▽幼稚園などを含めた学校が15.9%
6歳から12歳でも
▽自宅は76.6%
▽学校は14.6%
13歳から15歳でも
▽自宅は60%
▽学校が33.0%と
15歳まででは自宅が最も多くなっていました。

さらに年齢が上がって16歳から18歳では
▽学校が45.7%と最も多く
▽自宅は39.4%となっていました。

全体の感染場所が把握できている人は2割以下と少ないことに留意が必要だとしたうえで、年齢が上がるにつれて学校での感染が増えているとしています。

一方、このところ子どもの感染が増えていますが、国立感染症研究所が2021年4月以降の感染者全体のデータを年齢層別に分析したところ、ワクチンの効果で感染が減っている65歳以上をのぞくと、全体に占める18歳以下の割合はデルタ株が主流になった先月に至るまで大きく変わっていなかったことがわかり、子どもが特に感染しやすくなったとは言えないとしています。

専門家会合の脇田隆字座長は「全体的に感染が拡大しているために、まず大人の感染が増えそれに伴って家庭内感染が増えており、子どもの感染増加とつながっていると考えている。今のところ、子どもたちの間で感染がどんどん増幅するインフルエンザのような状況にはならないだろうと予測している」と述べました。