厚生労働省の新型コロナ専門家会合
新型コロナ 専門家会合
「新規感染者数 減少傾向続く見込み」

2023年2月22日

新型コロナウイルス対策について助言する、厚生労働省の専門家会合が開かれ、新規感染者数は感染の第8波が始まる前の、2022年秋の水準を下回り、今後も減少傾向が続くと見込まれると分析しました。一方で、インフルエンザは増加幅は小さくなるものの、今後も増加が続くと見込まれるとして、引き続き同時流行に注意が必要だと指摘しています。

専門家会合は現在の感染状況について全国で減少傾向が続き、感染の第8波が始まる前の2022年秋の水準を下回る状況になっていて、今後も全国的に減少傾向が続くことが見込まれると分析しています。

また、亡くなる人の数の減少傾向も続いていて、救急搬送が困難なケースも依然として高い水準の中にはあるものの、減少傾向が続いているとしています。

ただ、感染者のうち80代以上が占める割合は多い傾向で、引き続き注意が必要だと指摘しています。

さらに、より免疫を逃れやすいとされるオミクロン株の「BQ.1」系統の割合が国内でも増加していて、変異ウイルスの動向を監視し続けることが必要としています。

一方で全国で流行の注意報レベルとなっている季節性インフルエンザについて、増加幅は小さくなるものの増加は続くと見込まれ、引き続き新型コロナとの同時流行に注意が必要だと指摘しました。

専門家会合は、新型コロナの感染症法上の位置づけを「5類」に移行するまでの間も、高齢者や重症化リスクの高い人に、適切な医療を提供するための医療体制の強化や、重点化に取り組むことが必要だと指摘しています。

また、オミクロン株対応のワクチンの接種を呼びかけるとともに、引き続き、飲食はできるだけ少人数で、大声や長時間の滞在を避け会話の際はマスクを着用する、換気の徹底、症状があるときは外出を控えるといった、基本的な感染対策を徹底するよう呼びかけています。

脇田座長「マスク以外の対策 適切に議論していく」

厚生労働省の専門家会合のあと開かれた記者会見で、脇田隆字座長は今後のマスク以外の感染対策について、専門家としての考え方を示すのかどうか問われ「きょうの会議で委員からは感染対策について細かく指図するのではなく、シンプルで分かりやすいものがいいのではないかという意見や、現場では感染症法上の扱いが『5類』に変更される際には、一定のガイドライン的なものが必要なのではないかという意見があった。適切に議論していく」と述べました。

また、変異ウイルスのうち、オミクロン株の『BQ.1』や『BA.2.75』の割合が徐々に増えてきていることについて、脇田座長は「感染者数が減っていく中で割合が変化していて『BQ.1』や『BA.2.75』で、新たな流行が生まれている状況ではなく、感染者数の増加につながっているわけではないと考えている」と述べました。

新規感染者数 全国で前週比0.68倍と減少傾向

厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、2月21日までの1週間の新規感染者数は、全国では前の週と比べて0.68倍と、すべての都道府県で減少傾向が続いています。

首都圏の1都3県では
▽東京都が0.71倍
▽神奈川県が0.65倍
▽埼玉県が0.64倍
▽千葉県が0.62倍と減少が続いています。

関西では
▽大阪府が0.64倍
▽京都府が0.64倍
▽兵庫県が0.69倍

東海でも
▽愛知県が0.61倍
▽岐阜県が0.68倍
▽三重県が0.75倍などと
すべての都道府県で前の週と比べて減少しています。

人口10万当たりの直近1週間の感染者数は
▽鳥取県が200.21人と全国で最も多く
次いで
▽島根県が192.81人
▽徳島県が181.22人
▽三重県が177.43人
▽和歌山県が166.16人となっていて
▽東京都は61.82人
▽大阪府は91.49人
そして
▽全国では100.24人となっています。

第8波 死亡が多くなった要因は

新型コロナの感染拡大の第8波で連日、亡くなる人が過去最多を更新するなど多くなったことについて、厚生労働省の専門家会合のメンバーらがその要因について考察する文書をまとめました。

文書では感染者数が圧倒的に増加すると、致死率が低下しても死亡者数は増加するとした上で、2022年秋以降の第8波では、感染者の全数把握が簡略化されたことに伴って検査で陽性でも自分で登録しないケースなどもあり、実際の感染者数は報告された数よりも多くなったと考えられるとしています。

また、感染の報告のうち、重症化しやすい80歳以上が占める割合が2022年夏の第7波の1.3倍に増えていて、正月休みなどの帰省や医療機関や介護施設でのクラスター発生で高齢者の感染の機会が増えたことも影響している可能性があるとしています。

その上で、高齢者で亡くなる人の数が増加した要因について
▽新型コロナへの感染をきっかけにほかの病気を併発したり、合併症が悪化したりすること、
▽感染によって心臓の機能が落ちて重症化したり、衰弱して食べ物を飲み下すことが難しくなって『誤えん性肺炎』を起こしたりすること、

それに

▽感染の影響で血栓ができ、心筋梗塞や脳梗塞などになることなどを挙げています。

さらに、
▽ワクチンや以前の感染によってできた免疫が時間の経過によって低下してきている可能性や、
▽救急搬送が厳しい状態になったことによる 介護施設や自宅で療養中の高齢者への治療の遅れ、
それに
▽高齢者が多く医療体制が必ずしも十分でない地方で感染が拡大したことも増加の要因として挙げています。

文書では、日本は他の先進国に比べて累積の感染者数が低く抑えられ、免疫を持つ人の割合が低いことも死亡者の増加に関わっている可能性があるとした上で、今後の対策でも感染者数の増加に伴う高齢者の死亡については重要な焦点になるとして、感染状況の監視や高齢者の日常的な予防対策やワクチン接種体制の維持、高齢者施設での感染対策の支援、医療体制の確保が求められるとしています。

専門家会合の脇田隆字座長は「死亡者数の増加要因を深掘りし明らかにしていくことで、医療体制を適切に整えることにつながり、死亡者も減らせると考えている。さらに分析を進めたい」と話しています。