4. 懇談会の運営について(日程、公開・公表)
 

辻井座長 

 

 それでは、議事に入りたいと思いますが、まず今後の日程の設定、それから懇談会の公開公表を確認したいと思います。まず日程ですが、先ほど会長からもありましたが、NHKからは、来年5月に提言を報告書としてまとめるように求められています。開会は原則として月に1回。6月から、だいたい 12 回という予定ですがよろしいですか。

 ではこういう予定で行きたいと思います。

 それから次に公開と公表についてです。まず二つありまして、この会場に入っていただくかどうかという懇談会そのものの公開、非公開の問題と、もう一つは議事録です。議事録は要約で出すか、一語一句出すかと言う問題があります。また発言者を匿名にするか、あるいは実名を出すか、という点があります。

 まず懇談会そのものの会場に入っていただくかどうかという点については、何かご意見ありますか。それでは先にNHKから。

 

中川理事 

 

 私はこの会の事務方のまとめをやらせていただきたいと思いますが、NHKとしては、委員の先生方のできるだけ率直で忌憚のない、しかも突っ込んだご意見を賜りたいということで、様々な資料をお出ししたいと思います。しかしながら、資料の中には公表前のものや、あるいは、当面発表予定のない資料も含まれてくると思います。その辺をぜひお汲み取りいただきまして、ご議論を賜ればというふうに思います。

   基本的には、できるだけ議事録は公開していくということは賛成です。よろしくお願いいたします。

 

笹森委員 

 

 まず全体的な進め方も含めて申し上げたい。実は私どもの経験をお話しすると、労働組合ナショナルセンター連合も風当たりが非常に強い部分がありまして、それに対して運動をどう変えるかということで、連合労働運動の評価委員会を作りました。弁護士の中坊公平さんとか、経済界、ジャーナリスト界、学界いろんな方々に入っていただいて、約2年かけて論議をしました。

 当初は、委員に、連合労働運動のために提言を書いてもらうということは頭の中にまったくなかったのです。どちらかというと労働組合や労働運動が嫌いな人ばかりで、批判的な方々ばかりでしたが、論議をしているうちにかなり前向きに、働く人のためにどういう組織がいいかと言ってくれるようになりました。しかし最終的にそれを書き上げるのに、表面的な公開の論議だけではとても提言はまとまらないのです。したがって作業委員会的なもの、大変お忙しい方々だから難しいとは思うけれども、書き上げるための提言を最後に作るという作業をどうやっていくか。その携わる人がどういう方がやるのか。そういうことを含めて、その段取りと作り方ですね。

 もう一つは、公開の部分ですが、資料公開についてはおっしゃる通りなので、そのときのタイミング等をみながら判断していただければと思いますが、論議は公表するべきだと思います。

  その中で、名前を入れるか入れないか。いろいろ差し障りもあるのかもしれませんが、この中でNHKをどう改革していくのか、公共放送としてどうするのかということを言っていく場合には、責任を持った発言で、名前入りで出すのが筋ではないかと思っています。

 

辻井座長

 

 実名ということで。会場を公開するかどうかについてはNHKからもありましたように、大変センシティブな情報も出てくるということで、非公開ということでよろしいでしょうか。ではそういうことで行きたいと思います。

   また議事録については、要約を出すことは、最低限必要だろうと思います。要約で出すか、一語一句で出すかというのはどうですか。
 
 

笹森委員 

 

 私どもの経験で言うと、インターネットにホームページで評価委員会の議事を公開しました。この中では一語一句は無理です。そこは要約にします。資料としては速記録的なものをきっちり作って、それを公開するのか委員だけにするのか、組織だけにするのか、この中で決めるということでいいと思います。

 

辻井座長 

 

 速記録はいずれにしても作られます。それは公開、非公開は別として、こちらで保管していただく。要約でいきましょうか、一語一句というのは、私も経験があるのですが、何を言っているのかよくわからないとか、議事録で自分の発言をきちっとチェックすればいいのですが、時間がないときに、私も一回、リーダーシップという意味で「先導性」と申し上げたら、「扇で動かす」というふうに書かれまして誤解を招いたことがありまして、これは大変だなと思いました。言っていることが伝わればいいので要約でよろしいですか。

 

江川委員 

 

 どの程度の要約というのか。箇条書きで、本当に骨だけの要約ではいけないと思います。やはりNHKの約束の中にも透明性ということが書いてあるので、これは基本的に全部出していることがわかるように。

