【詳しく】サッカー女子W杯 なでしこ初戦 ザンビアに快勝

オーストラリアとニュージーランドで行われているサッカー女子のワールドカップ、日本代表の「なでしこジャパン」は22日、1次リーグの初戦でザンビアと対戦し、宮澤ひなた選手の2ゴールの活躍などで5対0で快勝して白星スタートを切りました。

記事の後半では、試合の詳しい経過などをお伝えしています。

《試合概要は》

世界ランキング11位で9大会連続9回目のワールドカップ出場となる「なでしこジャパン」は、22日、1次リーグのグループCの初戦で世界77位のザンビアと対戦しました。

ニュージーランドのハミルトンで行われた試合は、序盤から日本が主導権を握り、前半21分、フォワードの田中美南選手がフリーキックからのこぼれ球を押し込んでゴールネットを揺らしましたが、VAR=ビデオ・アシスタント・レフェリーの結果、オフサイドと判定されゴールは認められませんでした。

その後もチャンスを得点につなげられない時間が続きましたが、前半終了間際の43分、右サイドの藤野あおば選手からのクロスに、走りこんできた宮澤ひなた選手がダイレクトで合わせて日本が先制しました。

2点目を決めた田中美南選手(真ん中)

後半は日本のゴールラッシュとなり、10分、遠藤純選手の左サイドからのクロスに田中選手が合わせて2点目を奪い、その後、17分と26分にも宮澤選手と遠藤選手のゴールでリードを広げました。

さらにアディショナルタイムには、途中出場の植木理子選手がペナルティーキックを決めて5点目を挙げました。

日本は、ザンビアに1本もシュートを打たせず5対0で快勝。勝ち点3を獲得して目標のベスト4以上に向けて白星スタートを切りました。

「なでしこジャパン」は今月26日、1次リーグの第2戦で世界36位のコスタリカと対戦します。

《選手・監督 談話》

池田太監督「高い集中力を持って戦ってくれた」

池田太監督

日本の池田太監督は「選手たちは高い集中力を持って戦ってくれた。特に、相手の前線のスピードがある選手にしっかり対応できた」と相手にシュートを1本も打たせなかった守備陣をたたえました。26日のコスタリカ戦に向けては「しっかり準備していきたい」と話していました。

2得点の活躍 宮澤ひなた選手「本当にうれしい」

宮澤ひなた選手

日本の初戦で2ゴールを決めたミッドフィルダーの宮澤選手は藤野選手からのパスをダイレクトで決めた先制ゴールについて「本当にうれしいです。冷静に決められたのはよかったし、藤野選手を信じて走ってよかった」と振り返りました。そして「結果が出せてよかったが、まだまだ決めきれるところがあった。優勝を目指したいし、自分の特長がチームに役に立ったらいい」と次の試合を見据えていました。

追加点を決めた田中美南「5得点での勝利 大きい」

2点目を挙げたフォワードの田中美南選手は「初戦で堅さもあったが、しっかり5得点して勝利できたことは大きい」と試合を振り返りました。田中選手はこの試合、得点を挙げるまでに2回、持ち味の素早い飛び出しからゴールネットを揺らす場面がありましたが、いずれもVARの結果、オフサイドと判定されて得点は認められませんでした。3回目でゴールが認められたことについて「1回目は正直に言うと最初の動き出しでオフサイドポジションに出たかなと感じていたが、2回目は分からなかった。3回目でゴールを決めたときは不安だったが、得点を認めてもらえてよかった」と振り返りました。そして次のコスタリカ戦に向けて「切り替えてきょうの課題を修正し勝ち点3を取りたい」と意気込んでいました。

熊谷紗希 主将「次につながる」

キャプテンの熊谷紗希選手は「勝ち点3を目標にしていた中で無失点に抑えて5得点取れたことは次につながったと思う」と試合を振り返りました。ザンビアに1本もシュートを打たせなかった守備については「相手のカウンターや裏へ出すボールへの対応を準備してきたので、最後まで集中を切らさず、狙った形で守ることができた」と話しました。そして5得点を挙げた攻撃陣について「本当に頼もしい。VARの結果、取り消されたゴールもあったが、それだけチャンスを作っていた。次の試合でも仕掛けてゴールを奪ってほしい」と話しました。

