厚生労働省の新型コロナ専門家会合
“新規感染者数が増加傾向 リバウンド注視”
厚労省専門家会合

2022年3月30日

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の新規感染者数は直近で増加傾向となっていて感染の再拡大、リバウンドにつながらないか注視する必要があると指摘しました。感染者のうち20代が占める割合が顕著になっていて、多くの人が集まる機会が増える新年度に向けてワクチンの追加接種と感染対策の徹底が必要だとしています。

“この数日で増加傾向 20代の割合増加”

専門家会合は全国の感染状況について1か月以上緩やかな減少が続いていたものの、この数日で増加傾向となり、これまでも感染拡大の初期に起きた20代の割合の増加がみられるとしています。

特に増加傾向となっている鹿児島県や沖縄県で20代の増加が顕著で東京都でも検査の陽性率が増加するなどリバウンドの兆候の可能性があり、注意が必要だと強調しました。

1. 感染増加の要因

専門家会合は今後、感染が増加する要因として
▽まん延防止等重点措置の解除後に夜間の繁華街の人出が全国で増加していて花見や謝恩会、歓送迎会などの時期を迎えて接触機会が増えることや
▽オミクロン株のうち、さらに感染力が高いとされる『BA.2』に置き換わることといった要因があると指摘しました。

2. 感染抑制の要因

一方で、感染が抑制される要因として
▽ワクチンの3回目の接種が高齢者で進んでいて若い世代でも進むことが期待されることや
▽気温が上がっていくことで換気しやすくなることがあり
こうした増加要因と抑制要因が今後の感染状況に影響するとしていて、ワクチンの追加接種を着実に実施することや不織布マスクの正しい着用、消毒や換気、密を避けるといった対策の徹底が必要だとしています。

専門家会合は現在の新規感染者数は2021年夏のピークよりも多い状況が続いていて、新年度を迎えてこれまでも感染が拡大するきっかけとなってきた多くの人が集まる機会が増えることから、特に入社や入学で人の移動や研修が行われる際の感染対策に注意するよう呼びかけました。

脇田座長「リバウンドの兆候が見え始めている可能性ある」

会合のあと開かれた記者会見で脇田隆字座長は現在の感染状況について「感染が増加する要因としては『重点措置』が解除され夜の人出が増えていることや春休みや花見など接触が増える時期になっていること、それに感染力の強い『BA.2』への置き換わりが進んでいることなどがある。一方で3回目のワクチン接種や暖かくなって換気をしやすくなったことなど感染が抑制される要因もあり、これらのバランスの中で今後どうなっていくかということになる。データを見ると20代で感染者が少し増え始め飲食店での感染の割合が増えている。また東京や大阪で検査の陽性率が上がっていることなどリバウンドの兆候が見え始めている可能性がある。ただ今は感染の拡大期に入ったとまでは言える状況ではない」と指摘しました。

そして今後再拡大した場合にどういった対策を取るべきかについては「感染対策にはさまざまな意見があると思うが、これまで日本では重症者数や死亡者数を減らすため医療にひっ迫の徴候があれば対策をとってきた。ただ行動制限を行うと経済へのダメージも大きい。重点措置などが出されていない現状では経済活動は抑制せずに感染リスクを避ける行動や3回目のワクチン接種などの対策をしっかりやっていくということになる。個人的な意見だが今後感染が拡大して医療のひっ迫が確実に起こるというような場合は、感染を抑える対策が必要だと考えている。その場合はさまざまな関係者がしっかりと合意をして進めていくべきだ」と話していました。