厚生労働省の新型コロナ専門家会合
“インフルエンザと同時流行懸念 備えを”
コロナ専門家会合

2022年10月5日

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の新規感染者数はすべての地域で減少が継続しているとしましたが、今後、インフルエンザが例年より早く流行し、新型コロナとの同時流行が懸念されると指摘しました。
専門家は冬に向けて、インフルエンザのワクチンとオミクロン株に対応した新型コロナのワクチンの接種を進めることや、診療できる体制の整備などが求められるとしています。

専門家会合は、新型コロナの現在の感染状況について、すべての地域で減少傾向が続き、大都市の短期的な予測などからは多くの地域で減少傾向が続くと見られると分析しました。

療養者や重症者、亡くなる人の数の減少も続いており、医療体制については状況の改善が見られるとしています。

ただ、一部の地域では感染者数の減少傾向に鈍化が見られていて、今後の連休で接触機会が増えることによる影響に注意する必要があるとしています。

また、ワクチン接種や自然感染で獲得した免疫は時間とともに低下すると考えられるとして、今後、高齢者での感染拡大が懸念されると指摘しました。

会合では、専門家から新型コロナとインフルエンザの流行についての短期的な見通しが示され、2022年南半球のオーストラリアなどで流行したことや、各国で行動制限が大きく緩和されている現状などから、これからの半年間で新たな新型コロナの感染拡大と季節性インフルエンザの流行が起きる可能性は「極めて高い」と分析しています。

そのうえで、これから冬に向けてインフルエンザのワクチンとオミクロン株に対応した新型コロナのワクチンの高い接種率の実現、全国の医療機関でコロナとインフルエンザを診断・治療できる体制の整備や重症病床の確保、定点把握を含めた感染状況を把握する体制の再確認といった対応が必要だと指摘しました。

新規感染者数 全国では前週比0.65倍 減少傾向続く

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、10月4日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて0.65倍と減少傾向が続いています。

首都圏の1都3県では、
▽東京都が0.61倍、
▽神奈川県が0.73倍、
▽埼玉県が0.57倍、
▽千葉県が0.54倍と減少傾向が続いています。

関西では、
▽大阪府と兵庫県が0.59倍、
▽京都府が0.57倍、
▽東海でも愛知県が0.58倍、
▽岐阜県が0.78倍、
▽三重県が0.75倍となっていて、
すべての都道府県で前の週より減少しています。

人口10万当たりの直近1週間の感染者数は、
▽山形県が300.27人と全国で最も多く、
次いで
▽北海道が278.97人、
▽富山県が263.24人、
▽秋田県が256.38人、
▽広島県が255.10人などとなっているほか、
▽大阪府が206.72人、
▽東京都が196.87人、
▽全国では197.07人となっています。

加藤厚労相「一部地域で減少速度鈍化 引き続き注視」

加藤厚生労働大臣は、現在の感染状況について「重症者数や死亡者数の減少が継続しているが、足元では横ばいとなっている。新規感染者数は一部地域で減少速度の鈍化が見られ、引き続き感染動向にしっかりと注視していく必要がある」と指摘しました。

そのうえで「国内外で蓄積した知見や専門家の意見を踏まえ、ウィズコロナの新たな段階への移行を進め、社会経済活動との両立を強化していきたい」と述べました。

脇田座長「少し早く冬の流行が始まる可能性」

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字座長は新型コロナの感染状況について「日本では今のところ減少傾向が続いているが、すでにヨーロッパのいくつかの国で入院患者が増加していて、少し早く冬の流行が始まる可能性がある。日本でも今後、年末に向けて人との接触機会が増える時期になり、感染者数が増加に転じるおそれがあるので注意する必要がある」と指摘しました。

さらに、この冬インフルエンザとコロナの同時流行が懸念されていることについて「同時流行が起きるなかで発熱をした場合に医療機関の受診など一人ひとりがどう行動すればよいか、分かりやすく示すことが重要だ。また、抗インフルエンザ薬のタミフルなど抗ウイルス薬をどのように使うべきかなども今後議論していく必要がある」と述べました。