厚生労働省の新型コロナ専門家会合
“新規感染減も連休中は検査少なく
評価難しい”

2022年5月11日

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、大都市圏を中心に新規感染者数は減少が続いているものの、大型連休で検査数が少なくなっているため、正確な評価は難しいとして、今後の感染の推移を注視する必要があるとしました。一方で沖縄県など、若い世代を中心に感染が増加している地域もあり、引き続き基本的な感染対策の徹底などが必要だとしています。

専門家会合は、現在の感染状況について、大都市圏を中心に全国では減少が続いているとした一方で、大型連休で診療や検査数が少なくなっているため、今の時点で感染状況を正確に評価することは難しいとしました。

特に地域によっては増加が続いているところがあり、沖縄県や鹿児島県では、この1週間の感染者数が感染の「第6波」のピークを上回っていると指摘しました。

新規感染者の年代別では、20代で増加がみられ、ほかの年代では横ばいか減少が続いているということですが、このうち沖縄県では全年齢層で増加がみられるということです。

また、感染の場所について、20代で「飲食」の割合が増加傾向にあり、この年代で感染が増えることが今後の感染拡大につながるのか、注視する必要があるとしました。

さらに、大型連休で人の動きが活発であったことや全国でオミクロン株のうちより感染力が強いとされる「BA.2」におおむね置き換わったことなどから、今後の動向を注視する必要があるとしています。

医療の状況については、全国では療養者数や重症者数などが減少している一方、人口当たりの感染者数が最も多い沖縄県では、大型連休中も入院者数や病床使用率が増加したと指摘しました。

そして、専門家会合は、新規感染者数は2021年夏のピークより高い状況が続いていることから、引き続き市民や事業者の協力が不可欠だとして、ワクチンの3回目の接種をさらに進めるとともに、少しでも体調が悪ければ外出を控えること、不織布マスクの正しい着用、手洗い、1つの密でも避けるといった基本的な感染対策を徹底することなどを呼びかけました。

後藤厚労相「引き続き注視」

後藤厚生労働大臣は、厚生労働省の専門家会合で「直近の感染状況は大型連休の影響もあることから、単純に判断することは難しいが、新規感染者数の1週間の平均は先週比で0.98となっている」と指摘しました。

そのうえで「今後の感染状況は、大型連休で人の動きが活発だったことや『BA.2系統』へおおむね置き換わったことなどの増加要因と、ワクチンの3回目接種が進んでいることや、暖かい季節になり換気などの対策がしやすくなっていることなどの抑制要因によると考えられる中で、引き続き注視していく必要がある」と述べました。

脇田座長“マスク着用の必要 感染状況で変わってくる”

厚生労働省の専門家会合のあとに開かれた記者会見で、脇田隆字座長は、感染状況について「大型連休の影響があるため、今の時点で正確な評価は難しい。連休中は検査や診療が減少しているため影響が出ている。ただ、人出は去年やおととしと比べてかなり多くなっているので、感染がさらに上積みされていくおそれがあり、しばらく経過を見ていく必要がある」と話していました。

一日の感染者数が過去最多となっている沖縄県については「これ以上、感染者数が増えると厳しくなる。オミクロン株の感染拡大の影響で、医師や看護師の休職も増えていて、全国からの支援が必要な状況となっている。ことし1月ごろは若い世代の飲食店での感染が非常に多かったが、現在は10代や10代未満が多いため、より広い対策が求められる」と指摘しました。

また、マスクの着用について「マスクは感染のリスクを下げるためのひとつの手段で、屋内で会話をする必要がある場面では当然つけたほうがいいが、屋外で距離をとって、会話もないような場面では、マスクをする必要はない。人もいないところで歩いているときなどは、マスク取って新鮮な空気を吸ってもらえればと思う。ただ、いつになったらマスクを着用する必要がなくなるかは、感染状況によって変わってくるので、状況を見ながら判断していくことが必要だと考えている」と話しています。

10日まで1週間の新規感染者数 全国 前週比0.98倍

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、5月10日までの1週間の新規感染者数は全国では前の週と比べて0.98倍で、減少傾向だった大型連休前とは異なり、ほぼ横ばいとなっています。

首都圏の1都3県では、
▼東京都で0.88倍、
▼神奈川県で0.82倍、
▼埼玉県で0.85倍、
▼千葉県で0.78倍と
減少傾向が続いている一方で、

関西では、
▼大阪府で1.03倍、
▼兵庫県で0.98倍、
▼京都府で0.97倍、

東海では、
▼愛知県で1.02倍、
▼岐阜県で1.09倍、
▼三重県で0.98倍と、
ほぼ横ばいとなっています。

また、
▼北海道では0.92倍、
▼宮城県では1.01倍、
▼広島県では1.09倍、
▼福岡県では0.96倍などとなっています。

前の週より新規感染者数が増えたのは25の府と県で、このうち、
▼徳島県は1.67倍、
▼福井県は1.55倍、
▼高知県は1.37倍、
▼山口県は1.30倍、
▼沖縄県は1.19倍などとなっています。

人口10万人当たりの直近1週間の感染者数でみると、
▼沖縄県が全国で最も多く797.08人、
次いで
▼北海道が302.32人、
▼鹿児島県が280.56人、
▼佐賀県が262.74人、
▼福岡県が250.51人となっていて、
このほか、
▼大阪府が197.97人、
▼東京都が170.72人、
また、
▼全国では174.99人となっています。