【詳しく】なでしこ 2連勝 決勝トーナメント進出決定 女子W杯

オーストラリアとニュージーランドで行われているサッカー女子のワールドカップ、日本代表の「なでしこジャパン」は1次リーグの第2戦でコスタリカと対戦し、猶本光選手と藤野あおば選手のゴールで、2対0で勝って2連勝としました。勝ち点を「6」に伸ばし、同じグループのほかの試合の結果から、グループ2位以上が確定し、決勝トーナメント進出が決まりました。

記事後半では試合経過を詳しくお伝えします。

《試合概要》

世界ランキング11位の「なでしこジャパン」は、22日、1次リーグ初戦でザンビアに5対0で快勝し、26日、ニュージーランド南部の都市、ダニーデンで世界36位のコスタリカと対戦しました。

猶本光選手が先制ゴール

初戦から先発メンバーを4人入れ替えた日本は、序盤から主導権を握り、前半25分、左サイドでパスを受けたワールドカップで初先発の猶本光選手が左足でシュートを決めて先制しました。

2分後には19歳の藤野あおば選手が右サイドを突破し、角度のない位置から強烈なシュートを決めて追加点を奪いました。このゴールで藤野選手は日本代表として男女通じて初めて10代でワールドカップでゴールを決めた選手となりました。

藤野あおば選手が追加点

後半、日本は得点こそ奪えませんでしたが終始攻め続け、この試合を通じて25本のシュートを打ちました。守っても危ないシーンはほとんどなく、相手のシュートを6本に抑え、2対0で勝ちました。

日本は1次リーグ2連勝で勝ち点を「6」とし、このあと行われた試合でスペインがザンビアに勝ったため1試合を残してグループCの2位以上が確定し、決勝トーナメント進出が決まりました。

7月26日 時点

日本は1次リーグ1位通過をかけて今月31日の第3戦でスペインと対戦します。

NHKでは総合テレビで中継する予定です。

藤野あおば 男女通じて日本代表で初 10代のW杯ゴール

藤野あおば選手 19歳

FIFA=国際サッカー連盟によりますと、26日のコスタリカ戦で2点目を決めた19歳の藤野あおば選手は、日本代表として男女通じて初めて10代でワールドカップでゴールを決めた選手となりました。

藤野選手は19歳と180日で、これまでの日本代表のワールドカップでの最年少得点者は「なでしこジャパン」の永里優季選手で2007年の中国大会で挙げた20歳と61日でした。

《選手・監督 談話》

池田太監督「揺るぎなく隙なく戦えた」

試合後、池田太監督は「初戦は勝っていたが、2戦目の難しさがある中で揺るぎなく隙なく戦えた」と振り返りました。初戦から先発メンバーを4人入れ替え、初戦とは違う選手がゴールを決めたことについて「いろいろな選手が出ても『なでしこジャパン』としての戦いができるのが強みだ」と話しました。また、無失点で終えたことについて「守備陣も集中していたし、ボールを奪われたあとの切り替えもチーム全員が意識してできていた」と話しました。

決勝トーナメント進出を決めたことについては「このチームで決勝トーナメントを戦えることをうれしく思う。ただ、1次リーグにはまだ重要な試合が残されている。スペインとの試合はあらゆる面で大きな意味を持つ試合であることに変わりなく、チームとしてやるべきことを続けていく。ここまで戦った2試合同様、これからの戦いでも簡単な試合は1つもない。目の前の試合に集中し続け、1試合ずつ戦っていく」とコメントしました。

先制ゴール 猶本光「自分のゴールでチームを勝たせたかった」

猶本光選手

先制ゴールを決めたミッドフィルダーの猶本光選手は「自分のゴールでチームを勝たせたいと思っていたので、決められてよかった。ただ、まだ1点目だったのですぐに切り替えた」と振り返っていました。そして次に向けては「スペイン戦があるので、1戦1戦みんなで積み上げていってまた勝ちをつかみたい」と意気込んでいました。

19歳 藤野あおば「WEリーグの経験が世界の舞台で発揮できた」

日本代表として初めて10代でワールドカップでのゴールを決めた藤野あおば選手は「初戦は決定機を逃して悔しい思いがあったのですごくうれしい。相手のキーパーが手前に出る動きが見えたので思い切っていった。WEリーグで積み上げてきたものが世界の舞台で発揮できた」と笑顔で話しました。

ゴールを決めたあとベンチにいるメンバーと抱き合ったシーンについて「試合前、チームメートから『大丈夫、いつもどおり積極的にやれば結果もついてくる』と励ましてもらった。いろんな人の支えでプレーできていると思う。得点をとれたらベンチに駆けつけようと決めていたので実ってよかった」と話しました。

司令塔 長谷川唯「みんなで高めあいながら」

司令塔の長谷川唯選手は「この試合に向けてみんなで準備してきたことが、とくに前半はよくできて、しっかり点が取れて最後まで無失点で終われたのがよかった」と振り返りました。チームの雰囲気については「前の選手がしっかり点をとって後ろの選手も0点で抑えていることでチームがうまくいっている。お互いに感謝してみんなで高めあいながら次に向けていい準備をしたい」と話しました。みずからのプレーについては「ミスが多く自分の中では50点もいっていない。これからあげていきたい」と次を見据えていました。

