情報セキュリティ大学院大学の辻井と申します。あいうえお順で並んでいまして、どうもたまたまですが最初からこういう高い席に座っていまして大変恐縮しています。大変僭越ですし、荷が重いのですが、ご指名ですので引き受けさせていただきます。
非常に個性豊かな放送文化あるいは放送政策に対してご見識のある皆様方が各分野からお集まり頂いています。女性も4人おられます。一番若い家本さんは 23 歳と伺っております。文字通り老若男女、力を合わせていい意見を出し合っていければと思っております。
会長からございましたように、現在、放送というのはデジタル化という潮流の中で、各国とも歴史的な転換期にあります。デジタル化のメリットは、普通は三つ挙げられます。一つはいうまでもなく高品質、きれいな絵ができるという画質の高度化。もう一つがチャンネルがたくさん取れるというモアチャンネル。一番大きいのはやはりインターネットやコンピューターとの親和性、相乗効果、そういったことによってサイバー世界が拡大するという3つが挙げられます。
さらにもう一つ、国民の皆様にもっと知っていただいたほうがいいと思いますのは、放送のデジタル化によって、放送を圧縮できることで、約 100 メガヘルツという非常に広い周波数帯域が生まれます。ビヨンド3G(次世代携帯電話)とかワイマックス(無線LAN)とかいろいろ言われていますが、無線空間、電波空間の拡大に、相当の市場価値を持った電波の帯域を空けることができるということがあります。
少し古い話で、放送とは直接関係なくて恐縮ですが、今から約 40 年前、昭和 43 年ですが、時の郵政省が、今でいう携帯電話、当時、自動車電話ですが、これに 25 メガヘルツの帯域を割り当てることが決まりまして、当時の電電公社通信研究所がソロバンをはじきまして、これは1兆円産業になるということで研究開発を始めて、 10 年間で自動車電話のネットワークを作り上げた経緯があります。
今 100 メガヘルツ、デジタル化によって空くということは、何十兆円の効果があるかわかりませんが、そうした大きな経済効果も見込まれると思います。
そういう非常に市場価値の高い電波を使っているのが放送であり、そういったことで公共性意識は非常に大事だと思いますが、特にNHKは高い公共性意識を持って電波を出しておられると思いますが、今後、なお一層国民に愛され、また信頼される、そういった方向をなんとかうまく助言できるよう議論を深めればいいのではないかと思っていますので、皆様方よろしくお願い申し上げます。
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