司令塔 長谷川唯「いいスタートが切れた」

司令塔の長谷川唯選手は「相手に速い選手がいること、カウンターを気をつけることをチームとしてやっていたので、そこができたからこそ大量得点につながった」と試合を振り返りました。また「初戦はどの大会でも難しくてわかっていても、いい試合ができないことも多いが、いいスタートが切れたので次につなげていきたい。ただ、1つ終わっただけなのでしっかり切り替えてきょうは休んで次に向けてあしたから準備したい」と話しました。地元の埼玉県戸田市ではパブリックビューイングで多くの人が応援していたことを聞かれ「壮行会も開いてくれてワールドカップに向けてパワーをもらったのでいい結果が届けられてうれしい」と感謝していました。

19歳 藤野あおば「世界でどれくらい通用するか試したかった」

先制点をアシストし、ミドルシュートなどで再三相手ゴールに迫った19歳の藤野あおば選手は「国歌斉唱の時は不安な部分があったが、一緒にプレーする仲間や先輩が気遣ってくれてプレーしやすい環境を整えてくれた。そういう中で持ち味の積極性をうまく出せた」と振り返りました。そのうえで「自分の良さはシュートのインパクトだと思うので、世界でどれくらい通用するか試したかった。遠くからのシュートを意識していてゴールが見えたときは枠に飛ばそうと思っていた」と話していました。

《日本×ザンビア 試合データ》

【得点】
▽日本 前半43分 宮澤ひなた
▽日本 後半10分 田中美南
▽日本 後半17分 宮澤ひなた
▽日本 後半26分 遠藤純
▽日本 後半アディショナルタイム 植木理子

【シュート数】
日本:26/ザンビア:0

【ボール保持率】
日本:50%/ザンビア:34%

グループC 順位表

◆試合詳細◆

《先発メンバー》

日本代表「なでしこジャパン」

【GK】1.山下杏也加
【DF】2.清水梨紗/3.南萌華選手/4.熊谷紗希/23.石川璃音
【MF】7.宮澤ひなた/10.長野風花/13.遠藤純/14.長谷川唯/15.藤野あおば
【FW】11.田中美南

ザンビア代表

【GK】1.キャサリン・ムソンダ
【DF】3.ルショモ・ムウェンバ/8.マーガレット・ベレム選手/13.マーサ・テンボ/15.アグネス・ムセサ
【MF】4.スーザン・バンダ/12.エバリン・カトンゴ/14.イリーン・ルング
【FW】11.バーブラ・バンダ/17.レイチェル・クンダナンジ/19.シオマラ・マペパ

国歌斉唱

池田太監督(右)

《前半》

日本時間 16:00 キックオフ

サッカー女子のワールドカップ、日本代表の「なでしこジャパン」とザンビアの試合は午後4時に日本のキックオフで始まりました。

【前半5分すぎ】日本0-0ザンビア

両チームともチャンスを作れないまま、前半5分が経過し、日本は、フォワードの田中選手が最初のシュートを打ちましたが、ゴールを大きく外しました。

【前半7分】日本0-0ザンビア

日本は、ミッドフィルダーの藤野選手がシュートを打ちゴールの枠を捉えましたが、相手キーパーの好セーブに阻まれました。

【前半10分】日本0-0ザンビア

藤野あおば選手

ミッドフィルダーの藤野選手の強烈なミドルシュートはゴールポストに当たりました。19歳の藤野選手の積極的な攻撃が目立ちます。序盤から日本がボールを支配し、試合を優位に進めています。

【前半21分】日本0-0ザンビア

遠藤選手のフリーキックからこぼれたボールを田中選手が押し込み、いったんは日本のゴールとなりましたが、VARの結果、オフサイドと判定されゴールは認められませんでした。

