プロ野球 きょう開幕 6試合見どころ【各球団シーズン展望も】

プロ野球は29日、セ・パ両リーグが2年ぶりに同時に開幕し、各チームが143試合を戦うペナントレースが始まります。開幕戦は6試合すべてナイトゲームで行われます。

6試合の開幕カードの見どころとともに、今シーズンの各球団を展望します。

《開幕カード(開始予定時刻)》

【セ・リーグ】
▽巨人×阪神(東京ドーム・18:15)
▽DeNA×広島(横浜・18:30)
▽ヤクルト×中日(神宮・18:00)

【パ・リーグ】
▽オリックス×ソフトバンク(京セラドーム大阪・18:00)
▽ロッテ×日本ハム(ZOZOマリン・18:30)
▽楽天×西武(楽天モバイル・18:00)

==セ・リーグ 開幕カード見どころ==

◇巨人×阪神

就任1年目の岡田彰布監督のもと、38年ぶりの日本一に輝いた阪神は、球団創設90周年の節目の年に2年連続の4位から巻き返しをねらう巨人と東京ドームでの“伝統の一戦”で今シーズンの幕を開けます。

【阪神】
阪神は岡田監督がエースの青柳晃洋投手に開幕戦のマウンドを託しました。
青柳投手は昨シーズン、2軍落ちも経験し8勝にとどまりましたが、オープン戦では3試合に先発し、防御率1.29と安定した成績を残しています。

野手では20歳の前川右京選手が持ち味のバッティングで猛アピールして、開幕戦の先発出場を勝ち取る見込みで、昨シーズンからの上積みも見込まれています。

ただ、チームは日本一に大きく貢献した近本光司選手と大山悠輔選手がコンディション不良でオープン戦終盤に欠場するなど調整が遅れていて、シーズンにどう影響するのか懸念材料もあり、日本一連覇に向けてどのようなスタートを切るのか注目されます。

【巨人】
巨人は阿部慎之介新監督の下、ホームラン頼みでなく、進塁打や1つ先の塁を積極的にねらう走塁といった「緻密な野球」をテーマに掲げています。

若手とベテラン問わず激しいレギュラー争いも求め、ドラフト3位ルーキーの外野手でオープン戦では打率4割をマークした佐々木俊輔選手などが開幕1軍入りを果たしました。

投手陣では2年連続でチームトップの勝ち星を挙げた戸郷翔征投手が開幕投手を務めます。

阿部監督は“伝統の一戦”を「胸を借りるつもり」で臨むと意気込んでいて、日本一のチームを相手に緻密な野球を体現できるのか注目が集まります。

◆DeNA×広島

12球団でもっともリーグ優勝から遠ざかっているDeNAは、26年ぶりのリーグ優勝、日本一を目指し、新井貴浩監督のもと、就任1年目で2位に入った広島と本拠地横浜スタジアムで対戦します。

【DeNA】
DeNAは昨シーズン、球団の生え抜き監督としては史上初めて2年連続で3位以上に入った就任4年目の三浦大輔監督がことしも指揮を執ります。

大リーグに移籍した今永昇太投手とバウアー投手という左右の柱を失った中、昨シーズン、最多勝などのタイトルを獲得し、2年ぶり2回目の開幕投手を務める東克樹投手に大黒柱としての期待がかかります。

野手ではドラフト1位ルーキーの度会隆輝選手がオープン戦で打率4割3分4厘の成績を残して“首位打者”となり、三浦監督は開幕戦での1番での起用を明言しています。

三浦監督は開幕戦では、現役時代に開幕投手を務めた7回と、監督就任後の3回、合わせて10回で一度も白星が付いておらず、ことしこそ勝利を手にできるのか注目されます。

【広島】
新井監督の就任1年目で4年連続の4位以下から2位に躍進した広島は、リーグ3連覇を達成した2018年以来の優勝をねらいます。

昨シーズン、開幕からローテーションを守り続け、12球団トップとなるイニングを投げるなど安定した成績を残した九里亜蓮投手がプロ11年目で初めて開幕投手を務めます。

野手では主力の西川龍馬選手がオリックスに移籍しましたが、▽23歳の小園海斗選手や▽力強い打撃が持ち味で日本代表にも抜てきされた20歳の田村俊介選手など若い力が台頭してきていて、若手の活躍と持ち味の機動力を生かした攻撃が機能するかがポイントになりそうです。

◇ヤクルト×中日

昨シーズンリーグ3連覇を目指したものの5位に終わったヤクルトは、神宮球場で2年連続最下位の中日との対戦で、上位への巻き返しをねらうチームどうしの顔合わせとなりました。

【ヤクルト】
ヤクルトは前のシーズン、史上最年少で三冠王に輝いた村上宗隆選手が去年はホームラン31本、打率2割5分6厘、84打点と、いずれも前年を下回ったほか、“トリプルスリー”を3回達成しているキャプテンの山田哲人選手も下半身のコンディション不良で2回離脱していて、主軸2人の復調が打線のカギを握ります。

投手陣は先発の一角として期待された小川泰弘投手や奥川恭伸投手など、けが人が相次ぐ苦しい状況ですが、初めての開幕投手を務める来日4年目のサイスニード投手が昨シーズン2回の完封勝利をあげている中日を相手に奮起してチームを勢いづけられるか注目です。

【中日】
中日は投手陣が豊富な一方、深刻だった得点力不足を解消できるかがカギとなります。

開幕投手は昨シーズン打線の援護に恵まれず、4勝11敗と大きく負け越したものの、防御率2.44と安定感のあるピッチングをみせた8年目の柳裕也投手が務め、ほかにも
▽去年の開幕投手、小笠原慎之介投手
▽去年、リーグ2位の145個の三振を奪った高橋宏斗投手
▽プロ20年目の涌井秀章投手など、
先発陣が豊富で、通算123セーブをあげている抑えのマルティネス投手など、リリーフ陣も万全の態勢です。

