厚生労働省の新型コロナ専門家会合
オミクロン株
「感染急拡大を想定すべき状況」

2021年12月23日

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、オミクロン株で初めて、感染経路が分からない、いわゆる市中感染のケースが報告されたことを受けて、今後、感染拡大が急速に進むことを想定すべき状況にあるとして、基本的な感染対策など、感染拡大を防ぐための行動をとってほしいと呼びかけました。

専門家会合は大阪府でオミクロン株による感染経路が分からない、いわゆる市中感染が確認された初めてのケースが報告されたことを受けて、今後、感染拡大が急速に進むことを想定すべき状況であるとする認識を示しました。

そのうえで、オミクロン株は感染した際の重症度については十分な知見は得られていないものの、感染力が強く、再感染のリスクがあり、ワクチンの感染予防効果が低下する可能性が指摘されていて、急激な感染拡大で医療提供体制が急速にひっ迫する可能性があることに注意が必要だとしています。

そして水際でオミクロン株の対策を重点的に行うことに加え、今後、国内での急激な感染拡大を防ぐため、国内対策に重点を移していく必要性を周知することが求められるとしました。

また国内の新型コロナの感染状況について、新規感染者数は依然として非常に低い水準が続いているものの増加傾向にあり、都市部だけでなく、幅広い地域で夜間の人出が増えているとしています。

さらに気温の低下に伴う屋内での活動や忘年会やクリスマス、正月休みなどの恒例行事で、ふだん合わない人との交流が増え、年末年始の帰省などで感染が急拡大するおそれがあるとして、感染リスクの高い行動を控え、できるだけ少人数での活動に抑えることが必要だとしています。

専門家会合はオミクロン株が国内で広がっていることも想定すべき状況にあるという認識を持って、ワクチンを接種した人を含めて、消毒や手洗い、密を避けること、換気などの徹底、それに飲食時以外はマスクを着用することや、発熱などの症状がある時には県をまたぐ移動を控えるなど、感染拡大を防ぐための行動をとってほしいと呼びかけました。

新規感染者は低水準ながらも増加傾向

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、12月21日までの1週間の新規感染者数は少ない水準ではあるものの、全国では前の週と比べて1.35倍と増加する傾向が続いています。

一方、19の県では12月21日までの1週間で、感染者が1人も報告されませんでした。

首都圏の1都3県では東京都で1.49倍、神奈川県で1.64倍、埼玉県で1.16倍と増加していて、千葉県で0.98倍と横ばいとなっています。

関西の2府1県では大阪府で1.41倍、京都府で1.47倍と増加し、兵庫県で1.00倍と横ばいとなっています。

中京圏では愛知県で0.65倍、岐阜県で0.67倍と減少しています。

このほかの地域では北海道が3.04倍、群馬県が1.65倍、沖縄県が1.50倍と、感染者数は少ないものの増加している地域もあります。

現在の感染状況を人口10万当たりの直近1週間の感染者数でみると、群馬県が最も多く7.84人、石川県が2.91人、新潟県が2.73人、沖縄県が2.25人、東京都が1.35人などとなっていて、全国では0.91人でした。

脇田座長「オミクロン株感染拡大を想定しておきべき時期」

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で脇田隆字座長は、大阪府でオミクロン株の市中感染とみられる感染者が確認されたことについて、「オミクロン株が国内に流入していることが確認されたということになり、今後、国内でオミクロン株の感染拡大が起こることを想定すべき時期にあると考えている。国内でも海外と同じようなスピードで広がった場合、急速に医療提供体制がひっ迫する可能性があり、それに備えておくことが求められる。感染の拡大が急速で医療提供体制がひっ迫するなら、早いタイミングで強い措置を考慮することも必要だ。またワクチンの効果が低下することも想定されており、ブースター接種をさらに進めていくことも求められている」と話しました。

また年末年始に向けては、「12月になり人流が増え、人との接触が増えていて、ワクチンの効果も徐々に低下する時期にさしかかっている。クリスマスや忘年会で人との接触が増え、帰省で地方に人が移動すると感染拡大の機会になる可能性がある。できるだけ少人数での活動を心がけて、リスクの高い活動、大声を出す宴会を長時間行うことなどをなるべく避けて、対策をしてほしい」と話しています。