厚生労働省の新型コロナ専門家会合
専門家会合
「顕著な増加 放置すれば
さらに急速な拡大に」

2020年11月19日

新型コロナウイルス対策について厚生労働省に助言する専門家の会合が11月19日に開かれ、直近の感染状況について「特に北海道や首都圏、関西圏、中部圏を中心に顕著な増加が見られる」と評価しました。

そのうえで、このまま放置すればさらに急速な拡大に至る可能性があるとして、北海道の一部では、接触機会の削減、行動制限などの強い対策が求められる状況で、東京・大阪・愛知では強い対策が求められる状況に近づきつつあるとして、これまでより強い表現で対策を取るよう呼びかけました。

会合では最新の感染状況について議論が行われ、「新たな感染者の数は今月以降増加傾向が強まり、特に北海道や首都圏、関西圏、中部圏を中心に顕著な増加が見られる」と評価しました。

そのうえで、「感染拡大のスピードが増しており、このまま放置すれば、さらに急速な感染拡大に至る可能性があり、厳しい状況が続いている」としています。

また、1人の感染者から何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」は、全国で、流行が拡大に向かうとされる「1」を上回っているほか、北海道、東京都など関東、愛知県など東海3県、大阪府など関西で「1」を上回り、流行が拡大しているとしています。

専門家会合は、クラスターが多様化して、地域への広がりも見られ、見つけるのが難しいクラスターの存在が想定されるとしています。

そして、感染拡大の要因として、基本的な感染対策がしっかり行われていないこと、人の移動の増加、気温の低下による影響が考えられるとしています。

そのうえで、入院者数や重症患者数は増加が続いていて、このままの状況が続けば、通常の医療との両立が困難となるとして、北海道の一部では、接触機会の削減、行動制限などの強い対策が求められる状況で、東京・大阪・愛知では強い対策が求められる状況に近づきつつあるとして、これまでよりも強い表現で、感染対策を取るよう呼びかけました。

脇田隆字 座長は、「このままの状況が続くと医療がひっ迫し、予定している手術や一般の医療を制限するような事態が早晩やってくるおそれがある。徹底した感染予防策をしっかりと進めていただき、年末に向けてなんとか感染状況を改善することを目標にしたい」と話しています。

感染拡大 各地の動向は

厚生労働省の専門家会合が示した直近の感染状況の評価では、特に感染が拡大している北海道と東京都、大阪府、それに愛知県について、それぞれ最新の感染の動向がまとめられています。

北海道 札幌市中心に病床ひっ迫

まず、北海道では、これまで札幌市を中心に接待を伴う飲食店などでクラスターが発生していましたが、最近は、札幌市近郊を含めて北海道内全体に感染が拡大しているとしました。

また、クラスターについては接待を伴う飲食店以外にも職場や学校、医療機関や高齢者施設などでの発生が増加しているということです。

医療機関では患者数の増加によって札幌市を中心に病床がひっ迫し、調整が難しくなるなど、厳しい状況になっているとしています。

東京都 全域に拡大 感染の場面が多岐に

次に東京都では全域に感染が拡大しているとしました。

感染経路についてはわかっている中では家庭内感染が最も多く、職場、高齢者施設等、会食と続いている一方、感染経路が不明な割合も半数以上になっているとしています。

感染拡大の背景としては、社会や経済の活動が活発化し、若い世代を中心に感染拡大のリスクが高まる機会が増えることで、大学なども含めて感染の場面が多岐にわたっている可能性があるとしています。

大阪府 感染経路不明の割合は約6割

大阪府についても、全域に感染が拡大しているとしました。

感染経路が不明の割合はおよそ6割となっています。

歓楽街の関係者や滞在者、それに家庭内や事業所などさまざまな場面で感染が確認される事例が発生しています。

また、高齢者施設や医療機関、それに学校などでクラスターが起きているということです。

愛知県 名古屋市以外でもクラスターが多様化

愛知県でも、全域に感染が拡大していて、感染経路が不明の割合はおよそ4割だということです。

名古屋市では歓楽街を中心に感染者が増加し、保健センターの負荷が大きくなっていて、感染者の年齢層や感染が起きた場面が多様化し、医療機関での対応も厳しさを増しているということです。

また、名古屋市以外でもクラスターが多様化し、外国人コミュニティーや大学、それに高齢者施設で散発しているとしています。