野手では得点力不足の解消に向け、打点王3回の中田翔選手が加入したほか、昨シーズン、チームトップの24本のホームランを打った細川成也選手など、長打力が持ち味の選手が活躍を見せるかが上位浮上のポイントとなりそうです。

==パ・リーグ 開幕カード見どころ==

◆オリックス×ソフトバンク

リーグ4連覇を目指すオリックスは、新たに就任した小久保裕紀監督率いるソフトバンクと京セラドーム大阪で開幕戦を戦います。

【オリックス】
オリックスは昨シーズン15勝を挙げた山本由伸投手と、山本投手に次ぐ11勝を挙げた左の山崎福也投手が移籍した中、宮城大弥投手が開幕投手に指名されました。
3年連続で2桁勝利を挙げている宮城投手は今シーズン、先発陣の中心としての活躍が期待されます。

野手では広島からフリーエージェントで移籍した西川龍馬選手が加わり、昨シーズン、リーグ2位の打率をマークした期待の新戦力が打線にさらなる厚みを加えるられるか注目されます。

【ソフトバンク】
4年ぶりの優勝を目指すソフトバンクは昨シーズン、大リーグから復帰してチームトップの10勝をあげた有原航平投手が、かつて所属していた日本ハム時代を含めて3回目となる開幕投手を務めます。

昨シーズンリーグトップの打率を残したオリックス打線を相手に、カットボールやツーシームなどを巧みに操る持ち味のピッチングを見せられるのか注目です。

野手では西武から移籍した山川穂高選手と巨人から加入したウォーカー選手といった新戦力のほか、柳田悠岐選手や近藤健介選手などが名を連ねる強力打線が実力どおりの力を発揮できるのかがカギとなります。

◇ロッテ×日本ハム

昨シーズン2位のロッテは就任2年目となる吉井理人監督のもと、2005年以来19年ぶりとなるリーグ優勝を目指して、就任3年目の新庄剛志監督のもと、2年連続最下位から巻き返しを目指す日本ハムと対戦します。

【ロッテ】
ロッテは昨シーズン、チーム唯一となる規定投球回を投げてローテーションを守り抜き、10勝をマークした小島和哉投手が2年連続で開幕投手を務めます。
開幕ローテーションには
▽ことしはシーズンを通しての活躍が期待される5年目の佐々木朗希投手や
▽日本代表入りも果たした種市篤暉投手などが顔をそろえる中、
先陣を切って持ち味の多彩な変化球を巧みに操るピッチングで勝利を目指します。

一方で、カギとなるのが昨シーズンチーム打率と長打率がともにリーグ4位でホームラン数も4位タイとなった打線の活性化です。
昨シーズン、ホームラン王のポランコ選手と、これまでに2回のホームラン王を獲得した新加入のソト選手を中心に、山口航輝選手や安田尚憲選手といった長打力が持ち味の野手が中軸に食い込んでこれるか注目です。

【日本ハム】
日本ハムはルーキーイヤーから3年連続で規定投球回に到達している4年目の伊藤大海投手が初めて開幕投手を務めます。
先発陣では中心選手だった上沢直之投手がチームを抜けたものの、オリックスから山崎福也投手が加入したほか、毎年安定した投球を見せている加藤貴之投手など、ある程度駒がそろっています。

一方、野手では昨シーズンホームラン25本を打った万波中正選手を軸に、オープン戦で12球団最多の12打点をマークしたマルティネス選手など、持ち味の打線が機能するか注目されます。

◆楽天×西武

球団創設20年目の節目で11年ぶりの日本一を目指す楽天は、5年ぶりのリーグ優勝と16年ぶりの日本一を目指す西武と本拠地で対戦します。

【楽天】
12球団で最も若い、40歳で就任した今江敏晃新監督のもと、4位からの巻き返しをねらう楽天はプロ4年目の早川隆久投手が開幕投手を初めて務めます。
早川投手はキャンプでは新たな決め球としてフォークボールの習得に取り組み、オープン戦でも安定した成績を残しました。

打線は浅村栄斗選手や島内宏明選手といった実績のある選手が攻撃を引っ張っていけるかがポイントとなります。

【西武】
松井稼頭央監督の就任1年目は5位に終わった西武は、最速159キロのストレートとキレのあるスライダーが持ち味の今井達也投手がプロ8年目で初めて開幕投手を務めます。

▽エースの高橋光成投手
▽先発転向2年目の平良海馬投手
▽日本代表にも選ばれた3年目の隅田知一郎投手
▽ドラフト1位ルーキーで高い評価を維持している左腕の武内夏暉投手と、
強力な先発陣がそろう中、昨シーズン初の2桁勝利を挙げ、オープン戦から好調の今井投手が昨シーズン、7戦6勝、防御率0.87と相性のよい楽天を相手にどのようなピッチングを見せるのか注目です。

一方の野手陣は昨シーズン、リーグワーストの得点数で、課題の得点力不足の解消に向けて獲得した大リーグでも実績のあるアギラー選手やコルデロ選手といった新外国人が期待どおりの働きを見せられるかがカギとなります。

★試合時間短縮の取り組みも

プロ野球は今シーズンから試合時間の短縮のため
▽前のバッターの打席が終わってから次のバッターが構えるまでの時間を30秒以内とするのを徹底するほか
▽監督やコーチがマウンドに向かった際、30秒以内にベンチに戻ることなどが決まっていて、どれだけの効果が上がるかも注目されます。