厚生労働省の新型コロナ専門家会合
新型コロナ専門家会合
新規感染者数増加続く可能性 第8波も

2022年10月20日

新型コロナウイルス対策について助言する、厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の新規感染者数は増加に転じ、増加傾向が続く可能性があると指摘しました。専門家はヨーロッパやアジアの一部の国々の状況からみても「第8波」が起きる可能性が非常に高いと分析しています。

専門家会合は、新型コロナの現在の感染状況について連休の影響を考慮する必要があるとしたものの、ほぼすべての地域で増加に転じ、特に北海道や東北で大きく増加していると指摘しました。

高齢者の新規感染者数も増加に転じていて、減少が続いていた重症者や亡くなる人の数は下げ止まりとなっているとしています。

また、ワクチン接種や感染によって獲得した免疫は時間とともに低下すると考えられ、60代以上では感染による免疫の獲得は少ないことから、今後、高齢者での感染拡大が懸念されると指摘しました。

そして、不確実性はあるものの、大都市などでの短期的な予測では増加傾向が続く可能性があるほか、インフルエンザとの同時流行も懸念されるとしています。

会合では、専門家が今後の感染拡大の「第8波」のリスクについての評価を示し、国内の多くの地域で感染者数が増加に転じていることや、ヨーロッパやアジアの一部の国々で感染拡大が起きている状況などから「第8波の流行が起こる可能性は非常に高いと考えられる」と分析しました。

専門家会合は、高齢者や重症化リスクの高い人に限られた医療資源を適切に提供するための医療体制の強化と重点化や、新型コロナとインフルエンザのワクチン接種を進めることが重要だとしました。

そして、感染者数が膨大となり医療のひっ迫が生じた場合や、ウイルスの変異で病原性が強まった場合などは、行動制限を含めた強力な措置が考えられると指摘しました。

そのうえで改めて、場面に応じた正しい不織布マスクの着用や換気を行うこと、飲食はできるだけ少人数で飲食時以外はマスクを着用すること、症状があるときは外出を控えることといった基本的な感染対策を続けるよう求めました。

前週比1.35倍 およそ2か月ぶりに増加

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、10月19日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて1.35倍と8月下旬以来およそ2か月ぶりに増加に転じています。

首都圏の1都3県では
▼東京都が1.25倍
▼神奈川県が1.16倍
▼埼玉県が1.23倍
▼千葉県が1.20倍と
増加に転じています。

関西では
▼大阪府が1.40倍
▼兵庫県が1.49倍
▼京都府が1.22倍

東海でも
▼愛知県が1.28倍
▼岐阜県が1.46倍
▼三重県が1.45倍となっていて
▼和歌山県が1.75倍
▼北海道と香川県が1.60倍など、沖縄県を除く46の都道府県で増加しています。

人口10万当たりの直近1週間の感染者数は
▼山形県が426.49人と全国で最も多く
次いで
▼北海道が396.93人
▼秋田県が336.63人
▼長野県が325.63人などとなっているほか
▼大阪府が204.99人
▼東京都が169.36人
▼全国では196.71人となっています。

加藤厚労相「接触機会増加の影響を注視」

加藤厚生労働大臣は現在の感染状況について「新規感染者数は増加に転じ、重症者数や死亡者数も下げ止まりとなっている。社会経済活動の活発化によって、人と人との接触機会が増加することの影響を注視していく必要がある」と指摘しました。

そのうえで「新型コロナとインフルエンザの同時流行に対応するため、地方自治体に地域の実情に応じた外来などの体制整備をお願いしており、緊密に連携して備えていきたい」と述べました。

脇田座長「気候の要因なども踏まえて注意必要」

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で脇田隆字座長は、現在の感染状況について「第7波では、中国や四国、九州・沖縄など西日本の感染レベルが高く、東北地方や北陸はそれほどではなかった。しかし、いま、北日本中心に感染者数の増加のスピードが速くなっていて、寒くなっている地域から感染拡大が始まっているかもしれない。こうした気候の要因なども踏まえて今後、感染拡大の状況を注意して見ていく必要がある」と指摘しました。

そのうえで、感染拡大の「第8波」が始まったのかと問われたのに対し「先週の連休の影響や検査の実施状況なども含めて評価すべきだ。一過性の増加なのか、次の感染拡大の波となるか、しばらく様子を見ていく必要がある」と述べました。