厚生労働省の新型コロナ専門家会合
コロナ
都市部の感染者減少速度の鈍化懸念
厚労省の専門家会合

2021年2月18日

新型コロナウイルス対策について助言を行う厚生労働省の専門家会合が開かれ、全国の感染状況について感染者の減少は続いているものの、特に都市部では減少のスピードの鈍化が懸念されるとして、感染力が強いとされる変異ウイルスのリスクもある中で、減少を継続させるための対策の徹底が必要だとしています。

2月18日開かれた会合では、緊急事態宣言の対象になっている10の都府県の状況を中心に分析が行われ「新規感染者の数は減少が続いている」としたうえで、入院者や重症者、そして亡くなる人の数についても減少が継続していると評価しています。

その一方で、感染者数に占める60歳以上の人の割合が増えてきているため、重症者数の減少に時間を要するとしたほか、夜間の人の動きが再び増えてきている地域があり、特に都市部を中心に感染者の減少が遅れ、減少のスピードが鈍化している可能性があると指摘しています。

このうえで、専門家会合は減少傾向を継続させる必要があるとして、感染の再拡大を防ぎ、今後のワクチン接種に向けて医療機関の負担を減らすためにも対策の徹底が必要だとしています。

そして、再拡大を防ぐために大人数での会食を避けるなどの行動がカギになるとして、年度末に向けて歓送迎会や謝恩会、卒業旅行や花見に伴う宴会などを控えることに協力してもらえるよう、効果的なメッセージを発信することが必要だとしています。

このほか、専門家会合は、感染力が高いとされる変異ウイルスや、抗体の攻撃から逃れやすくなっていると考えられる変異ウイルスについて、検査体制を強化して早期に見つけ、封じ込めることが必要だと指摘しています。

田村厚労相「次の波を意識しながら対応」

田村厚生労働大臣は、会合の冒頭「新規感染者を十分に抑え込み、次の波を意識しながら対応していかなければならない。高齢者施設でのクラスターに対し、10都府県では、従事する人たちへの検査を3月中をめどに実施することになる。現在、最大2万2000施設が対象となると報告を受けているので、重点的に対応するよう、各都道府県にお願いしていきたい」と述べました。

また、新型コロナウイルスのワクチンについて「4月からは高齢者にも接種することになっており、万全の対応をしていかないといけない。供給量の問題もあり、情報が十分に行き渡らず心配をかけているが、安心して接種できるよう対応をしたい」と述べました。

脇田座長「再拡大しないレベルまで減少を」

専門家会合の脇田隆字座長は、記者会見で「会合の中では、現在の状況として感染者数の減少速度が鈍化してきているという指摘があった。重症者や亡くなる人を減らし、ワクチン接種を担う医療機関の負担をなるべく減らす必要がある。また、変異株の感染が増加するリスクもある中、感染経路を追う調査などの対策をしっかりできるレベルにまで感染状況を改善することも求められている。感染が再拡大しないレベルまで感染者数を減少させることが重要だ」と指摘しました。