トップページニュース特設 来年度予算案を決定

ニュース特設

来年度予算案を決定

政府は一般会計の総額が96兆7218億円となる来年度予算案を24日、閣議決定しました。今年度の当初予算を3799億円上回り、過去最大です。
新たな借金となる国債の発行額を抑えたものの歳入の3分の1以上を国債に依存する厳しい財政状況が続きます。

歳出の主な項目

<社会保障費 31兆9738億円>

社会保障費は、今年度より1.4%、金額で4412億円増えて31兆9738億円となりました。財政健全化のため社会保障費の伸びを5000億円程度に抑えるという方針に沿う形となりましたが、歳出全体の約3分の1を占めます。

ニュース画像

<公共事業費 横ばい>

公共事業費は、防災・減災対策やインフラの老朽化対策などを進めるため、今年度とほぼ横ばいの5兆9737億円。文化、教育、科学技術関連予算もほぼ横ばいの5兆3580億円でした。

<防衛費 5兆円超える>

防衛費は、今年度より1.5%増えて5兆541億円と初めて5兆円を超えました。島しょ防衛を強化するため、新型輸送機オスプレイや機動戦闘車を導入する経費などが計上されました。

<ODA 17年ぶり増加>

ODA=政府開発援助も、中東やアフリカ地域のテロ対策の技術協力などに重点的に取り組むため、今年度より1.8%多い5519億円が計上され、平成11年度以来、17年ぶりの増加となりました。

<地方交付税 1.6%減>

地方自治体に配分する地方交付税は、今年度より1.6%、金額で2547億円減って15兆2811億円となりました。リーマンショックのあと、地方の税収不足を補うため上乗せしてきた「別枠加算」を廃止することなどによるものです。

<国債費 23兆6121億円>

国債の償還や利払いに充てる国債費は、過去に発行した国債の残高が増えていることから1614億円増え23兆6121億円となりました。

<“財政の硬直化”続く>

社会保障費、地方交付税、国債費の3つの経費を合わせた額が歳出全体に占める割合は73.3%となり、当初予算として7年連続で70%を超え、ほかの政策への予算配分が制約される“財政の硬直化”が続いています。

歳入

<税収 平成3年度以来の高水準>

税収は、好調な企業業績などを受けて今年度より3兆円余り増えて57兆6040億円となり、平成3年度以来の高い水準を見込んでいます。

<国債発行総額 162兆円余に>

政府が来年度予算案の編成にあわせてまとめた「国債発行計画」によりますと、来年度、新たに発行する国債は34兆4320億円で、今年度当初より2兆4310億円減ります。歳入全体に占める国債の割合は35.6%と今年度より3ポイント近く低下しますが、歳入の3分の1以上を国債に依存する厳しい財政状況が続きます。また、過去の経済対策などで大量に発行した国債の償還に充てるために発行する借換債は7兆円余り減りますが、109兆1144億円となります。

これらを合わせた来年度の国債の発行総額は、今年度当初より7兆8212億円少ない162兆2028億円となり、2年連続で前の年度を下回りますが、依然として高い水準が続きます。

<国債発行残高 838兆円>

国債の発行残高は、今年度末の812兆円程度が来年度末には838兆円程度に膨らむ見通しです。これは、来年度に見込まれる税収の約15年分に相当し、国債だけで国民1人当たり約664万円の借金を抱えている計算となります。

ニュース画像

財政の健全化は進んだのか

政府は、社会保障や防衛、公共事業など政策に充てる経費を、税収や税外収入でどれだけ賄えているかを示す「基礎的財政収支」を財政健全化の指標としています。

国の一般会計の「基礎的財政収支」は、今年度当初予算では13兆4000億円の赤字でしたが、来年度予算案では税収が増えることなどから10兆8000億円と赤字幅が2兆6000億円縮小する見込みです。

政府はことし6月に策定した「経済・財政再生計画」で、国と地方を合わせた「基礎的財政収支」を2020年度までに黒字化することを財政健全化の目標としています。ただ、ことし7月時点の内閣府の試算では、再来年4月に消費税率を10%に引き上げても2020年度の「基礎的財政収支」は国と地方を合わせて6兆2000億円の赤字が残り、このままでは目標を達成できないという厳しい見通しとなっています。

さらに、来年度の税制改正大綱で再来年4月、消費税率の10%への引き上げと同時に導入される軽減税率で新たにおよそ1兆円の財源が必要となり、財政健全化目標のハードルはより高くなっています。

このため、政府は計画で掲げた、実質2%、名目3%の高い経済成長率を確実に実現し、税収をさらに増やすとともに、歳出を抑える大胆な改革に乗り出すなど「基礎的財政収支」の黒字化を実現するための道筋を明確に示すことが急がれています。

ニュース画像

ニュース特設「来年度予算案(2) 暮らし・経済どう変わる」へ