【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(6月28日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる28日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ロシア高官 “国籍取得の移民 約1万人をウクライナ前線に投入”

ウクライナで激しい戦闘が続く中、ロシアの連邦捜査委員会のトップは、ロシアに移住して国籍を取得した移民のうち、およそ1万人がウクライナの前線に投入されていると明らかにしました。

これはロシア連邦捜査委員会のバストルイキン委員長が27日、明らかにしたものです。

それによりますと、最近になってロシア国籍を取得した外国からの移民のうち、義務となっている軍への登録をしていなかった3万人以上を特定したということです。

その上でバストルイキン委員長は、「国籍を取得した者は軍に登録し、必要であれば特別軍事作戦に参加しなければならないという法律の規定を適用し始めた」と述べ、軍に登録させた上でこのうちおよそ1万人をウクライナの前線に送り込んだとしています。

ロシアには中央アジアの国々からの出稼ぎ労働者が多くいますが、こうした状況を受けて、移住してきた人々の中にはロシアを離れる人も出てきているということです。

ロシア軍は犠牲をいとわない戦い方で多くの兵士を失っているとされていて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は、「ロシア政府が国籍を得た移民を前線に送り込む法的な仕組みは不透明で、強制送還や刑務所行きを避けようとする移民に軍に入隊する機会を提供している可能性がある」と指摘しています。

EU ウクライナと軍事支援継続の協定に署名

EUのミシェル大統領とフォンデアライエン委員長は27日、EUの首脳会議にあわせてウクライナのゼレンスキー大統領をベルギーに招き、ウクライナの安全を確保するため、今後も軍事支援を続けるなどとした協定に署名しました。

協定には、EU側が砲弾や防空に関する支援を加速させることや、防衛産業の協力を進めることについても明記されています。

また、将来的に攻撃を受けた場合には、ウクライナが自衛のために必要とする支援について、24時間以内に協議するとしています。

EUのミシェル大統領は、「ウクライナを支援することは、より安定し、豊かなヨーロッパ大陸を支援することだ」と述べました。

また、ウクライナのゼレンスキー大統領は、SNSで謝意を示すとともに、「EUとの将来にわたるつながりを確認できた」と投稿し、意義を強調しました。

ウクライナは、欧米各国などとも安全を確保するための2国間協定を相次いで結び、ロシアのさらなる脅威に備える動きを強めています。

プーチン大統領 中国やインドと首脳会談へ 外交活動を活発化

ロシアのプーチン大統領は27日、首都モスクワを訪問したアフリカ中部のコンゴ共和国のサスヌゲソ大統領と会談しました。

プーチン大統領は、「国どうしも個人的にもわれわれは非常に良好な関係を築いてきた」とアピールしたのに対し、サスヌゲソ大統領は「ロシアは不法な制裁にも抵抗している。経済や安全保障などあらゆる分野でロシアと関係を強化したい」と応じました。

ロシアは、ラブロフ外相が6月にコンゴ共和国を含めたアフリカ各国の歴訪も行い、グローバル・サウスの国々との関係強化を図っています。

また、プーチン大統領は、7月3日から中央アジアのカザフスタンで開かれる上海協力機構の首脳会議に出席する予定で、ロシア側は中国の習近平国家主席やトルコのエルドアン大統領と個別の会談も調整しているとしています。

さらに、ロシア大統領府は、プーチン大統領がインドのモディ首相を近く、ロシアに招待して会談を行う予定だとし、国営のタス通信は、7月上旬に調整されていると伝えています。

ウクライナ情勢を巡って対立を深める欧米側と対抗するうえで、プーチン大統領は友好国との関係強化に向け外交活動を活発化させています。

ウクライナの研究所 “ロシア軍使用ミサイルに北朝鮮のもの”

ロシア軍が使用したミサイルの残骸などを分析しているウクライナの研究所の責任者がNHKの取材に応じ、各地に着弾したミサイルのなかに北朝鮮のものが含まれていると結論づけたと述べました。

ロシアによるウクライナへの攻撃に、北朝鮮から供与された武器が使われているとする指摘を裏付けたかたちです。

ウクライナの首都キーウにある司法省の犯罪科学研究所は、戦場などで回収されたロシア軍のミサイルや無人機の残がいを調べ、ロシア側がどのように性能の向上を図っているのかなどを分析しています。

研究所は、ことし1月に東部のハルキウに着弾したミサイルの残骸について、部品や大きさ、材料などを詳しく分析した結果、このミサイルが「KN-23」と呼ばれる北朝鮮の短距離弾道ミサイルだと結論づけました。

残骸には、ハングルとみられる文字が刻まれた部品が見つかったほか、部品に刻まれた番号などを削ることで、製造元を隠そうとしたとみられる痕跡も確認できたということです。

研究所ではこのほか、首都キーウなどに着弾したミサイルについても、いずれも北朝鮮のミサイルだったと結論づけています。

ロシア軍がウクライナへの攻撃で、北朝鮮製のミサイルを使ったと確認されたケースは、去年末以降、これまでに50件ほどにのぼるともされ、こうした指摘を裏付けたかたちです。

犯罪科学研究所で軍事研究部門の責任者を務めるアンドリー・クルチツキーさんは、「ロシア製のミサイルと比べて明らかに部品や素材が異なり、ロシアがウクライナに対して北朝鮮のミサイルを使ったと結論づけた。現在は迫撃砲弾の分析を進めている。まだどこのものかはわからないが北朝鮮の可能性がある」と述べ、ミサイル以外でも北朝鮮から供与された砲弾が使われているとみて、実態の解明を進めているとしています。

ロシアと北朝鮮は6月、有事の際の軍事的な支援を明記した新たな条約に署名するなど軍事的な協力関係を一段と高めています。

今後、さらに北朝鮮からロシアへのミサイルや砲弾の供与が拡大する可能性もあり、ウクライナや欧米などは警戒を強めています。