厚生労働省の新型コロナ専門家会合
「夜間の人出増加 感染者数下げ止まり懸念」

2021年10月13日

新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、新規感染者数は減少が続き、2021年春の感染拡大前の水準をも下回った一方、緊急事態宣言の解除後、東京などでは夜間の人出の増加が顕著になっているとして、感染者数が下げ止まることが懸念されると分析しました。
改善している状態を少しでも長く維持するため、基本的な感染対策に加え、若い年代などへのワクチン接種を着実に進めることが必要だとしています。

専門家会合は、全国の感染状況について緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の解除後も減少が継続し「今回のみならず、前回、ことし春の感染拡大前の水準をも下回っている」としています。

その一方で、重症者数や死亡者数は減少が続いているものの、今回の感染拡大前の水準以下には達していないほか、緊急事態宣言の解除後、東京などで夜間の人出の増加が顕著になっていて、感染者数の減少速度が鈍り、下げ止まることが懸念されるとしました。

専門家会合は、今後の感染再拡大を見据えて、感染状況が改善している状態を少しでも長く維持し、もう一段、感染者数を減らすために、
▽不織布マスクを着用することや
▽消毒
▽1つの密でも避けること
▽それに換気の徹底といった
基本的な感染対策を徹底するよう呼びかけています。

また、飲食の際には少人数、短時間で、食べたり飲んだりするとき以外はマスクを着用することが求められるとしています。

さらに国や自治体に対して、まだ十分に進んでいない若い年代などへのワクチン接種を着実に進めるとともに、今後の感染再拡大に備え、医療や保健所などの体制の強化を進めることが必要だとしています。

新規感染者数 全国ほとんどの地域で減少続く

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、新規感染者数は10月12日までの1週間では前の週と比べて全国では0.60倍と、ほとんどの地域で減少が続いています。

9月30日を期限に緊急事態宣言が解除された地域のうち、
首都圏の1都3県では、
▽東京都と千葉県で0.55倍、
▽神奈川県で0.72倍、
▽埼玉県で0.48倍、
関西では、
▽大阪府で0.62倍、
▽京都府で0.67倍、
▽兵庫県で0.64倍、
▽滋賀県で0.25倍、
中京圏では、
▽愛知県で0.50倍、
▽岐阜県で0.84倍と減少が続いていますが、
▽三重県は1.25倍と増加しました。

また、
▽北海道で0.77倍、
▽茨城県で0.66倍、
▽栃木県で0.63倍、
▽群馬県で0.78倍、
▽静岡県で0.50倍、
▽広島県で0.49倍、
▽福岡県で0.56倍、
▽沖縄県で0.48倍と
緊急事態宣言が出ていたほぼすべての地域で減少が続いています。

現在の感染状況を人口10万人当たりの直近1週間の感染者数でみると、「ステージ3」の目安の15人を超えている都道府県がおよそ7か月ぶりになくなり、
▽大阪府が10.46人、
▽沖縄県が9.64人、
▽岐阜県が7.05人、
▽兵庫県が6.55人、
▽東京都は5.01人、
そして、
▽全国では4.12人でした。

後藤厚労相「夜間の滞留人口の増加続き注視必要」

後藤厚生労働大臣は、専門家会合の冒頭「緊急事態宣言などの解除後、多くの地域で夜間の滞留人口の増加が続いていて、注視が必要だ。感染が比較的落ち着いている今こそ、これからのさまざまな事態を想定して、徹底的に安心確保に取り組むことが重要で、ワクチンや治療薬の実用化と確保に加え、病床や医療人材の確保、検査の拡充などにしっかり取り組んでいく」と述べました。

脇田座長「若い世代の接種率を上げること望まれる」

専門家会合のあとの記者会見で脇田隆字座長は「ワクチン接種の効果はさらに期待されるが、感染状況が改善している状況を少しでも長く維持して、もう1段階感染者数を落としていくことが、今後のリバウンド防止のために非常に重要だ」と述べました。

その上で「集団免疫の効果を得るためには、できるだけ若い世代で接種率を上げていくことが望まれる。接種による感染予防の効果や副反応の情報を正しく知ってもらうとともに、働いている世代や学校に通っている世代は平日の昼間だと接種会場に行けないこともあるので、土日や夕方からの遅い時間に接種会場を開くなど、アクセスできる環境を整えることが重要だ」と話しています。

また、脇田座長は、感染拡大の第5波の経験を踏まえた今後の備えについて「第5波では保健所が業務過多となり、接触者への検査が十分に行き届かなかった。今後は保健所を直接介さないような検査体制を作っていくことが大事で、例えば職場での検査をしやすくする仕組みや、家庭内であれば抗原検査キットも有効に活用するなどの対策が重要だ。また、第5波では入院して治療すべき人がすぐに入院できない事態が起きた。ワクチン接種や治療薬の開発が進み、重症化予防がかなり進むことも想定されるが、自宅や宿泊療養施設で安心して療養できる体制や、そうした場所でも医療にアクセスできる体制が必要だ」と述べました。