NEW2018年08月24日

「吉野家」と「ガスト」のタッグ!?

ファミリーレストランと牛丼、うどんの外食チェーンが企業の枠を越えて、共通の割引きクーポンを発行することになりました。クーポンは本来、自分の店に客を呼び込むための手段。低価格路線でしのぎをけずる外食のライバルどうしが、なぜ手を組むことになったのでしょうか?

ファミレスや牛丼チェーンなどが手を組んだ共通クーポンって、どんなものなんですか?

発行するのは、ファミリーレストランの「ガスト」と、牛丼の「吉野家」、うどんの「はなまる」。

クーポンは1枚300円で、購入すれば9月10日から10月21日までの期間中、ガストでは会計が100円引きになるほか、吉野家では1食あたり80円引き、はなまるでは天ぷら1品が無料になる。

定期券のように、期間中であれば何度でも割り引きが受けられる仕組み。

つまり、元を取るには、およそ1か月半の期間中に、3回から4回利用すればいい計算ですね。普段からよく利用する常連さんなら難なく元が取れるだろうし、そうでなくても、勤務先や自宅の近くにそれぞれの店があったらどうにか行けそうな感じがする、なかなか絶妙な設定ですね。でも、クーポンって、そもそも自分の店に来て欲しいから出すものですよね。ほかでも使えるものを出したら、意味ないんじゃないですか?

まさに、そこがポイント。

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今回連携したのは、低価格がウリの外食チェーン。いずれも、個別にいろいろなクーポンを発行して利用客を囲い込もうとしてきた。 その意味では、まさにライバル関係にあると言える。

だけど、最近はこうした外食チェーンの競争相手が、ほかにも出てきたの。

吉野家の河村泰貴社長は「外食どうしで消耗戦をしている場合ではない。今回の取り組みで新しい客層を獲得したい」と狙いを話している。

低価格の外食チェーンのライバルって…。そうか、いわゆる「中食」ですね!僕も、ひとりで食事する時には、店で食べるか、コンビニ・スーパーなどで弁当や総菜を買って帰るか、いつも迷います。

コンビニ各社が競うように弁当などに力を入れているし、スーパーも総菜などのイートインを充実させている。

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業界団体の「日本惣菜協会」の調査では、去年の中食の市場規模は、なんと10兆555億円。

8年連続で増加していて、初めて10兆円の大台を超え、外食企業にとっては新たなライバルになっている。

今回の外食チェーンどうしの連携は、中食への対抗という意味がある。

なるほど。でも、どうしてファミレス・牛丼・うどんの組み合わせになったんですか?

同じ低価格路線とはいっても、実はお客さんの層があまり重複していないの。

例えば、「吉野家」は平日のサラリーマンの利用が多い一方、「はなまる」は比較的女性客の利用も多い。「ガスト」はファミレスだけあって家族連れも多い。

だから、共通クーポンの導入によって、お互いの店を利用しやすい仕組みをつくることで、新たな客層を取り込めるというわけ。

最近は、手軽に割り引きが受けられるスマホのアプリも数多く登場していて、クーポンは乱立気味。

もはや単純なクーポンでは、お客さんに反応してもらえなくなってきたという面もあるんだって。

根強い節約志向があるだけに、今後も消費を呼び起こすためのいろいろな策が繰り出されてきそうね。