【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(6月5日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる5日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

ゼレンスキー大統領 欧米などと協議へ “ことしを決定づける”

ウクライナのゼレンスキー大統領は6日、第2次世界大戦のノルマンディー上陸作戦から80年を迎えるのにあわせた記念式典に出席するためフランスを訪問する予定です。

フランス大統領府は、マクロン大統領とゼレンスキー大統領が7日にパリで会談を行うと発表し、複数のメディアは、フランス側が兵士を訓練する教官をウクライナに派遣する計画について発表する可能性があると伝えています。

また、ゼレンスキー大統領は、アメリカのバイデン大統領とも会談する見通しです。

ヨーロッパでは、来週13日からイタリアでG7=主要7か国の首脳会議が開かれるほか、15日からはスイスでゼレンスキー大統領が提唱する和平案の実現に向けた国際会議も開催されます。

ゼレンスキー大統領は4日、動画の演説で、「6月が始まったばかりだが、この夏、さらにはことしを決定づけるものとなる」と述べ一連の会議などの重要性を強調しました。

ロシア アフリカ各国を歴訪 ウクライナや欧米諸国に対抗

ロシアでは、ラブロフ外相がアフリカ各国の歴訪を行っていて、4日にはコンゴ共和国で外相会談を行いました。

ラブロフ外相は、スイスで行われる国際会議について、「コンゴ共和国も、中国、インド、ブラジルなどと同様に、ロシアが参加しない会議には意味がないとしている」と述べ、ロシア側も友好国との連携を確認し、ウクライナや欧米諸国に対抗しようとしています。

オランダ “供与兵器でロシア領内の攻撃認める”

侵攻を続けるロシア軍がウクライナ東部で攻勢を強めていることを受けて、アメリカやドイツはこれまでの方針を転換し、ウクライナに対してハルキウ州の防衛強化を目的に、自国が供与した兵器でロシア領内を攻撃することを許可すると発表しています。

また、オランダのオロングレン国防相は3日に公開されたアメリカの政治専門サイト「ポリティコ」のインタビューで、オランダがウクライナに供与する予定の24機のF16戦闘機について「ウクライナに引き渡せば、ウクライナのものだ。国際法と自衛のための権利を順守することだけを求める。つまり、自衛のために軍事目標を標的にできる」と述べ、ロシア領内への攻撃を認める考えを示しました。

こうした中、ウクライナのイエルマク大統領府長官は、4日、SNSに、「欧米の兵器をロシア領内への攻撃に使えることは非常に重要な決定だ」と投稿し、各国の動きを歓迎しました。

そのうえで、「戦争の遂行や反攻作戦の計画に影響を与え、国境地帯に部隊を展開するロシア軍の能力も弱めることになる」と述べロシア軍との戦闘において、大きな効果につながることに期待を示しました。

英経済誌 ATACMS供与の意義を強調

イギリスの経済誌「エコノミスト」は、今月2日付けの記事でウクライナ軍にとっては、アメリカが軍事支援を再開したことをきっかけにロシアが一方的に併合した南部クリミアへの攻撃を続け、ロシア側に圧力を強めていくことが有効だと伝えています。

記事の中では、アメリカがことし4月に発表したウクライナへの新たな軍事支援のうち、最大射程がおよそ300キロとされるミサイル、ATACMS(エイタクムス)が供与されたことの意義を強調しています。

そして、ATACMSの供与と、無人機の性能を高めることによって「クリミア半島のすべての場所がウクライナの射程に入る」としています。

また、アメリカ・ヨーロッパ軍のベン・ホッジス元司令官の話としてウクライナ軍は、準備が整えばクリミアとロシア南部を結ぶ橋を攻撃する可能性があるとしています。

ロンドン大学キングスカレッジのローレンス・フリードマン名誉教授は「クリミアは、ロシアにとって弱点で、防衛すべきものがあまりにも多くある」とした上でウクライナにとっては、クリミアを巡る戦況で優位に立つことがプーチン大統領に圧力をかける最善の方法だと指摘しています。