【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(6月20日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる6月20日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

双方のエネルギー関連施設への攻撃が激化

ウクライナでは20日にかけてロシアによる攻撃で発電所に被害が出たのに対し、ロシア国内では石油貯蔵施設で無人機による攻撃で火災が発生するなど、双方のエネルギー関連施設への攻撃が激しくなっています。

ウクライナ空軍は20日にかけてロシア軍が27機の無人機や9発のミサイルによる攻撃を各地に仕掛け、無人機すべてと5発のミサイルを撃墜したと発表しました。

エネルギー省などによりますと、この攻撃で4つの州で火力発電所などエネルギー関連施設が被害を受け、従業員3人がけがをしたということです。

地元の電力会社によりますと、火力発電所がロシア側の大規模な攻撃を受けたのはこの3か月で7回目だということです。

ウクライナではロシア軍がことし3月ごろからエネルギー関連施設への攻撃を一段と強めていて、電力不足が深刻な事態となり、各地で計画停電が行われるなど、市民生活にも影響が広がっています。

一方、ロシアの国防省は、20日にかけてウクライナ側の無人機15機を撃墜したと発表しました。

ロシアの西部タンボフ州の知事と南部の共和国の首長は20日、それぞれ無人機による攻撃で石油貯蔵施設で火災が起きたことを明らかにしました。

いずれもこれまでのところ、けが人などはないとしています。

ウクライナ側もロシアに対抗するため石油関連施設などを狙った無人機による攻撃を続けているとみられ、双方のエネルギー関連施設への攻撃が激しくなっています。

“ロシアが東部全線で前進か” 英国防省分析

ウクライナでは19日も各地でロシア側による攻撃があり、地元の州知事らによりますと、東部ハルキウ州と南部ヘルソン州であわせて住民2人が死亡、4人がけがをしました。

東部の前線を中心にウクライナ軍とロシア軍の激しい攻防が続く中、イギリス国防省は18日、ロシア軍が東部ドネツク州のアウディーイウカから北に20キロほどの集落を掌握したとみられるという分析結果を明らかにしました。

この地域ではことし2月にロシア軍が東部の拠点、アウディーイウカを掌握して以降、激しい戦闘が続き、ロシア軍が攻勢をかけて徐々に前進しているとしています。

その上で、新たな集落を掌握することで、ウクライナ軍の東部への主要な補給路の1つが危険にさらされつつあると分析していて、ウクライナにとって厳しい戦闘が続いているものとみられます。

ロシアと北朝鮮 第3国からの攻撃時 相互支援行う新条約に署名

24年ぶりに北朝鮮を公式訪問したロシアのプーチン大統領は、19日、キム・ジョンウン(金正恩)総書記と首脳会談を行い、その後、両首脳は包括的戦略パートナーシップ条約に署名しました。

プーチン大統領は、共同記者発表で、条約には第三国からの攻撃があった場合、相互に支援を行うことが盛り込まれていると明らかにしました。

そのうえで「アメリカなどNATOは高精度の長距離兵器やF16戦闘機などロシア領を攻撃するための兵器を供与するとし、すでにそれは起きている。北朝鮮との軍事技術協力の発展は排除しない」と述べました。

ロシアとしては、ウクライナへの軍事侵攻が長期化する中、条約によって、砲弾やミサイルなどの供与が指摘される北朝鮮との軍事協力を正当化し拡大させたい思惑とみられます。

これに対し、キム総書記は「両国は、同盟関係という新たな高いレベルに達した」と述べ、軍事協力も含めた関係強化を強調しました。

北朝鮮としては、後ろ盾であるロシアの役割拡大を誇示し、安全保障協力を進める日米韓3か国をけん制したいねらいがあるとみられます。

一方、アメリカ国務省の報道担当者は19日、両首脳が新たな条約に署名したことなどについて、NHKの取材に対し、「両国の協力関係が深まることは朝鮮半島の平和と安定の維持やウクライナ支援に関心を持つすべての人々にとって大いに懸念すべきことだ」と述べました。

ロシアと北朝鮮は軍事的な協力関係を一段と高めたかたちで、日本を含む各国で安全保障上の懸念がさらに強まるものとみられます。

ウクライナ大統領府顧問 条約署名を非難

ウクライナのポドリャク大統領府顧問は19日、SNSで、ロシアと北朝鮮が包括的戦略パートナーシップ条約に署名したことについて「北朝鮮に対する国際的な決定や決議、それに制限を一方的かつ、極めて厚かましく無効化するものだ」と投稿し、今回の署名を非難しました。