杉田妃和「楽しくプレーできた」

先発メンバーとして出場したミッドフィルダーの杉田妃和選手は「早い段階で得点が入ったのが良かった。初戦とは違ってスピードではなくボールを動かしながら攻めた得点だったので、チームとしてもいいタイミングだった」と得点シーンを振り返りました。そのうえで「楽しくプレーできた。自分自身が楽しくないとアイデアが出てこないので、楽しくプレーすればチームとしてもっといいプレーが出せる」と話していました。

《日本×コスタリカ 試合データ》

【得点】
▽日本 前半25分 猶本光
▽日本 前半27分 藤野あおば

【シュート数】
日本:25/コスタリカ:6

【ボール保持率】
日本:44%/コスタリカ:41%

◆試合詳細◆

《先発メンバー》

日本代表「なでしこジャパン」 初戦から4人入れ替え

初戦から▽三宅史織選手▽杉田妃和選手▽猶本光選手▽林穂之香選手の4人を入れ替えてきました。

【GK】1.山下杏也加
【DF】2.清水梨紗/3.南萌華/4.熊谷紗希/5.三宅史織
【MF】6.杉田妃和/8.猶本光/14.長谷川唯/15.藤野あおば/16.林穂之香
【FW】11.田中美南

コスタリカ代表

【GK】23.ダニエラ・ソレラ
【DF】2.ガブリエラ・ギジェン/3.マリア パウラ・コト/4.マリアナ・ベナビデス/12.マリア パウラ・エリソンド/20.ファビオラ・ビジャロボス
【MF】7.メリッサ・エレラ/14.プリシラ・チンチージャ/15.クリスティン・グラナドス/16.カテリン・アルバラド
【FW】9.マリア パウラ・サラス

《前半》

日本時間14:00【試合開始】

「なでしこジャパン」とコスタリカの試合は午後2時に日本のキックオフで始まりました。

【前半5分】日本0-0コスタリカ

日本は、右サイドからディフェンダーの清水選手が抜け出し、ミッドフィルダーの藤野選手にスルーパスを出しましたが、シュートはなりませんでした。

【前半7分】日本0-0コスタリカ

日本は、藤野選手のコーナーキックに田中選手が頭で合わせましたがゴールの右に外れました。

【前半12分】日本0-0コスタリカ

日本は、藤野選手のコーナーキックを熊谷選手が頭で合わせましたがゴールキーパーの正面で、ゴールはなりませんでした。

【前半15分】日本0-0コスタリカ

日本は前半15分、左サイドからミットフィルダーの猶本選手がシュートを打ちましたが、相手のゴールキーパーに阻まれました。こぼれたボールに、清水選手と藤野選手が交錯してシュートはなりませんでした。