【前半29分】日本0ー0ザンビア

日本は、左サイドからのクロスを田中選手がダイレクトで合わせてシュートを打ちましたが、ゴールの枠を捉えることができませんでした。

【前半30分】日本0-0ザンビア

前半30分を終え、両チーム無得点です。ここまで日本は押し気味に試合を進めています。

【前半35分】日本0-0ザンビア

ミッドフィルダーの藤野選手がシュートを打ちましたが相手ディフェンダーの足に当たり先制ゴールはなりませんでした。

【前半39分】日本0ー0ザンビア

長野風花選手

日本はミッドフィルターの長野選手のミドルシュートが枠を捉えましたが、相手のゴールキーパーの好セーブに阻まれました。

★GOAL【前半43分】日本が先制 日本1-0ザンビア

先制ゴール 宮澤ひなた選手

日本は、右サイドを抜け出した藤野選手からのクロスを宮澤選手がダイレクトで合わせて先制しました。

【前半45分】日本1-0ザンビア

前半のアディショナルタイムは6分です。

【前半終了】日本1-0ザンビア

日本が1対0でリードして前半が終了しました。

《後半》

日本時間 17:08【後半開始】日本1-0ザンビア

日本対ザンビアの後半が始まりました。両チーム、選手の交代はありません。

【後半3分】日本1-0ザンビア

先制点を奪ったミッドフィルダーの宮澤選手が後半最初のシュートを打ちましたが、ゴールの枠を捉えられませんでした。

【後半4分】日本1-0ザンビア

日本は田中選手が抜け出し、左サイドからのクロスに合わせてシュートを打ちましたが、オフサイドと判定されました。

【後半6分】日本1-0ザンビア

日本は藤野選手が相手のゴールキーパーに倒されペナルティーキックの判定となりましたが、VARの結果、藤野選手のオフサイドとなり判定が取り消されました。

★GOAL【後半10分】日本 追加点 日本2-0ザンビア

遠藤選手の左サイドからのクロスに田中選手がダイレクトで合わせて日本が追加点をあげました。

★GOAL【後半17分】宮澤が2点目 日本3-0ザンビア

宮澤ひなた選手 この試合2点目

田中選手のクロスを宮澤選手がダイレクトで合わせ、日本が追加点をあげました。宮澤選手はこの試合、2ゴール目です。

【後半21分】田中美南→植木

日本は、この試合で1得点をマークしたフォワードの田中選手が、フォワードの植木選手と交代しました。

★GOAL【後半26分】遠藤がゴール 日本4-0ザンビア

遠藤純選手

日本は長谷川選手からのパスを遠藤選手がドリブルで持ち込んで左足でシュートを決め、4対0とリードを広げました。

【後半27分】ザンビア 2選手交代

ザンビアは選手2人を交代し、フォワードとミッドフィルダーの選手がそれぞれ入りました。

【後半32分】遠藤→清家、藤野→猶本

日本は、いずれもミッドフィルダーの遠藤選手に代わって清家選手が、藤野選手に代わって、猶本選手が入りました。

【後半37分】ザンビア選手交代

ザンビアはディフェンダーの選手1人が交代しました。

【後半45分】日本4-0ザンビア

後半のアディショナルタイムは、7分です。

【後半アディショナルタイム】宮澤→千葉

日本は2得点をあげたミッドフィルダーの宮澤選手が交代し、フォワードの千葉選手が入りました。

★GOAL【後半アディショナルタイム】植木PK 日本5-0ザンビア

PK決める 植木理子選手

日本は試合終了間際に、植木選手が抜け出してゴールキーパーに倒され、ペナルティーキックを獲得しました。植木選手が蹴ったペナルティーキックは、キーパーに阻まれましたが、先にキーパーが動いたため蹴り直しとなり、植木選手がゴールを決めて、日本が5対0とリードを広げました。

