【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(6月14日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる14日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

プーチン大統領“ウクライナ軍が4州撤退すれば和平交渉も”

プーチン大統領は14日、ロシア外務省で外交官らを前に演説しました。

このなかでプーチン大統領は、ウクライナの和平に向けて「具体的で現実的な提案をする」とした上でロシアがおととし一方的に併合を宣言したウクライナ東部のドネツク州とルハンシク州、それに南部のザポリージャ州、ヘルソン州からウクライナ軍が完全に撤退することにウクライナが同意し、実際に撤退を始めれば、和平交渉を始める用意があると主張しました。

また「ロシアの原則的な立場は、ウクライナの中立と非同盟だ」と述べ、ウクライナのNATO=北大西洋条約機構への加盟は認められないという考えを改めて示しました。

欧米側は、13日からG7サミットを開き、15日からはウクライナが提唱する和平案の実現に向けてスイスで「平和サミット」と呼ぶ国際会議を開催します。

ロシアが示した条件はウクライナにとって受け入れられませんが欧米側の動きに合わせるかのようにプーチン大統領は提案を掲げたもので、ウクライナや欧米側を揺さぶるねらいとみられます。

G7の凍結ロシア資産での支援に プーチン大統領“報復免れない”

イタリアで開かれているG7サミットは、ウクライナへの新たな支援策として制裁で凍結したロシアの資産を活用し、およそ500億ドル、日本円にしておよそ7兆8000億円をウクライナへの支援にあてることで合意しました。

こうした措置について、ロシアのプーチン大統領は14日、「欧米諸国はロシアの資産を凍結し、横領するための法的根拠を考えている。しかし、それは盗みにほかならず、報復を免れることはない」と述べて強く反発し、報復措置をとると警告しました。

また、ロシア中央銀行は、アメリカ政府が新たな制裁でロシア最大のモスクワ証券取引所などを制裁対象に加えたことを受けて、証券取引所でのドル建てとユーロ建ての一部の取り引きを停止したことを明らかにしました。

今後は取引所を通さない店頭取引にする一方、声明では「個人や企業の預金口座にあるドルやユーロの資産はすべて安全なままだ」と強調しています。

また、ロシア最大の金融機関「ズベルバンク」も声明を発表し、制裁による業務への影響はないと、平静を呼びかけています。

新たな制裁について、アメリカのメディア、ブルームバーグは13日、ロシア企業にとってはビジネスがしにくくなる一方、「ロシアは欧米諸国の通貨からの移行を進めているため、アメリカの制裁による混乱は限定的かもしれない」と指摘しています。

上川外相 “国際社会と連携し ウクライナに力強い支援続ける”

G7サミットに出席するためイタリアを訪れている岸田総理大臣は13日、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、殺傷性のない防衛装備の提供や、地雷の除去など、復旧・復興に向けた支援を続けていくなどとした協力文書を交わしました。

これについて、上川外務大臣は記者会見で「わが国のウクライナ支援を力強く示すとともに、ウクライナの問題が国際社会全体の問題であることを改めて示すことができた。今後も、国際社会と連携しつつ、力強い支援を続けていきたい」と述べました。

米 ウクライナにロシア領内攻撃許可で成果をアピール

ロシア軍がウクライナ東部ハルキウ州への攻撃を続ける中、アメリカ政府は5月末、それまでの方針を転換する形で、ウクライナに対しハルキウ州の防衛を目的に、自国が供与した兵器でロシア領内の国境沿いに展開する部隊などを攻撃することを許可したことを明らかにしました。

これについて、オースティン国防長官は13日、ウクライナ支援について話し合うベルギーでの会合後の記者会見で「ロシアの進軍が鈍くなり、前線の一部が安定した」と述べ、成果をアピールしました。

ただ実際に、ウクライナ軍がアメリカから供与された兵器を使用し、ロシア領内を攻撃したかどうかについては明らかにしませんでした。

またオースティン長官は「世界中のウクライナのパートナーたちは、プーチン大統領の侵略に対し、立ち向かい続ける」と述べ、ウクライナへの支援を継続する姿勢を強調しました。

ロシア軍 戦術核兵器の使用想定軍事演習で欧米をけん制

ロシア国防省は13日、戦術核兵器の使用を想定した軍事演習についてロシア軍の部隊が「核弾頭を模した訓練用の弾頭をミサイル部隊と航空部隊の保管地点に移送した」と発表しました。

また、核弾頭を搭載できる短距離弾道ミサイル「イスカンデル」を使った演習やロシア軍の艦船で兵士が模擬の標的に向けてミサイルの発射ボタンを押す映像などを連日、公開しています。

ロシア国防省は5月21日、戦術核兵器を扱う部隊による軍事演習の第1段階を、ウクライナ侵攻の拠点にもなっている南部軍管区で開始したと発表し、今週からはベラルーシ軍も参加して第2段階の演習が行われています。

