【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(5月29日の動き)

ロシアによるウクライナに対する軍事侵攻が続いています。

ウクライナの各地でロシア軍とウクライナ軍が戦闘を続けていて、大勢の市民が国外へ避難しています。戦闘の状況や関係各国の外交など、ウクライナ情勢をめぐる29日(日本時間)の動きを随時更新でお伝えします。

(日本とウクライナ、およびロシアのモスクワとは6時間の時差があります)

“ゼレンスキー大統領は任期満了” ロシア主張にウクライナ反発

ウクライナでは、ロシアによる軍事侵攻が続いていることを背景にことし3月に予定されていた大統領選挙が見送られ、5月20日に任期満了を迎えたゼレンスキー大統領が引き続き職務を担っています。

これについて、ロシアのプーチン政権はその正当性を疑問視する主張を繰り返していて、プーチン大統領は28日も戒厳令下での大統領の権限について、「ウクライナの憲法では、議会の議長に引き継がれるべきだと書かれている」と述べ、ゼレンスキー政権の信頼失墜を狙ったとみられる情報発信を続けています。

これに対し、ウクライナの議会にあたる最高会議のステファンチュク議長は28日、SNSへの投稿で、ウクライナの憲法では次の大統領が就任するまで現職の大統領が執務にあたると定められていると指摘し、「条文の一部を抜き出して読むべきではない」と非難しました。

ウクライナ政府は、「ロシアはウクライナで政治危機を引き起こすことを望んでいる」としていて、ロシアが流す偽情報にだまされないよう呼びかけています。

仏大統領 ウクライナのロシア領攻撃 条件提示で議論促す

ロシア軍がウクライナ東部への攻撃を強める中、NATO=北大西洋条約機構のストルテンベルグ事務総長やヨーロッパの一部の国の首脳からウクライナに供与した兵器の使用をめぐる条件などを撤廃し、ロシア国内を攻撃することを認めるべきだという声が相次いでいます。

これに関連してフランスのマクロン大統領は28日、訪問先のドイツでの記者会見で「ウクライナへの攻撃に使用されているロシアの軍事施設を無力化することは容認されるべきだ」と述べました。

ただ、ウクライナへの攻撃に使われていない軍事目標などへの使用は、認めるべきではないとしています。マクロン大統領としては、攻撃を認める具体的な条件に踏み込み、各国に議論を促したい考えとみられます。

一方、ウクライナのシルスキー総司令官が27日、フランスが兵士を訓練する教官をウクライナに派遣する計画があると発表したことについて、マクロン大統領は、フランス側と調整されないまま一方的に発表されたとして「コメントしない」とだけ述べました。

プーチン大統領「世界紛争へのさらなる一歩」欧米関与に

ウクライナのゼレンスキー大統領は28日、ベルギーでデクロー首相と会談し、2国間の安全保障協定を締結しました。

ウクライナ大統領府によりますと、ベルギーが2028年までに30機のF16戦闘機を供与することで合意し、年内に供与を開始することを目指すことが表明されたとしています。

その後、ゼレンスキー大統領はF16が配備されている空軍基地を視察しました。ウクライナへの支援を巡っては、フランスが兵士を訓練するための教官を派遣する計画を進めているとウクライナ側が明らかにしたほか、欧米側が供与した兵器の使用を巡る条件などを撤廃し、ロシア領内を奥深くまで攻撃できるようにすべきだという意見が出るなど、欧米側からウクライナへの関与を強める声が相次いでいます。

これに対し、ロシアのプーチン大統領は28日、訪問先のウズベキスタンで行った会見で、ロシアの軍事力に暗に触れてNATOの国々を威嚇しました。

そして、ウクライナに教官を派遣する計画などについて「ヨーロッパでの深刻な紛争、世界紛争へのさらなる一歩だ。ウクライナ領土に誰がいようと適切に行動する」と述べ、派遣された教官らも攻撃の対象になりうると脅すとともに強くけん制しました。

ウクライナ軍の訓練教官として要員の派遣 立場割れる

EU=ヨーロッパ連合の外相にあたるボレル上級代表は、加盟国が28日に開いた国防相会議で、ウクライナ軍の兵士を訓練するためウクライナに自国の軍の要員を教官として派遣する可能性について意見を交わしたものの、立場が割れていることを明らかにしました。

ボレル上級代表は、「加盟国のなかにはウクライナの兵士を訓練のために行ったり来たりさせずにすむことを利点とみている国もある。一方で、直接、戦闘にかかわる部隊でなくても軍の要員をウクライナに派遣することにはリスクがあると考える国もある」と述べ、EUとして一致した対応をとる状況にはないとしています。