【試合終了】日本 初戦白星 日本5-0ザンビア

日本はザンビアに5対0で快勝し、勝ち点3を挙げました。日本は、宮澤選手が先制ゴールを含む、この試合2得点を挙げ、田中選手が1得点、遠藤選手も1得点をマークしました。そして、途中交代で入った植木選手が、試合終了間際にみずからが獲得したペナルティーキックを決めて、日本は今大会初戦を5対0と、好スタートを切りました。

《各地で“なでしこジャパン”に声援》

NHK仙台放送局でパブリック・ビューイング

「なでしこジャパン」を応援しようと仙台市青葉区にあるNHK仙台放送局では、1階の「定禅寺メディアステーション」で280インチの大画面を使ってザンビア戦のパブリック・ビューイングが行われました。

「なでしこジャパン」のキャプテンを務める熊谷紗希選手の出身校で、仙台市にある常盤木学園のサッカー部の生徒たちも応援に駆けつけ、およそ50人が観戦しました。「マイナビ仙台レディース」に所属する宮澤ひなた選手がゴールを決めると、大きな歓声とともに拍手が沸き起こりました。そして日本が勝利すると、集まった人たちは拍手をして選手たちをたたえていました。

元なでしこ 有吉佐織さんも観戦

東京・新宿のスポーツバーには試合を観戦するため、サッカーファンなどおよそ15人が集まりました。この中には、かつてなでしこジャパンの一員として2015年の女子ワールドカップカナダ大会で準優勝に貢献した有吉佐織さんの姿もありました。

有吉さんは試合後「得点の流れもよかったですし、相手にいい部分を出させなかったというところではすごくチームの仕上がりがいいんじゃないかと思います。まずはしっかり休んで次の試合に向かって頑張っていってほしい」と笑顔で話していました。

宮澤ひなた選手の地元・神奈川 南足柄でも

2得点の活躍をみせた宮澤ひなた選手の地元、神奈川県南足柄市では、幼稚園の時にサッカーを本格的に始めるきっかけとなったクラブ「向田サッカークラブ」で当時、指導していた菊地廣さん(74)や、元チームメイトなどがザンビアとの初戦を観戦しました。

菊地さんたちは、大会のために作ったオリジナルのうちわをたたきながら声援を送り、宮澤選手が先制点を決めると「よーし!」と大きな声を出して喜んでいました。試合後、菊地さんは「2点も取ってくれて本当にうれしいです。次も得点を期待したいです」と話していました。

また、幼稚園から小学生にかけて宮澤選手とともにプレーし、今でも親交がある奥村俊太さん(23)は、「ひなたの良さが存分に出た試合だったと思います。きょうは2得点だったので、次の試合ではハットトリックを見たいです」と話していました。

試合の見どころは

1次リーグのグループCに入った「なでしこジャパン」の初戦の相手、ザンビアはアフリカの内陸国として男女通じて初めてワールドカップ出場を果たしたチームで、日本とは今回が初めての対戦となります。

出場チームの中で世界ランキングが最も下のチームですが、身体能力の高い選手がそろい、近年、急速に力をつけていて、おととしの東京オリンピックでは1次リーグで敗退したものの、格上のブラジルを相手に1点差で敗れるなど健闘しました。そして、今月7日に行われた大会直前の強化試合では、世界2位のドイツに3対2で勝っています。

中でもエースストライカーのバーブラ・バンダ選手は抜群のスピードが持ち味で、東京オリンピックではオランダと中国を相手に2試合連続ハットトリックをマークし、今月、ドイツとの強化試合でも2得点をあげています。

日本は、バンダ選手にスペースを与えない守備をして、司令塔の長谷川唯選手を中心に攻撃のリズムを作りチャンスを確実に得点に結び付けて勝ち点3をあげたいところです。

「なでしこジャパン」の池田太監督は21日の前日会見で「スピードのある選手がいるので、われわれのディフェンスラインとゴールキーパーの間のスペースをどうケアするか、意識を共有している。大会の初戦は常に大事になってくる。慎重かつ大胆に戦い、しっかり勝ち点を奪いたい」と話しています。