 

辻井座長 

 

 一応、速記録をいただいて、自分なりにわかりやすく要約していただくようにしましょうか。一語一句は読みづらいことがあります。話し言葉と書き言葉はずいぶん違いますので、それではNHKさん側で要約されるというより、自分で要約するというのでよろしいですか。そういうことでお願いしたいと思います。

 

藤井委員 

 

 多少要約をしてもらったものをチェックするほうがやりやすいような気がします。どうしてもしたい方は別だと思いますが。

 

辻井座長 

 

 明らかに省いてもいいようなところもありますから、聴いておられた時はどういう趣旨かよくわかるけれど、活字にするとわからなくなったりするので、ある程度は意味を失わないように、縮めていただいたものをお配りして、足りなければ本人が書き加えていただくということにすればよろしいでしょうか。

 

家本委員 

 

 私も同意見で、おそらく完全に自分自身で要約するというのは難しいだろうと思いますので、ある程度、要約していただいたら、 足りない部分に関しては、 自分自身で後から 追加させていただくという形でいいと思います。

 

山内豊彦委員 

 

 透明性、公開性を原則とするという意味では、まったく異論はないのですが、これからの多角的な議論の中で、公共放送と民間放送の問題とか、放送と通信業界の問題、利害が錯綜する分野の話になったときに、全部出てしまうと、なかなか意見が言えなくて黙り込むという場面も予想されます。そういう場合に、座長の指導の下、この部分は発言はするけれども記録にはとどめない、ということもありうるかどうか、確かめさせていただきたい。

 

辻井座長 

 

 そこは微妙なところですが、これはオフレコというような感じですか。

 

吉岡委員 

 

 私は、BPOの委員もやっておりまして、その経験でお話しすると、たとえばある局で非常に不適切な表現をした番組があったとします。それに対して人権侵害という形で意見や訴えがくることもありますし、下品だという批判がくることもあります。それをめぐっていろんな議論をします。それを逐語でテープを起こしたものは、おっしゃるように読みにくく、日本語にならないところもあります。そういうところは要約し、読みやすくするぐらいの手の入れ方はしますが、原則全部公開をしています。その時に、局名を挙げて議論をしています。

 私は、今回、NHKが公開性とか透明性を掲げたのは、大事な原則だと思いますし、たとえば、今、おっしゃったような民間放送との関係はどうなのかとか、事業予測はどうなるのか、確かに読み方によっては、民間の放送局を刺激するところがあるだろうと思います。

 ただ、どうでしょうか、私はそういう刺激を民間放送局も受けたほうがいいと思っているのです。ですから、この会としては、あらゆる議論の議事録公開を原則にする。ただ発言者が、ここは微妙なので議事録からは削除してほしいとか。あるいはもう少し抽象度を高めて表現してほしいとか、注文はあるだろうと思います。もっとくわしく言いたいこともあるでしょう。それはその通りに、ご本人のお考えどおりにするほうがいいだろうと思います。あくまで発言者本人の判断にまかせる、ということです。メディアの場合はどうしても、人の足を引っ張ることも含めて、公開性、透明性は仕事の中身として求められるところがあるものですから、ここだけは別ですよというふうにしないほうがいいと思います。

 

辻井座長 

 

 どうでしょう。今、言われたように、ご本人に抽象化していただくということでよろしいでしょうか。

 それでは、本題に入りたいと思います。NHKが置かれている状況、課題、取り組みにつきまして、NHK側から説明をお願いしたいと思います。途中で退席される方がおられますので、先にご発言していただいたほうがいいと思いますが、山野目委員と小林委員、お二人からまずご発言いただければと思います。

 

山野目委員 

 

 座長、いかがでしょうか。やはり、最初の問題提起を各委員の方々からしていただくのが出発点として当然だと思いますが、まずNHKとしてどういう現状の認識でいらっしゃるのか承らないうちに、私からあれこれと述べると、突拍子もないことを申し上げるおそれもあります。事務局にペーパーを預けてありますので、私の退出時間までNHK側の説明を承ったうえで、座長のお許しがあれば退席させていただき、私の意見は書面で述べたいと思いますがいかがでしょうか。

 

辻井座長 

 

 では小林委員、お願いします。

 

小林委員 

 

