厚生労働省の新型コロナ専門家会合
“コロナ感染者横ばいも 接触増の影響注意”
厚労省専門家会合

2022年10月26日

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の新規感染者数は直近で横ばいになっているものの感染状況には地域差があると指摘しました。多くの地域で夜間の繁華街などでの人出が増加していて、年末に向けて社会経済活動が活発化することで人と人との接触機会が増えることによる影響に注意が必要だとしています。

専門家会合は、新型コロナの感染状況について、増加に転じた先週から変わって直近では横ばいになっているとした一方、北海道や東北、中国地方などでは増加がみられ、感染状況には地域差があると指摘しました。

また、重症者や亡くなる人の数は下げ止まりとなっているとしています。

今後の感染状況については、大都市などでの短期的な予測では横ばいか増加傾向が続く可能性があるとしているほか、北海道や東京都、愛知県、大阪府、沖縄県など多くの地域で夜間の繁華街の人出が増加していて、年末に向けて社会経済活動が活発化することで人と人との接触機会が増えることによる影響に注意が必要だとしています。

このため、専門家会合は60代以上では感染による免疫の獲得は少なく、今後、高齢者での感染拡大が懸念されるとしたうえで、ワクチンの接種間隔が短縮されたことも踏まえ高齢者をはじめ、12歳以上の接種の対象者が年内にオミクロン株対応のワクチン接種を完了するよう呼びかけることが重要だと指摘しました。

さらにインフルエンザとの同時流行も懸念されるとしていて、発熱患者が多く出ることを想定して、政府や自治体が発熱外来やオンライン診療の強化、自己検査キットの確保などの対策を進めるよう求めています。

そのうえで改めて、場面に応じた正しい不織布マスクの着用や換気を行うこと、飲食はできるだけ少人数で飲食時以外はマスクを着用すること、症状があるときは外出を控えることといった基本的な感染対策を続けるよう呼びかけました。

1週間の新規感染者数 全国では前週比0.96倍

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、10月25日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて0.96倍と、増加傾向だった先週から変わってほぼ横ばいとなっています。

首都圏の1都3県では、
▽東京都と埼玉県が0.94倍、
▽神奈川県が0.97倍、
▽千葉県が0.95倍、

関西では、
▽大阪府と京都府が0.88倍となった一方で、
▽兵庫県は1.15倍と増加が続いています。

東海でも、
▽愛知県が0.93倍、
▽岐阜県が0.88倍、
▽三重県が0.99倍と、横ばいから減少となっています。

また、
▽香川県と愛媛県が1.20倍、
▽岩手県が1.16倍、
▽北海道が1.13倍など合わせて10の道県で増加した一方、
▽徳島県は0.68倍、
▽鹿児島県は0.74倍、
▽沖縄県は0.78倍などとなっていて、地域によって感染状況に差が見られます。

人口10万当たりの直近1週間の感染者数は、
▽山形県が455.04人と全国で最も多く、
次いで、
▽北海道が450.73人、
▽秋田県が329.65人、
▽長野県が301.51人などとなっているほか、
▽大阪府が186.35人、
▽東京都が163.77人、
▽全国では190.93人となっています。

加藤厚労相「感染動向や接触機会の増加影響を注視」

加藤厚生労働大臣は「新規感染者数は先週、全国的に増加に転じたが、現在、足元では横ばいとなっている。今後の感染動向や社会経済活動の活発化による接触機会の増加などが与える影響について注視する必要がある」と指摘しました。

そのうえで「今後の感染拡大の可能性や季節性インフルエンザとの同時流行に対応できるよう、高齢者や重症化リスクの高い人に適切な医療を提供するため、保健医療体制の強化や重点化を進めていく」と述べました。

脇田座長「感染落ち着くも注意を」

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字座長は、現在の感染状況について「連休の影響で北海道や東北など感染者が増加している地域があったが、全国的にみれば感染状況は少し落ち着いてきた。第7波での感染者が少なかった地域では、自然感染などによる免疫が落ちているため、増加しやすく、逆に、沖縄県のように感染者の多かった地域では、拡大しにくいというデータも示された。大都市圏を中心に多くの地域で人と人との接触の機会が増えているという報告もあり、年末に向けて、接触機会がどう増えるか注意深く見る必要がある」と指摘しました。

また、新型コロナとインフルエンザとの同時流行について「インフルエンザの流行の兆しはまだ見えず、いつ流行が始まるかは分からない。ただ、コロナと同時流行する可能性は十分にあり、備えとしてはオミクロン株対応のワクチン、インフルエンザワクチンの両方の接種を進めること、自宅でできることとしてコロナの抗原検査キットや解熱剤などの準備を進めておくことが大事だ」と述べました。