第2段階の演習には、NATO加盟国のバルト諸国やフィンランドなどと国境を接するロシア軍のレニングラード軍管区の部隊も加わったとしています。

イタリアでウクライナ支援などを協議するG7サミットが開かれ、15日からはスイスでウクライナが提唱する和平案の実現に向けた国際会議が予定されるなか、ロシアは欧米諸国へのけん制を強めています。

バイデン大統領 ゼレンスキー大統領 2国間協定に署名 共同会見

アメリカのバイデン大統領は、G7サミット=主要7か国首脳会議が開かれているイタリアでウクライナのゼレンスキー大統領とともに今後10年に渡りウクライナの安全を確保するための2国間の協定に署名し、長期的に支援していく姿勢を強調しました。

アメリカのバイデン大統領は、13日、G7サミットが開かれているイタリアのプーリア州で、ウクライナのゼレンスキー大統領と共同会見しました。

このなかでバイデン大統領は、G7が制裁で凍結したロシアの資産を活用し、およそ500億ドル、日本円にしておよそ7兆8000億円をウクライナへの支援にあてることで合意したことについて「重要な成果だ」と述べ、歓迎しました。

また、中国が軍事転用可能な物資をロシアに輸出し、ロシアの軍需産業を支援しているという懸念についても意見を交わし、G7が一致した対応を取ることで合意したと明らかにしました。

会見にあわせてバイデン大統領は、ゼレンスキー大統領と2国間の安全保障協定に署名しました。

協定の有効期間は10年間で、アメリカはウクライナ軍の強化や兵器生産能力の拡大への支援、それに情報機関の協力などを通じウクライナの防衛力を向上させ、安全を確保していくとしています。

バイデン大統領は「われわれはウクライナがこの戦争を乗り越えるまで共にいる」と述べ、長期的に支援していく姿勢を強調しました。

これに対して、ゼレンスキー大統領は「きょうは本当に歴史的な日だ」などと述べ、アメリカの支援に謝意を示しました。

ゼレンスキー大統領 日本との協力文書 “日本の献身に感謝”

ウクライナのゼレンスキー大統領は、日本と交わした2国間の協力文書について、「世界で経済的にも技術的にも最も進んだ国の1つである日本との唯一無二の文書だ」とSNSに投稿し、歓迎しました。

そのうえで日本からの支援には憲法の制約があることを念頭に、「日本にとってこうした合意や支援は、画期的なことだ。私たちはこのことを理解し、日本が私たちの国と国民に揺るぎない連帯を示し、命と国際法を守るために献身してくれたことに感謝する」としています。

岸田首相 ゼレンスキー大統領 2国間会談で新たな協力文書

岸田総理大臣は訪問先のイタリアでウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、新たな2国間の協力文書を交わしました。

憲法の制約を踏まえ、殺傷性のない防衛装備の提供を行うほか、地雷の除去などの復旧・復興支援を続けていくことなどが盛り込まれています。

両首脳は日本時間の昨夜遅くから14日未明にかけて会談するとともに、新たな2国間の協力文書を交わしました。

去年5月以来、およそ1年ぶりとなった会談の冒頭、岸田総理大臣は「日本が今後もウクライナとともにあることを示す2国間文書に署名できたことは大変うれしい。G7や同志国と連携し、強力に支援していく」と述べました。

これに対し、ゼレンスキー大統領は「世界への非常に力強いシグナルになる。復興への貢献も非常に力強く思っている」と謝意を示しました。

協力文書では、安全保障分野で、憲法の制約を踏まえ、殺傷性のない防衛装備や物資の提供、負傷したウクライナの兵士の治療といった支援を進めるとしています。

また復旧・復興支援では地雷の除去やがれきの処理、女性や子どもを含む人道状況の改善などを後押ししていくことなどが盛り込まれています。

そして、今の軍事侵攻が終結したあと、ロシアが再びウクライナに武力攻撃を行った場合は、日本とウクライナが24時間以内に協議を行うことも確認しました。

G7サミット初日 ウクライナ支援に500億ドルで合意

イタリア南部プーリア州で13日に始まったG7サミットは、初日、ウクライナ情勢のセッションが行われゼレンスキー大統領も参加しました。

アメリカ政府高官によりますと、G7各国の首脳は、制裁で凍結したロシア中央銀行の資産で得られる収益を活用して、およそ500億ドル、日本円にしておよそ7兆8000億円をウクライナへの支援にあてることで合意したということです。

支援はことし中に始まり、軍事や人道支援、復興などの分野にあてられるとしています。

また、ロシアとウクライナが今後、停戦したとしても、ロシアが被害の賠償をしない限りは各国が資産の凍結を続けることも確認したということです。

ドイツのショルツ首相は支援の詳細を早急に決める必要があるとした上で「きょうの決定は歴史的な一歩だ」と述べ、合意を歓迎しました。

侵攻が長期化し、欧米各国で支援疲れも指摘されるなか、G7としては、改めてウクライナへの支援を続ける姿勢を示した形です。