 私が申し上げることは、必ずしも、NHKのお話を伺わなければ申し上げられないという種類のことではないので、先にお話をしたいと思います。

 先程、会長からも、課題は何かというお話がありましたし、実際、これから説明されると思いますが、この資料の7頁から8頁にかけて、この懇談会の役割に絡んで、全体的にどういう位置づけにあるのかということが書いてあります。

 私が徹底的にやってもらいたいと思うのは、何が今の問題なのか。具体的に表面化しているのは受信料の不払い問題ですが、それが直接的にNHKの経営に影響を及ぼす、これからも及ぼすことはよくわかります。しかし、払う人と払わない人がいるという不公平感もありますが、むしろNHKそのものの体制であるとか、もちろん放送法との関係で縛られていることもありますが、かなり基本的なところでの問題点を徹底的に、最初の段階で洗い出す必要があるのではないかと思います。

 私は「受信料不払いが問題ではない」と言っているのではなくて、「より大きな問題が象徴的に出ている一つの現象に過ぎない」と言いたいのです。もっと大きな問題を攻めないと、受信料問題だけ攻めても解決にはつながらない。大きく分ければ何が原因かといえば、明らかにNHK自身の問題だと思います。経営の問題、体質の問題もいろいろあるでしょうが、それに起因している。

 とくに不払いになりますと、表現が難しいのですが、実際には、視聴者側、日本人一般のモラルに関する問題、そういうことも当然あると思います。やはり法律等によって、NHKのあり方がある程度規制されているわけで、特に、公共放送との関係で、果たしてどういう問題があるのか。

 座長代行をやっていただく長谷部先生や松田浩さんの書かれているものを読ませていただくと、だいぶ前から基本的な問題は、政治の介入云々の問題等も含めて、ずっと提起されてきています。今さらそういうことをやらなければいけないのかということもあるかもしれませんが、最初の1回目、2回目の段階では徹底的にその辺の問題をさらけ出していただいて、本当は何が問題なのかということについて、この懇談会の方向なり意思の共有化ができることをぜひお願いしたいと思います。それができないと、不払いへの対策そのものについての検討も、場当たりのことになってしまう。それが一つのお願いです。

 二つ目は関連しますが、たとえば、きょうも、新聞に宮内さんの「規制改革・民間開放推進会議」がNHKの問題を取り上げる、という報道がありました。NHKがこれからどうするか。公共放送としてのあり方そのものも含めて、いくつかのところで検討されるでしょうし、経営委員会自身の問題もあると思います。我々は、会長の諮問機関的な懇談会としてスタートしているわけですが、むしろ執行部の問題であって、経営委員会としては、また別の視点で何か出される予定があるのかどうか。それから外部の「規制改革・民間開放推進会議」で出てくる提言等との関係はどうなるのか。

 基本的に、この懇談会自身がそういうこととは関係なく、かなりフリーに、思い切って、風呂敷はある程度広げても、そこからだんだん焦点を絞って、受信料不払い問題にいくのか。それも含めて制度問題も含めて取り上げることになるのか。懇談会自身が何をやるのかはっきりさせる意味でも、ほかの検討されているところとの関係、位置づけを、むしろ始まってから出るものもあると思うので、その折々に出てくれば、どういうふうに考えたらいいのか。きちんとしなければいけないのではないかという気がしています。

 先程、笹森さんからお話があって、連合の問題検討のときは、もともと「組合なんか要らない」という人も参加しているというお話でしたが、細かい問題はあると思いますが、公共放送ということを含めて、NHKは何とかがんばって残ってもらわなければいけないという立場なので、「場合によっては、NHKはつぶれてもいい」というポジションで参加はしていません。

 他の民放、その他のいいところも含めて、公共放送としてのNHKがこれからのデジタル技術も公共放送ならではの仕方で、視聴者、あるいは広く国民に大いにエンジョイしてもらう可能性はものすごく大きいと思います。最初のところで問題点は何かということを、徹底的に議論していただけるようにお願いしたいと思います。

 

辻井座長 

 

 二番目におっしゃった点については、これからのご説明にも出てくると思います。最初も、これは避けて通れないだろうとは私も思いますが、今後、皆さんのご意見を伺っていきたいと思います。

 それから笹森委員がおっしゃった起草委員会のようなものとか、あるいはワーキングとか、そのへんはだんだん議論が展開する中でやったほうがいいということになるのではないかと思っています。

 山野目委員は、今、発言されなくてもよろしいでしょうか。

 それではNHKから説明をお願いします。

 
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