【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(6月3日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる6月3日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

米シンクタンク“欧米供与の武器でロシア領内攻撃 極めて重要”

ロシア軍は5月、ウクライナ東部ハルキウ州に国境を越えて侵入し、多くの集落を掌握するなど攻勢を強めていて、これに対抗する形でアメリカやドイツは、ハルキウ州の防衛強化を目的に、これまでの方針を転換して、自国が供与した武器でウクライナによるロシア領内への攻撃を許可する考えを示しています。

これについて、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は2日、第2の都市ハルキウへの滑空爆弾やミサイル攻撃を撃退するためには、防空システムの供与に加えて、欧米諸国が供与する武器をウクライナ軍がロシア領内への攻撃に使えることが極めて重要だと指摘しました。

ウクライナのゼレンスキー大統領も、欧米諸国の兵器をロシア領内で使用することについて「時間の問題だ」としています。

ロシアは強く反発 “致命的な結果を招きかねない”

一方、ロシアのインターファクス通信によりますと、3日、ロシア外務省のリャプコフ次官は「致命的な結果を招きかねない計算違いについて、アメリカ側に警告する。彼らは自分たちが受ける反応の深刻さを過小評価している」と述べ、強く反発しています。

ゼレンスキー大統領 フィリピンでマルコス大統領と会談

ロシアによる軍事侵攻が続く中、ウクライナのゼレンスキー大統領は、2日までシンガポールで開かれていたアジア安全保障会議に出席し、みずからが提唱する和平案の実現に向けて、6月にスイスで開かれる「平和サミット」への参加を各国に呼びかけました。

会議を終えたゼレンスキー大統領はフィリピンを訪問し、3日朝、首都マニラの大統領府でマルコス大統領と対面で初めて会談しました。

フィリピンは南シナ海で中国の威圧的な行動にさらされていて、マルコス大統領は「両国に共通する問題を話し合い、ともに歩める道を見つけることができればと思う」と述べました。

これに対して、ゼレンスキー大統領は「ウクライナの領土の一体性と主権について支持してくれていることを、とてもありがたく思う」と述べ、ウクライナの立場を支持しているとして謝意を示しました。

また、マルコス大統領は「平和を促進し、戦闘を終結させ、政治的解決をもたらすために、できるかぎりのことをし続ける」と述べ、「平和サミット」への参加を約束しました。

そのうえで両大統領は、主権の侵害に反対する共通の立場で連携していくことを確認しました。

“平和サミット不参加を働きかけ” 中国が否定

ゼレンスキー大統領が、「平和サミット」をめぐり、欠席する見通しの中国が各国に参加しないよう働きかけていると批判したことについて、中国外務省の毛寧報道官は3日の記者会見で「覇権主義や強権政治は中国の外交姿勢ではない。中国の立場は透明性があり、ほかの国に圧力をかけるという状況は完全に存在しない」と述べ、否定しました。

また、毛報道官は、ゼレンスキー大統領が、中国がロシアの軍需産業を支援していると指摘したことについて、「ロシアが輸入している武器の部品などの60%以上はアメリカや西側諸国から来ている。これはゼレンスキー大統領本人も発言の中で言及していることだ」と述べ、反発しました。

毛報道官は、中国が「平和サミット」を欠席する方針に対して批判も出ているとする記者の質問に対して、「平和を支持しているかどうかを個別の国や特定の会議をもって判断してはいけない。『平和サミット』が陣営対立をつくり出す場にならないことを心から望む」とけん制しました。

ウクライナ エネルギー関連施設も攻撃の標的に 連日の計画停電

ロシア軍はウクライナ各地に攻撃を続けていて、ゼレンスキー大統領は6月2日、SNSの投稿で、ミサイルや無人機などを使った攻撃がこの1週間で1000回近く行われたとして、「人命の著しい軽視と絶え間ない恐怖をロシアは広めようとしている」と非難しました。
その上で、防空システムや十分な射程がある兵器の供与が必要だと訴えました。

ロシアによる攻撃ではウクライナのエネルギー関連施設も標的となり、電力会社は6月1日、2つの火力発電所に深刻な被害が出たと明らかにしています。

電力会社は「国内の火力・水力発電の80%が破壊された」として、電力不足に対応するため、各地で連日、計画停電を行っています。

首都キーウでも6月2日夜、停電となり、中心部にある飲食店では充電式の照明器具を使って、暗い中でも営業を続けていました。

なかには発電機をつないで営業を続ける飲食店もありましたが、店主によると、電力を多く消費する一部の調理器具は動かせないということです。

店主の男性は「発電機は停電対策のため1年前に買った。これがないと仕事にならない」と話していました。

計画停電は各地で6月3日も予定されているほか、ウクライナでは6月から、攻撃を受けた電力網の復旧のためなどとして一部の電気料金が値上げされていて、市民生活にも深刻な影響が広がっています。