【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(5月31日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる31日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

米長官 “ウクライナ供与兵器でのロシア領内攻撃を一部許可”

アメリカのブリンケン国務長官は31日、訪問先のチェコで記者会見し、ロシアによるウクライナ侵攻に関連して「この数週間、ウクライナ側は、ロシア側の国境沿いに集結して攻撃をしかけてくるロシア軍の部隊を含め、侵略からの防衛を目的に、われわれが供与している兵器を使用する許可を求めていた。バイデン大統領はそれを承認した」と述べてウクライナに対して、アメリカが供与した兵器でロシア領内を攻撃することを一部、許可したと明らかにしました。

アメリカはこれまで供与した兵器をウクライナ国内での使用に限定するよう求めてきましたが、ロシア軍の攻勢を受けて方針を転換した形です。

“住宅街にロシアのミサイル攻撃 5人死亡”ハルキウ州知事

ウクライナ東部ハルキウ州の地元知事は、州都ハルキウの住宅街で集合住宅がロシア軍のミサイル攻撃を受け、これまでに5人が死亡し、25人がけがをしたと31日、発表しました。

また、ウクライナ空軍は31日、ロシア軍が各地をミサイルや無人機で攻撃したと発表し、地元当局によりますと、首都キーウでは破壊されたミサイルの破片で住宅街で火災が発生するなど被害が出ています。

ウクライナ軍のシルスキー総司令官は30日、ロシア軍が他の前線からハルキウ州北部の国境地域に部隊を移動させて、兵力の増強を続ける動きがあると明らかにし、ロシア軍はハルキウ州で攻勢を強める構えを見せています。

“米供与の武器でロシア領内を攻撃 一部許可” 米メディア

こうした中、アメリカの主要メディアは、バイデン大統領がウクライナに対し、アメリカが供与した兵器でロシア領内を攻撃することを一部、許可したと報じました。

認められるのは、ハルキウ州の攻撃に関わるロシア軍への使用で、ウクライナ軍が対抗できるよう方針を転換したものとみられます。

ヨーロッパ諸国からも最近、ウクライナに供与した兵器の使用をめぐる条件などを撤廃し、ロシア領内を奥深くまで攻撃できるようにすべきだという声が相次いでいます。

アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は30日「方針が転換されたら、ウクライナ側の領土防衛や将来の反撃作戦で重要な役割を果たすだろう」と分析し、今後の戦況への影響が注目されます。

ロシア「この紛争にアメリカが深く関与」

アメリカの主要メディアが、アメリカがウクライナに供与した兵器でロシア領内を攻撃することを一部、許可したと報じたことについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は31日、記者団に対して「この紛争にアメリカが深く関与していることを雄弁に物語るものだ」と批判しました。

また、ペスコフ報道官はヨーロッパ各国もウクライナへの軍事的な関与を強めているとしたうえで「意図的にヒステリーをあおっている。確実に悪影響を及ぼすもので緊張が高まり続いている」と述べ、警戒感を示しています。

ゼレンスキー大統領 アジア安全保障会議に参加へ

シンガポールで開かれているアジア安全保障会議に、ウクライナのゼレンスキー大統領が参加することになったと複数の外交筋が明らかにしました。ロシアによる軍事侵攻が続くなか、欧米やアジアの防衛担当の閣僚が集まる場で支援を訴えるものとみられます。

31日、シンガポールで開幕したアジア安全保障会議には、アメリカのオースティン国防長官や日本の木原防衛大臣をはじめ、欧米やアジアの各国の防衛担当の閣僚らが参加していて6月2日までの間、アジア地域や世界の安全保障の課題について話し合うことになっています。

この会議について複数の外交筋はNHKの取材に対し、ウクライナのゼレンスキー大統領が参加することになったと明らかにしました。

ロシアによる軍事侵攻が始まって以降、ゼレンスキー大統領は、おととしの会議では、オンライン形式で演説し国際社会に支援を訴えましたが、対面で参加するのは初めてとなります。ウクライナでは、東部ハルキウ州などでロシア軍が攻撃を強化するなど厳しい状況に立たされていて、ゼレンスキー大統領は、各国の防衛担当の閣僚が集まる場で、さらなる支援を訴えるものとみられます。

ロシア外相「F16供与決定は核兵器に関する意図的なシグナル」

ロシア外務省は30日、国営のロシア通信によるラブロフ外相のインタビューを公開しました。

ラブロフ外相は欧米諸国がウクライナにF16戦闘機を供与する計画について「F16戦闘機はNATOがいわゆる核共有の主要な運搬手段として使用してきた。ウクライナへの供与の決定は核兵器に関するNATOからの意図的なシグナルだ」と述べ、欧米側こそが核戦力でロシアを威嚇していると主張しました。

そのうえで戦術核兵器の使用を想定したロシア軍と同盟国ベラルーシによる軍事演習を正当化し、欧米側をけん制しました。

ゼレンスキー大統領 訪仏へ 仏側が兵士の教官派遣の計画発表か

ウクライナのゼレンスキー大統領は来週、フランスを訪問する予定で、ロイター通信は、フランス側が兵士を訓練する教官をウクライナに派遣する計画について発表する可能性があると伝えました。欧米諸国からはウクライナへの関与を強める動きが続いています。

ウクライナのゼレンスキー大統領は6月6日に第2次世界大戦のノルマンディー上陸作戦から80年を迎えるのにあわせた記念式典に出席するためフランスを訪問する予定です。

ロイター通信は30日、複数の外交筋の話としてこの訪問の際に、フランスが兵士を訓練する教官をウクライナに派遣する計画について発表される可能性があると伝えました。

フランス側は最初に限られた人員を派遣したあと、数百人規模の教官らを送り、地雷の撤去や欧米が供与する戦闘機に関する専門知識などを教える計画だとしていて、欧米諸国からはウクライナへの関与を強める動きが続いています。