厚生労働省の新型コロナ専門家会合
新型コロナ 第2波の流行
「高齢者の致死率変わらず」

2020年8月24日

新型コロナウイルス対策について厚生労働省に助言する専門家の会合が8月24日開かれ、これまでに亡くなった人や重症になった人たちの分析などが報告されました。第1波の流行と比べて現在の流行では、亡くなった人の数は少ないものの高齢の人の致死率はほとんど変わっていないということです。

8月24日開かれた会合では、現在の感染状況について流行はピークに達してはいるものの、このあと減少するかどうかは現時点では分からず、感染の再拡大への警戒が必要な状況だと評価しました。

また、国立感染症研究所から、第1波の流行と現在の第2波の流行のそれぞれの致死率が報告されました。

その結果、ことし5月までの第1波の際の致死率は6%だったのに対して、6月以降は4.7%と低下傾向になっていました。

ただ年代別に見てみますと、50代、60代の致死率は第1波が2.8%、第2波が3.1%。また70代以上の致死率は、第1波の際が25.1%、第2波が25.9%とほとんど変わっていなかったということです。

また、ことし3月までの516人分の患者データから人工呼吸器を装着したり、死亡したりするリスクと関係のある要因を分析したところ、男性は女性に比べてリスクが2.8倍になっていたほか、
基礎疾患については
▽高尿酸血症が3.2倍
▽慢性肺疾患が2.7倍
▽糖尿病が2.5倍
▽脂質異常症が2.1倍になっていたということです。

専門家会合の脇田隆字座長は「これから重症化リスクの高い人が多くいる病院や施設などでの感染が増えてくると考えられるので、医療体制などの充実に取り組む必要がある。今後もさらにデータの分析を進めていきたい」と話しています。

引き続き警戒が必要な状況

8月24日開かれた会合では現在の流行状況についての評価が報告されました。
この中では1人の感染者から平均何人に感染が広がるかを示す「実効再生産数」と呼ばれる数値を示し、各地でこの実効再生産数が流行が収束に向かう目安となる「1」を下回っているとしました。

そのうえで、今回の流行は全国的にはピークに達しているものの、地域によっては感染者数の減少傾向が続くかどうかが分からない地域もあることなどから、このあと高止まりしたり、再び感染者数が増えたりする可能性があるとして、引き続き警戒が必要な状況だとしました。

また、大阪府や沖縄県、愛知県、福岡県などでは重症者の数が増加する傾向が続いていて、医療体制や検査体制をさらに充実させる対策に取り組むべきだとしています。