★GOAL【前半25分】猶本が先制点 日本1-0コスタリカ

猶本光選手が先制ゴール

日本は、田中選手のパスからミッドフィルダーの猶本選手が左足でゴールを決めて先制しました。

★GOAL【前半27分】19歳 藤野が追加点 日本2-0コスタリカ

藤野あおば選手が決める

日本は、右サイドから抜け出したミッドフィルダーの藤野選手が、角度のないところから右足でシュートを決め、追加点をあげました。

【前半33分】日本2-0コスタリカ

日本は前半33分、ペナルティーエリア内からディフェンダーの三宅選手が右足でシュートを打ちましたが、ゴールの枠を捉えることはできませんでした。

【前半38分】日本2-0コスタリカ

日本は、猶本選手のパスにミッドフィルダーの田中選手が頭で合わせましたがキーパーの正面で、ゴールはなりませんでした。

【前半42分】日本2-0コスタリカ

日本は、田中選手が右足でシュートを打ちましたが、ゴールの枠を捉えられませんでした。

【前半45分】日本2-0コスタリカ

前半のアディショナルタイムは5分です。

【前半終了】日本2-0コスタリカ

日本は、猶本選手と藤野選手のゴールで2対0とリードして、前半を終えました。

《後半》

【後半開始】日本2-0コスタリカ

日本対コスタリカの後半が始まりました。コスタリカは選手を1人交代し、ディフェンダーの選手をミッドフィルダーの選手に代えました。

【後半5分】日本2-0コスタリカ

日本は、藤野選手のパスを受けた長谷川選手がペナルティーエリアの手前からシュートしましたが、ゴールキーパーに止められ決められませんでした。

【後半14分】日本 藤野→宮澤、田中美南→植木

日本は、この試合で1得点をマークしたミッドフィルダーの藤野選手が宮澤選手と交代。また、フォワードの田中選手が植木選手と交代しました。

【後半19分】コスタリカが選手交代

コスタリカは選手1人が交代し、ミッドフィルダーの選手を入れ替えました。

【後半23分】日本2-0コスタリカ

日本は、コーナーキックのこぼれ球に、途中出場のミッドフィルダー、宮澤選手が合わせてシュートしましたがゴールは決められませんでした。

【後半27分】日本2-0コスタリカ

日本は、右サイドからのクロスに植木選手が頭で合わせましたが、ゴールはなりませんでした。

【後半29分】日本 林→長野、猶本→清家

日本は選手2人を交代しました。ミッドフィルダーの林選手に代わって長野選手が、ミッドフィルダーの猶本選手に代わって清家選手がそれぞれ交代しました。

【後半31分】コスタリカ 選手交代

コスタリカはフォワードの選手がミッドフィルダーの選手に交代しました。

【後半32分】日本2-0コスタリカ

日本は、宮澤選手が、ペナルティーエリア付近でシュートを打ちましたが、ゴールキーパーに止められ、ゴールはなりませんでした。

【後半36分】日本2-0コスタリカ

コスタリカのミッドフィルダーがシュートを打ちましたが、日本のゴールキーパーの山下がキャッチして止めました。

【後半41分】日本2-0コスタリカ

コスタリカのミッドフィルダーにイエローカードが出されました。

【後半45分】日本2-0コスタリカ

後半のアディショナルタイムは5分です。

【後半アディショナルタイム】日本 清水→守屋

日本は選手1人が交代しました。ディフェンダーの清水選手に代えて同じくディフェンダーの守屋選手が入りました。

【試合終了】日本2-0コスタリカ

日本は前半、猶本選手と藤野選手のゴールでリードし、後半は追加点を奪うことができませんでしたが、2対0でコスタリカに勝って、勝ち点3を挙げました。

試合会場で応援 サポーター「次も勝ち進んで」

試合が行われたニュージーランド南部ダニーデンのスタジアムには、日本人サポーターも数多く集まり、選手たちに声援を送りました。大阪からダニーデンの大学に留学している19歳の女性は「短い間隔で2点続けて入ったのでとても感動しました。次の試合も勝ち進んでほしいです」と話していました。

新潟県から観戦に訪れた64歳の男性は「会場ではニュージーランドの子どもたちも一生懸命応援してくれていてすごくうれしかったです。次のスペイン戦も現地で観戦するので、1次リーグ1位通過に期待して応援します」と話していました。

会場では地元ニュージーランドの人たちからも日本の健闘をたたえる声が多く聞かれ、高校生の頃に日本に留学していたというダニーデン在住の42歳の男性は「日本が勝ってうれしいですし、一緒に観戦した子どもたちも楽しんでくれました。日本には、このあとの試合もすべて勝ってほしいです」と話していました。

“なでしこを応援”現地で はちまきづくりのイベント

サッカー女子ワールドカップで日本代表「なでしこジャパン」とコスタリカとの対戦が始まるのを前に、現地ニュージーランドでは日本文化を紹介しながら、なでしこジャパンを応援しようと日本人留学生がサポーターとはちまきを作るイベントが開かれました。

試合会場があるニュージーランド南部ダニーデンにある大学で学ぶ日本人留学生のグループが主催し、キックオフを前に、スタジアム近くに留学生およそ30人が集まりました。そしてサポーターに声をかけ、一緒にはちまきに日の丸を描いたり漢字で「日本」などと書いたりしていました。

はちまき作りを体験した地元の18歳の女性は「日本のスポーツの試合ではちまきを見たことがありますが作るのは初めてなのでとてもうれしいです。ザンビア戦での活躍がすばらしかったので、きょうも日本を応援します」と話していました。

大阪府から留学している谷川颯さん(20)は「多くの人に日本文化を知ってもらい、日本の女子サッカーを盛り上げるためにイベントを企画しました。なでしこジャパンにははちまきを糧に頑張ってもらい、ザンビア戦を超えるような戦いに期待します」と話していました。

また、同じく大阪府から留学している切明未来さん(23)は「日本人全員の思いがはちまきにこもっているので、心をひとつにして日本の勝利を見届けたいです」と話していました。

《試合の見どころは》

世界ランキング11位の「なでしこジャパン」は、22日、1次リーグ初戦のザンビアに5対0で快勝し、26日の第2戦で世界36位のコスタリカと対戦します。

コスタリカは2大会ぶり2回目のワールドカップ出場で、1次リーグの初戦はスペインに0対3で敗れ、ワールドカップでの勝利はまだありません。スペイン戦はディフェンダーを5人にする「5バック」を採用し、守りを固めてからカウンターで縦への速い攻撃をねらっていました。

日本はコスタリカが引いて守ってきた場合、司令塔の長谷川唯選手を起点に持ち味の素早い連係プレーから守りを崩したいところです。そして初戦で得点を挙げた宮澤ひなた選手や田中美南選手、藤野あおば選手など攻撃陣がチャンスを確実にゴールに結び付けられるかが鍵を握ります。

「なでしこジャパン」の池田太監督は25日の会見で「試合の流れを見て、いろんなことを考えないといけない。コスタリカは守備では人に対する強さがあり、攻撃は前線の選手だけで完結できる力を持っているので、そこをケアしながらわれわれの持っているものを出していきたい」と話しました。

「なでしこジャパン」がコスタリカに勝って、直後に試合があるスペインがザンビアに勝つか引き分けると決勝トーナメント進出が決まります。