去年、四大大会の全仏オープンとウィンブルドン選手権を相次いで制し、史上最年少の17歳1か月で世界ランキング1位の座をつかんだ小田選手。
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“パリパラリンピックは宿命” 車いすテニス 小田凱人
「僕にとってパリパラリンピックは宿命です」
去年、史上最年少となる17歳1か月で四大大会を制し、車いすテニス界に誕生した若き王者、小田凱人選手。その名前の由来になっているのがパリの名所、凱旋門です。
「勝ちどきをあげる」意味から名付けられ、その凱旋門があるパリでパラリンピック初出場となる小田選手。その思いを聞きました。
(スポーツニュース部 記者 持井俊哉)
2023年は“予兆” “勝負”は2024年
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ことし1月、インタビューに応じた小田選手に、まず飛躍の年となった2023年を振り返ってもらいました。
小田凱人 選手
「夢がかなった1年だったが、もちろん悔しい思いも経験した1年だった。もうちょっとやれたなという感覚もあったので、うれしさと悔しさの半分半分くらい」
小田選手は去年、四大大会を連覇したあと、9月の全米オープンでまさかの初戦敗退。
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その翌月、中国で開かれたアジアパラ大会で優勝し、パリパラリンピックへの切符をつかみました。
「負けられない戦いだったし、アジアで負けていて世界で金メダルというのは、もし優勝していなかったらこんな風に言えないし、でもすごくいい大会だった」
「去年はいわゆるブレークしたような年で、でもそれは僕の完成した姿ではなくて、これからもっと大きなことをするということを いろいろな人に知ってもらうスタートのような年でもあったし、僕の中では去年はそういう感覚だった。『俺はこんなとこでは終わらねえぞ』という自分への自己暗示というか、自分への戒めも込めている。2023年は僕にとってはただの予兆であって、勝負は2024年だと思っているので頑張りたい。応援してくれる人が徐々に増えてきていて、その人たちのためにも勝ちたい」
レジェンドの背中を追って 今度は自分が“ヒーロー”に
小田選手が強さにこだわる理由。
それは、かつての自分のように苦しんでいる子どもたちに希望を与えられる存在になりたいという、強い思いがあるからです。
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サッカー少年だった小田選手は9歳のときに左足に骨にできる「がん」の骨肉腫が見つかり、車いすの生活になりました。
日常が一変し、つらい闘病生活を送る日々。
失意のなか、勇気と目標を与えてたのがロンドンパラリンピックで金メダルを獲得した国枝慎吾さんの姿だったといいます。
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「カッコよかったですね、その姿は。僕の知っている車いすは病院にある、別にカッコよくもなんともない、移動用の距離を進むためだけのものだったんだけど、バイクとか車とか競技用の車いすのカッコいいというのは、乗り物としてのカッコよさだったので、そこは大きく違った」
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国枝さんの背中を追って練習に励み、めきめきと実力をつけた小田選手。
3年前、史上最年少の14歳11か月でジュニアの世界1位になると、翌年、15歳でプロに転向。
その年の6月、16歳と1か月足らずでテニスの四大大会に初出場し、11月には伝統あるマスターズで大会史上最年少となる16歳5か月で優勝を果たしました。
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そして、去年1月、すべての四大大会とパラリンピックで優勝する「生涯ゴールデンスラム」を達成したレジェンド、国枝さんが現役を引退。
バトンは小田選手に託されました。
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国枝さんの思いを受け継ぎ、強い覚悟を抱いた小田選手。
目指す新たなアスリート像を私たちに初めて明かしてくれました。
「車いすじゃない子どもたちが、もし車いすテニスの僕の試合をみたときに、でもピンとくるような。僕が目指しているのは障害がある子の世界だけじゃなくて、車いすじゃない子どもたちにもそういう感覚を届けたいし、それは僕にできることだと思う。子どもたちのヒーローになる」
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“宿命”のパリ大会へ
その理想を実現するため、特別な思いで大舞台に挑みます。
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小田凱人 選手
「金メダルを獲得しないと、憧れられるような存在にならないと思うし。僕の試合を見てどう感じ取ってもらえるかがすべてだと思うので、僕がどれだけ口で言っても響かないものは響かないだろうし、そこは自分の結果次第だと思う。パリパラリンピックは僕の人生においてもめちゃくちゃ大きなできごとになると思うし、試合を見た子どもたちに大きな転機になるような瞬間になってほしい。僕がボールを打つことで、世界を変えていける、そういう舞台になってほしい。単純に僕がパラリンピックで金メダルを取りたいっていうだけじゃない気がして。もともとそういう風に仕組まれてたんじゃないかっていうくらい楽しみ。金メダルを掲げたい。あの凱旋門の前で叫びたい。とったぞーって叫びたい」。
◇◇取材こぼれ話◇◇
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テレビカメラを前にしても17歳とは思えない落ち着いた口調で丁寧に応えてくれた小田選手。
最近、試合の後に披露するギターを弾くようなパフォーマンスについて尋ねると…。
「音楽が好きで、ギターもちょっとやっていたので、ずっとやろうと思っていました。パリパラリンピックでもギター?どうだろう…(笑)。ギター弾けるように頑張ります」
そして、インタビューで能登半島地震の被災地に向け「自分のプレーで少しでもいいニュースが届けられたら」と話していたおよそ3週間後、四大大会、全豪オープンの男子シングルスで初優勝を果たしました。
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大きな期待を背負って“宿命”のパリ大会へ、活躍を期待しています。
(2024年1月19日「ニュースウオッチ9」で放送)
《基礎情報》小田凱人 選手
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▽生年月日:2006年5月8日
▽出身:愛知県一宮市
▽主な実績:車いすテニスの部 男子シングルス
<2023年>
・全仏オープン 優勝(史上最年少優勝)
・ウィンブルドン選手権 優勝
・アジアパラ大会 優勝
<2024年>
・全豪オープン 優勝
・世界ランキング2位(2024年4月現在)
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