私が申し上げることは、必ずしも、NHKのお話を伺わなければ申し上げられないという種類のことではないので、先にお話をしたいと思います。
先程、会長からも、課題は何かというお話がありましたし、実際、これから説明されると思いますが、この資料の7頁から8頁にかけて、この懇談会の役割に絡んで、全体的にどういう位置づけにあるのかということが書いてあります。
私が徹底的にやってもらいたいと思うのは、何が今の問題なのか。具体的に表面化しているのは受信料の不払い問題ですが、それが直接的にNHKの経営に影響を及ぼす、これからも及ぼすことはよくわかります。しかし、払う人と払わない人がいるという不公平感もありますが、むしろNHKそのものの体制であるとか、もちろん放送法との関係で縛られていることもありますが、かなり基本的なところでの問題点を徹底的に、最初の段階で洗い出す必要があるのではないかと思います。
私は「受信料不払いが問題ではない」と言っているのではなくて、「より大きな問題が象徴的に出ている一つの現象に過ぎない」と言いたいのです。もっと大きな問題を攻めないと、受信料問題だけ攻めても解決にはつながらない。大きく分ければ何が原因かといえば、明らかにNHK自身の問題だと思います。経営の問題、体質の問題もいろいろあるでしょうが、それに起因している。
とくに不払いになりますと、表現が難しいのですが、実際には、視聴者側、日本人一般のモラルに関する問題、そういうことも当然あると思います。やはり法律等によって、NHKのあり方がある程度規制されているわけで、特に、公共放送との関係で、果たしてどういう問題があるのか。
座長代行をやっていただく長谷部先生や松田浩さんの書かれているものを読ませていただくと、だいぶ前から基本的な問題は、政治の介入云々の問題等も含めて、ずっと提起されてきています。今さらそういうことをやらなければいけないのかということもあるかもしれませんが、最初の1回目、2回目の段階では徹底的にその辺の問題をさらけ出していただいて、本当は何が問題なのかということについて、この懇談会の方向なり意思の共有化ができることをぜひお願いしたいと思います。それができないと、不払いへの対策そのものについての検討も、場当たりのことになってしまう。それが一つのお願いです。
二つ目は関連しますが、たとえば、きょうも、新聞に宮内さんの「規制改革・民間開放推進会議」がNHKの問題を取り上げる、という報道がありました。NHKがこれからどうするか。公共放送としてのあり方そのものも含めて、いくつかのところで検討されるでしょうし、経営委員会自身の問題もあると思います。我々は、会長の諮問機関的な懇談会としてスタートしているわけですが、むしろ執行部の問題であって、経営委員会としては、また別の視点で何か出される予定があるのかどうか。それから外部の「規制改革・民間開放推進会議」で出てくる提言等との関係はどうなるのか。
基本的に、この懇談会自身がそういうこととは関係なく、かなりフリーに、思い切って、風呂敷はある程度広げても、そこからだんだん焦点を絞って、受信料不払い問題にいくのか。それも含めて制度問題も含めて取り上げることになるのか。懇談会自身が何をやるのかはっきりさせる意味でも、ほかの検討されているところとの関係、位置づけを、むしろ始まってから出るものもあると思うので、その折々に出てくれば、どういうふうに考えたらいいのか。きちんとしなければいけないのではないかという気がしています。
先程、笹森さんからお話があって、連合の問題検討のときは、もともと「組合なんか要らない」という人も参加しているというお話でしたが、細かい問題はあると思いますが、公共放送ということを含めて、NHKは何とかがんばって残ってもらわなければいけないという立場なので、「場合によっては、NHKはつぶれてもいい」というポジションで参加はしていません。
他の民放、その他のいいところも含めて、公共放送としてのNHKがこれからのデジタル技術も公共放送ならではの仕方で、視聴者、あるいは広く国民に大いにエンジョイしてもらう可能性はものすごく大きいと思います。最初のところで問題点は何かということを、徹底的に議論していただけるようにお願いしたいと思います。
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