厚生労働省の新型コロナ専門家会合
緊急事態宣言の効果などを分析

2021年5月6日

来週に迫った緊急事態宣言の期限を前に、新型コロナウイルス対策について助言する厚生労働省の専門家会合が開かれ、緊急事態宣言が出ている地域での人出や感染者数の推移など宣言の効果について分析が行われました。

専門家会合は午後3時すぎから始まり、緊急事態宣言が出されている東京や大阪などでの人出の変化や感染者数の推移などのほか、危機的な状況が続く関西の医療体制などを中心に分析が行われました。

会合で示された資料によりますと、新規感染者数は5月5日までの1週間では前の週と比べて全国で1.01倍、緊急事態宣言が出されている地域では、東京都が1.05倍、大阪府が0.88倍、兵庫県が0.81倍、京都府が0.94倍と横ばいか減少傾向となっていますが、大型連休で医療機関が休診し、検査数が減っていることなどが影響している可能性があります。

人口10万人当たりの直近1週間の新規感染者数は、大阪府では78.70人、兵庫県で54.10人、福岡県で44.51人、奈良県で42.48人、沖縄県で30.97人、京都府で35.27人、東京都で40.17人、岡山県で33.39人、大分県で29.96人、愛知県で29.33人、北海道で27.71人、徳島県で27.06人と「ステージ4」の目安となる25人を超えていて、全国でも27.88人と減少傾向が見られる地域でも、依然として感染者数の非常に多い状態が続いています。

また、感染状況に影響がある繁華街の人出について、東京都では3回目の緊急事態宣言が出されて以降、夜間、日中ともに大幅に減少したとしている一方、大阪府でも減少に転じてから5週間以上たつにも関わらず、感染者数は高止まりの状態になっていると分析しています。

田村厚労相「感染者数 まだ十分に下がっていないかも」

田村厚生労働大臣は、専門家会合の冒頭「東京と京阪神に緊急事態宣言を出してから5月12日が経過したが、検査件数を考えると、感染者数はまだ十分に下がっていないかもしれない。緊急事態宣言により、東京や大阪の人の流れは、特に夜間の繁華街では、2020年の4月、5月に近いような形で減っているという数字も出ているので、感染者数がどうなっていくのかも含めて、専門的な意見をいただきたい」と述べました。

また、医療提供体制について「関西圏を中心に非常に厳しい状況だ。東京でおよそ6割、全国的にも5割くらいが、変異ウイルスに置き換わってきているのではないかということで、非常に感染のスピードが速い。また、重症患者の数は、遅れて増えてくるので、まだピークを過ぎていない状況だと思っており、できる限りの支援をしたい」と述べました。

緊急事態宣言 判断のポイントは

東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に出されている緊急事態宣言をめぐって、政府は、関西の3府県は延長する方向で検討を進めていて、東京についても、小池知事が「解除できる状況にない」という意向を示していることなどを踏まえて判断する方針です。

宣言を延長する場合は、来週11日までとなっている期限の延長幅が焦点で、小池知事は5月31日までの延長を求める意向を示しています。

一方、今回の宣言で政府は、酒やカラオケを提供する飲食店などに加え、百貨店やショッピングセンターなどの大規模な施設に休業を要請しているほか、イベントやスポーツは原則、無観客とするよう求めています。

政府内では、強い対策のまま宣言を延長すれば経済に深刻な影響が出かねないという指摘もあり、延長する場合でも対策の一部を緩和するかどうかが焦点となります。